本作は受方龍の連続移動回数の記録作品(19回)です。
これまでの中村雅哉さん「奔龍」・青木裕一さんの10回からほぼ倍増しました。
本作の解説も作者による自作解説でお届けします。
記録展No.139 解説 松下拓矢
受方龍連続移動の最多記録更新(10→19)、
及び史上初の守備駒5連続ルントラウフ(複数地点を通過して元の位置に戻ること)が狙いです。
龍の応手回数の最多記録タイにもなっています。
基本的な部分はNo.138と同じですので、そちらをご覧いただければと思います。
とはいえ、何も書かないのは味気ないので、こちらでは余談をいくつかお話します。
(1) 収束について
No.138「Hurricane」との相違点は収束部分で、本作の方が▲54捨△同龍が1回多く入る分連続移動回数も1回多くなります。
他の案としては、49に角or馬を配置し、76の駒を取って収束に入るというものも考えましたが、上手くいかずに断念しました。
この収束が成立すれば20連続移動や6連続ルントラウフが達成できるかもしれないのですが・・・。
(2) 作名について
今回の2作は、詰将棋パラダイス初入選作「Tornado」(龍を竜巻の如く回転させる)から、
ルントラウフ部分を抽出して特化したものです。
よってより大型の嵐で、且つ対をなす名前として「Hurricane」「Cyclone」と名付けました。
他の案として、フィギュアスケートの技に例えて「5回転アクセル」なども考えていましたが、
現実のフィギュアで5回転を跳んだ選手が皆無なため、現実離れしていると思い断念しました。
(3) 守備駒の20連続移動は可能なのか?
記録作の多くは、2点スイッチバックか3点ルントラウフの繰り返しによるものです。
1サイクルあたりの移動回数をA、サイクル数をB、サイクル以外の移動をCと置くと、移動回数はA×B+Cということになります。
現実問題として、Bは5〜6、Cは2くらいが限界です。
よってA=2、すなわち2点スイッチバックではB=6、C=2 だったとしても14回に過ぎず、到底20には届きません。
A=3、すなわち3点ルントラウフの場合も、Bは6以上くらいないと中々20には到達しないでしょう。
しかし、A=4ならばBが5近くあれば希望が出てきます。
ということで守備駒の20連続移動を達成するには、6連続以上3点ルントラウフor5連続(弱)4点ルントラウフのどちらかを発見する必要があると考えます。
もちろん5点以上でもいいのですが、2連続以上の4点ルントラウフを見つけるのが先かと。どなたかつくってくださいな。
TETSU補足: 作者解説にもあるように、
本作は龍の応手回数および1枚の龍の応手回数のタイ記録(19回)でもあります。
また最初の1回(駒取り)を除いて18回連続捨駒を玉以外の駒で取る回数の記録でもありますので、項目を新設し登録しました。
なお、解説中で触れられている「Tornade」については棋譜ファイルをごらんください。
34と、同龍、44歩、同龍、
53歩成、同龍、54金、同龍、44歩、同龍、
53桂成、同龍、54銀、同龍、44歩、同龍、
53香成、同龍、54銀、同龍、44歩、同龍、
53香成、同龍、54銀、同龍、44歩、同龍、
53香成、同龍、54銀、同龍、44歩、同龍、
53香成、同龍、54金、同龍、25馬、34歩、35桂、33玉、
24馬(と) まで43手
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 加賀孝志さん:
- 氏の姉妹局 両方共アイデア賞 リズムが有る
- 渥美雅之さん:
- 強力な竜の利きを巧みに逸らせて収束は見事です。
- 原田雄二さん:
- 龍の連続移動19回。初手34とが難しかった。
- 竹中健一さん:
- 龍と馬、同じ狙いで両方できるのがすごいです。
- 小山邦明さん:
- No138の手順が参考になりました。
- 竹園政秀さん:
- 竜19回
- 宮田敦史さん:
- こちらは34同歩の変化が簡単な分楽に感じる。
ハリケーンとサイクロンとは上手い命名。
- 山下誠さん:
- 同龍の文字もこれだけ並ぶと確かに凄まじいサイクロン。
- S.Kimuraさん:
- 2手目の変化がHurricaneより簡単だったので,Cycloneの方が易しく感じてしまいました.
- 小林徹さん:
- これは前問より煩い変化がないので易しいと思う。
- おかもとさん:
- この作品も最終手35桂までの41手詰だったらなおよかった。
- 占魚亭さん:
- 「Hurricane」と同様の受方竜の翻弄。
こちらも面白かったです。
- 池田俊哉さん:
- こちらはNo138と同様の香成趣向で、龍の軌道が三角形を描く。
姉妹作としても良くできた作品
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