- 作者:
- 結構前の展示室で紹介された吉川さんの大道詰将棋をいじっていると、趣旨が変わってこんな作品ができました。 9四に香車がいるので9手目が指し難いかな?と思うのですが・・・
通常の金問題は82銀ですが、吉川さんの問題は82角、本局は更に強力な82馬です。 74が空いているもののいかにも簡単に詰みそうな形(いや、実際短手数で詰むのですが(^^;
)。 まずは金問題の定跡にしたがって進めてみましょう。
96金、84玉、87香、86飛合、
87香に74玉、64馬までと思いきや、ここではじめての人はびっくりの飛車の中合。 86香合などでは、85金捨てが妙手で、同玉、86馬で簡単。 86飛合は85金を同飛と取ってしまおうという手です。 同じようでも86金合だと、85金、同金、同香、同玉、75金、95玉、96香まで。
85金、同飛、同香、同玉、
74玉とかわすのは83馬、85玉、75飛まで。 95玉も、96飛、85玉、87香、(86合、同馬、)74玉、64馬行まで。
ここから定跡では、86飛、75玉、56飛と進むのですが、94香型なので、56飛に97香と馬を抜かれてしまいます。
74歩がないので75飛、84玉、89香も有力。
これが、作者の「9手目が指しにくい」の意味です。
75飛、84玉、89香とされたら、どう受けますか?
86香の中合は、85飛!、74玉(同玉は86馬以下)、83飛成、75玉、86龍、74玉、83龍まで。
また86飛と中合すると? 85飛、同飛、同香、同玉で、持駒から香が一枚減っただけ。 でも、ここから後述の作意順で詰むのです。
ここでは86飛ではなく86金の中合が妙防で、唯一の逃れ順。 85飛、同金、同香、同玉、86金、84玉、75金、95玉で、「お客さん、惜しかったね」
というわけで、正解はやっぱり86飛です。
86飛、75玉、(74玉は83飛成の一発!)
さあ、ここでどうしましょう。
56飛や46飛は97香と馬を抜かれて奉納。
それを防いで96飛なら86桂の捨合がとんできます。
77香も65桂が利いているのでだめ。
実はこの局面で5手詰なんです。 といわれれば、すぐに見えるかもしれません。 正解は
64馬!、同玉、84飛、63玉、53馬 まで15手(香余り)
大道棋らしからぬ、鮮やかな馬捨てから両王手で見事に決まりました。
それでは解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小峰耕希さん:
- 82馬、62銀、55歩等の配置からして多分正解だと思う。
金問題では数ヶ月前に鳥本さんの9手詰にやられたばかりなので、正解だと嬉しいです。
トップ解答。 お見事、正解です。
- 真Tさん:
- 64馬が気持ちいいです。金問題の基本手順から実質5手詰みですね。
- 野中謙一さん:
- ▲64馬以下は普通詰将棋のような綺麗な収束ですが、金問題の序盤で入手した香が余るのは気になります。終盤、龍・馬による追い廻しで合駒が余る分なら許されると思うのですが。
大道詰将棋は詰むか逃れるか勝負ですから駒が余っても関係なく、中には持駒の金がそのまま余るすごい問題もあります。 でも、本局のようにきれいな収束だと普通の詰将棋のように駒余りにせず詰めたくなりますね。
- コマンさん:
- 64馬の一手なれど客寄せにいいのでは。
- 長谷繁蔵さん:
- 64馬強烈
- ほの字さん:
- 94香がいるので9手目の86飛は奉納コースかと思ったらこれで詰むとは。
- 鈴木康夫さん:
- 両王手一閃。途中95玉と寄り道するのは罠ですか?
8手目95玉、96飛、85玉、86飛以下作意順の17手解。 86飛のところ87香の方が早いので変化別詰ですが、87香に86桂合とすると作意と同手数。
無駄合とも言い切れないところがあるので、変同の余詰ということで、この順も正解としました。
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涼秋さん:
- 序は定型で両王手の筋が見えているので解き易い。
- S.Kimuraさん:
- 打った飛車を横に動かすとばかり思っていたので,6四馬から8四飛の手順には驚かされました.
- 小五郎さん:
- 大道棋の序盤と、鮮やかな両王手を決めるきれいな収束との合体技!
- 中澤照夫さん:
- 狙いの両王手を実現。手数順でないが。
- 隅の老人Bさん:
- 4手目に金合は?、確かめて、「やらして貰うよ。」 景品は何だろう?
- 諏訪冬葉さん:
- ▲64馬に気付いて▽55歩の意味が分かりました
- スラゴさん:
- 64馬は一目だったので、かえって合ってるかどうか不安です。
- ドうえもんさん:
- 入口が1つしかないので易しかったです。
▲8五同香に対して△9五玉は新手ですか。
鈴木さんと同じ17手解。95玉は、74が空いているので成立する逃げ方ですが、前述の通り変化です。
- 枝中さん(作者):
- 本作は吉川さんの大道棋をいろいろとアレンジしているうちに偶然浮かんできた構想です。よってこれから大道棋を発表する可能性は極めて小さいです。できるだけ努力してみるつもりですが。
大道棋は序盤の類似は問題にされないので、なにか新手、新しい筋が盛り込めれば作品になります。 みなさんも類型辞典などを見て考えてみては。 例えば本局で62銀を71銀にすると・・・
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