89桂と72角がちょっと珍しい配置ですが、見た目は普通の金問題。 とりあえずは金問題の定跡手順にしたがって進めてみましょう。
96金、84玉、87香
初級者: 74に逃げても85金まで。これで詰みだな。
中級者: いや、86香と中合する受けがありそうだ。 同香だと75玉で逃げられる。
でもここで85金と捨てるのが妙手。 同玉、86馬、74玉、76香、84玉、85馬までだな。
上級者: いやいや、ここは86飛合が金問題特有の妙防なんだ。 これなら85金を同飛と取れる。
同じようでも86金合では、85金、同金、同香、同玉、86金で簡単。
86飛合に85金、同飛、同香、同玉で、普通は86飛なんだけど、75飛もありそうだな。
でも、また香打に86飛合とされると85飛、同飛、同香、同玉で、香を損しただけ。 やっぱり86飛だ。
86飛、75玉(74玉なら83飛成の一発)、56飛、84玉(74玉は76飛)、88香と打つ。
普通は85角合だけど、角は品切れだから桂合かな。
同香、同玉、86馬、84玉、76桂、74玉、54飛まで。詰んだ!
いやいやいや、上級者さん、56飛の空き王手のとき、97香成と角を抜かれますよ。
香龍会で、大道詰将棋のベテランをギブアップさせたという、この問題。 どんな難しい手順なのだろうと思いますが、実は9手詰なんです。
解けなかった方は、もう一度良く考えてみましょう。
どうしても解けない方は、上図の「棋譜表示」ボタンをクリック。
金問題の定型的な形からまったくの新手を実現した本局は、金問題の歴史に残るおもしろい作品です。 大道詰将棋に詳しい人ほど悩んでしまうかもしれません。
みなさん、是非自力で解いてください。
ということで、作意手順をまったく説明しない妙な解説を終わって、解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。 感想でネタばれしているので、解き終わってからごらんください。
- コマンさん:
- まさか一桁ものとは!89桂配置が可能にした75金は新手でしょうか?
89桂配置は何局かありますが、この手順ははじめてですね。
- 野中謙一さん:
- これ(解答)が作意なのか不安です。
本筋の▲96金を考えたが玉方94香の威力が強く、際どく逃れているようです。
まさかの▲86金を調べてついに▲96馬を発見!。
74が空いていることや89桂の配置からこれが正解だと信じて応募します。
- 隅の老人Bさん:
- 知らない方が、良い時もある。
- なまじ知っていると苦労する。
- 小五郎さん:
- いつものように96金〜86飛中合は以下打歩の形になったり中合で逃れる筋があったりしてどうにも捕まらない。きっと長手数でとんでもない所へ追いかけていくんだろうと推測したのですが、何と何と9手詰!? 大道棋の顔をした配置にすっかりだまされました。これはもう偽装工作問題ですね(笑)。でもこの楽しい仕掛けに拍手喝采!です。
建築設計の偽装はNGですが、詰将棋の偽装は楽しめていいですね。
もっとも、大道詰将棋はどの問題も誘い手で偽装しているような気も。
- 諏訪冬葉さん:
- 信じられなくて5回くらいチェックしました
- チャモさん:
- 手数表示なしがヒント!?
- S.Kimuraさん:
- 固定観念によって初手▲9六金から入り,飛車の中合いから金を捨てて飛車を取るところまでは絶対だと思い,数日考えましたが,なかなかうまくいきません.同じ局面から柿木将棋に解かせてみましたがどうも詰まないようです.何手詰めかを確認する為,初手から解かせてみると9手詰めで初手は8六金とのお答え.完全にしてやられました.
9手詰ですが、手数表示なしだったことと、金問題で初めての詰筋で難しかったためか、正解は8名にとどまりました。 正解者もかなり引っかかったようで、作者の大勝利。
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