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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.60 近藤真一さん

記録に挑戦!
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出題時のコメント:
看寿賞作品解説)のすごい改造。210手台

【解説:こんさん】

本作は平成13年看寿賞:長編部門の受賞作の改作です。
近藤真一 貧乏煙 143手
詰め手順は改作部以外ほぼ、同一です。
受賞作を見ていない方は下記から受賞作を一度、御覧ください。

  78龍、88金合、同と、同成香、97金、同玉、87と、同成香、
  96と、同玉、86と引、同成香、同と、同玉、88香、95玉、
  75龍、94玉、95歩、93玉、92桂成、同玉、82歩成、同角、
  同香成、同玉、83歩、同玉、65角、82玉、84龍、71玉、
  62香成、同玉、63歩成、同飛、同と、同角、53と、同玉、
  43飛、62玉、63飛成、同玉、

  74龍、62玉、84角、52玉、72龍、53玉、62角成、64玉

  74龍、55玉、44馬、46玉、76龍、37玉、67龍、48玉、
  66馬、59玉、77馬、49玉、69龍、48玉、59馬、57玉、
  58龍、66玉

  56龍、75玉、48馬、85玉、76龍、95玉、59馬、94玉、
  96龍、84玉、95馬、75玉

  76龍、64玉、73馬、53玉、56龍、44玉、55馬、53玉、
  54馬、62玉、44馬、72玉、52龍、73玉、62馬、64玉

  54龍、75玉、84馬、86玉、56龍、77玉、
  で途中図1(104手)。

途中図1 104手目77玉

ここで76龍としても22とがあるために収束に入ることはできません。 まず、99とを消去します。 いきなり22とを消去する事ができそうですが、ある変化が詰みません。 その理由は後述しますが、非常に巧妙な構成となっています。

99と、22とは空き王手を利用して消します。

  66馬、86玉、99馬、85玉、76龍、94玉、95歩、同玉、
  77馬、94玉、で途中図2(114手)。

途中図2 114手目94玉

部分的には局面は還元してしまいます。 22とを消去するために、また1回転が必要です。

  96龍、84玉、95馬、75玉

  76龍、64玉、73馬、53玉、56龍、44玉、55馬、53玉、
  54馬、62玉、44馬、72玉、52龍、73玉、62馬、64玉

  54龍、75玉、84馬、86玉、56龍、77玉、66馬、86玉、
  22馬、で途中図3(143手)。

途中図3 143手目22馬

22とを消去しました。 本手順は85玉ですが、ここで66歩と中合いする手があります。 同龍しかありませんが、その結果77馬とする手が消えています。

 変化:144手目66歩合は、同龍、95玉、75龍、85香、77馬、96玉、
   97歩、同玉、98歩、96玉、87角、同香成、95馬 まで

この手順は99とがあっては98歩に同とがあり不詰になります。 このため先に99とを消去しなければなりません。 22とが消えれば、収束に入ることができます。

  85玉、76龍、94玉、95歩、同玉、77馬、94玉、
  96龍、84玉、95馬、75玉

  76龍、64玉、73馬、53玉、56龍、44玉、55馬、53玉、
  54馬、62玉、44馬、72玉、52龍、73玉、62馬、64玉

  54龍、75玉、84馬、86玉、56龍、77玉、76龍、68玉、
  95馬、58玉、78龍、57玉、68馬、66玉

  76龍、55玉、46馬、44玉、74龍、53玉、35馬、42玉、

  43角成、同玉、44龍、32玉、31桂成、同玉、21と、同玉、
  11香成、31玉、21成香、同玉、12香成、同玉、13馬、同玉、
  33龍、14玉、23龍、15玉、16歩、同玉、17歩、同玉、
  27龍 まで217手

短評など

池田俊哉さん:
2枚のと、特に2二とを何とか消さない限り収束に入れないのは明らか。
では、その消し方は?馬のこは無理なので空き王手くらいしか手は無い、
でもその前に6六歩合の変化のために9九とを先に消す必要がある、
と言った知恵の輪要素まで加わった傑作と思います。
前作の改作とは言え、かなりレベルアップしており確かに看寿賞級の作品と思います。
唯一、純貧乏煙でなくなったのは惜しいと言えなくもありませんが、 9九とに一役買わせる、うまい逆算と言うところでしょうか。

吉田さんから、改良図が届いています。 その図では手数が伸び成香が無くなっています。

隅の老人Bさん:
解き始める前に、看寿賞作品を並べてみる。 この作品は大学院出題の時に解いた筈だのだが、手順は殆ど忘却、ボケ、歳には勝てない。 ただ大駒で追い回したことは、覚えていました。 今回の作品も煙とは分かっているが、手数は210手台、看寿賞は143手、70手以上も長手順。 序盤に、99とが消えない。 煙る?、いささか不安感あり。 右上に追い込んでから、馬鋸で手数を稼ぐ?  まあ良いやで、追いかけました。 開き王手で99とが消えました、これで正解と確信。 153手目が看寿賞の79手目と一致、ヤレヤレ。 これから先は手抜きです。 前よりも追い回しが増えて、立派な作品で感心。 看寿賞作品でも推敲する、推敲の大切さを知りました。
躑躅さん:
貧乏煙なのに普通の煙と遜色のない手数でびっくりしました。 (手数勘定は自信ないですが・・・)  原作を解いていたので割と簡単に解けましたが、素晴らしい作品だと思います。
福村努さん:
あまりにもすごくて驚嘆しました。 絶賛です。 近藤真一さん復活したのですね。 とてもうれしいです。 今後のご活躍を期待致します。

実は創作時に99との配置には気づいていました。 しかし、99と単独では収束と無関係なので無意味です。 看寿賞決定後、再検討していたときに22と配置に気づきました。 しかも、偶然、99とのはがし順が限定されていたのです。 まったく推敲不足でした。 全国大会で皆さんから 絶賛されましたが、その賞賛を私は気恥ずかしい想いで受け止めていました。

吉田京平さん:
普段は解答を出していませんが、 特別出題なので1番を目指して解いてみました。 原図の解説を読みながら、竜+馬追いには楽に入ることができましたが、 2枚のと金がなかなか消えず、開き王手で抜く筋を発見したときは感動しました。
なお、図のようにすれば、序を6手伸ばすことができるようです。 近藤様が宜しいのならば、下図の改良案は助言ということで、 そのまま原作の作者名で記録として登録されることを希望します。

  68龍、78金合、同と、同香成、87金、98玉、78龍、88金、
  同金、同と、97金、同玉、87と、同と、96と、同玉、
  86と引、同と、同と、同玉、88香、95玉、75龍 以下223手

ありがとうございました。 この図で登録申請いたします。 またしても、推敲不足でした (-_-;)

TETSU: この223手の図を貧乏煙の長手数記録作品として登録しました。

余談、作者のぼやきなど

本作は最終完成形とは言えません。

99と、22とのはがしは連取りになっています。 その連取りを拡大する33、11などに玉方の歩が置ける可能性があります。 すると、三百手を超える煙詰が生まれることになります。

本作の収束で33、88に歩を配置すると余詰発生です。 私もいろいろ収束を考えてみました。 しかし、今のところ発見するには至りません。

看寿賞受賞級のネタなので、本作での発表は作者としては本意ではありません。 しかし、今回、本作を発表しました。 私の人生の持ち時間はあまりないようなので……

私以外にも三百手超えの煙詰創作:挑戦者が現れることを切に望みます。


解説補足 TETSU

本作は複雑な龍馬追いで、手順を並べてもなかなか理解できませんでした。 補足として手順の流れを整理してみます。
65角を中心に回転しながら追うので、玉と龍と馬の位置関係に着目します。
+90度は時計回り、−90度は反時計回りに玉が移動することを示します。

1) 序
2)  52手目 64玉 62馬 72龍  +180度回転
3)  70手目 66玉 59馬 58龍  +90度回転(95歩消去)
4)  82手目 75玉 95馬 96龍  +90度反転 龍の位置関係が逆になります
5)  98手目 64玉 62馬 52龍  −90度反転(99と消去)
6) 118手目 75玉 95馬 96龍  +90度反転 4)と同手順
7) 134手目 64玉 62馬 52龍  −90度反転(22と消去)
8) 154手目 75玉 95馬 96龍  +90度反転 4)と同手順
9) 170手目 64玉 62馬 52龍  −180度回転
10)184手目 66玉 68馬 78龍  以下収束

玉馬龍の相対的な位置関係がそのままで回転するときと、鏡像に反転するときがあるので注意が必要です。
99と、22との消去でそれぞれ36手かかっているので、大幅な記録更新に成功しました。


記録展示室No.60 解答:6名 全員正解(下記) *しろねこさんは変別解

  池田俊哉さん  しろねこさん  隅の老人Bさん  躑躅さん
  福村努さん  吉田京平さん

当選者は、展示室で発表しています。