小山さん、初登場。 熱心に利波型飛問題の改作に取り組んでいて、詰パラの「大道棋よもやま話」でも発表していますので、詰パラ読者の方はあわせてごらんください。
本作はこの類型の原型に97歩を加えただけの非常にシンプルな形。 73金といった誘い手はあるのものの、75が空いていて詰方の援軍の駒もないためあまり続く筋がなく、74飛の筋と予想できるところです。
となれば97歩の意味は逃げ道塞ぎですね。
74飛には、お決まりの84角の移動合。 同飛は95玉で切れ筋なので、同金、95玉、94馬と61の馬も活用して攻めます。
74飛、84角、同金、95玉、94馬、86玉、85馬、87玉、
94馬に同飛なら同金で、96玉には78角、86玉には77角で簡単です。
85馬、87玉に、更に76馬と追撃。 88玉なら77馬で捕まりますが78玉と右へ逃げ出されそうで指しにくい手です。 ところが、これが23角の遠打で逃げ出しを阻止できるのですね。
逃げ方がいろいろあるので、順につぶしていきましょう。
1) 88玉は、89歩、99玉(79玉は58馬まで)、77馬、98玉、88馬まで
2) 79玉は、67馬、88玉、78馬、98玉、99歩、同玉、89馬まで
3) 68玉は、67角成、69玉、58馬、78玉、67馬引、イ88玉、78飛、89玉、
68飛以下25手駒余り
イ 87玉なら、78馬、98玉、76馬以下25手駒余り
4) 69玉は、14角成(この手が必要なので23角は限定打)、ロ78玉、
77馬、89玉、23馬、ハ98玉、32馬、二76歩合、99歩、89玉、
23馬、79玉、78馬まで25手
ロ 79玉なら、67馬、88玉、78飛、87玉、32馬、76歩合、同馬引以下25手駒余り
ハ 67歩合なら、同馬寄、98玉、99歩、88玉、78馬以下25手駒余り
二 89玉なら、78馬、99玉、33馬以下25手駒余り
76合は桂でも同じ。桂歩以外の合は25手駒余りの順がある
入玉されてこんなに変化があっては、大道で読み切るのは至難のワザ。 すべて25手以下で詰み、69玉が唯一持駒が余らず25手で詰むので、これが作意となります。 76歩の中合が巧妙な一手で、あわてて同馬引とパクつくと、89玉、67馬引、98玉で打歩詰、「お客さん、惜しかったね」。
76馬、78玉、23角、69玉、14角成、78玉、77馬、89玉、
23馬、98玉、32馬、76歩合、99歩、89玉、23馬、79玉、
78馬 まで25手
97歩1枚だけでこのような手順が成立するとは、すばらしいですね。
大道棋は駒余りも許容しているので、駒余り順の解答も含め、詰めていると判断できれば正解としました。
- 作者:
- 今月のドキドキ展示室への作品掲載ありがとうございました。
記念すべき「初入選」となり、大変喜んでいます。
また、詰パラの「大道棋よもやま話」にも作品を同時掲載していただき、大変ありがとうございました。
私の作品への解説が上手に纏められていて素晴らしく、また、最後の文章表現はうれしくなってしまいました。
大道棋を好きな方に楽しんでいただいたり、もっと素晴らしい改作が出てくる事を願っています。
それでは解答者のみなさんの感想を。解答到着順です。
- 金少桂さん:
- 25手駒余りなしの手順がいかにも作為っぽいので、27手の順は変長2手駒余りとみてこれで解答しておきますが、変化手順のどこかで迂回してるのかもしれません。誤答を取られたくないので、念のために両方の手順を添付ファイルで送付しておきます。他の変化は全て23手以下もしくは25手駒余りで詰みました。)
攻方が戦力不足気味であること及び97歩の存在意義を考えれば、84角の移動合を取って上部に追い出す手順はすぐに見えたのですが、変化の膨大さに大苦戦。コンピュータの将棋盤を活用して全変化を虱潰しにやってようやく解けました。
上記の通り、変化は25手駒余りまたは23手以下で詰むので、27手は変別になります。
- やまかんさん:
- ドキ展33は降参。85金か85馬かで迷う。この離し飛車を打って角を取る筋はあまり解図欲が沸かないというか入玉図なので考えにくいですね。
大道棋としては、ほかの順も有望そうに見せるために63金とか紛れ駒を置くとよいかもしれませんね。
- 波多野賢太郎さん:
- 白旗です。7四飛、8四角、同金、9五玉、9四馬、8六玉、8五馬、8七玉、7六馬、7八玉、2三角…かと思いますが、以下の玉の逃げ方の最善が??です。
的確な読み筋です。実際に大道で手を出したら、受方は大道棋屋さんがやってくれるので、破ることに成功したかも。
- 池田俊哉さん:
- 97歩は合駒制限ではなく上部封鎖とは思ったが、76馬と外に出してからの最長手順探しがやっかい
- 長谷繁蔵さん:
- 詰手順を書かなければかな。難解かも。
- 占魚亭さん:
- 角遠打が出てくるとは。
- 隅の老人Bさん:
- 難しい、大道なら観戦。94馬以後の空中戦は読み辛い。
- S.Kimuraさん:
- 74飛から入って,移動合の角を取り,玉を86方面へ追い出すしかなさそうなことは分かりましたが,その先は難しくて追い切れませんでした.
- ronさん:
- きれいに詰め上がるのが印象的。惜しいのは紛れが少ないところでしょうか。この両立はなかなか難しいのですが・・・
- 小林巧さん:
- No.30〜32と通してやってくると、嵌まります。
- やぶいりさん:
- 変化多岐で、詰められたかどうか、ベスト手順がどれか、自信なし。
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