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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.13 猫田いわしさん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
出題時のコメント:
全手順一つの段の記録レースを制したのはこの作品。 87手。

記録展示室No.9の猫田いわしさんの作品は、全局面対称の完全立体曲詰であり、 また全手順一つの筋の長手数記録作品でもありました。 解説時に、「全手順一つの段の長手数記録も登録したいので、みなさん、挑戦してください」 と作品を募集したところ、ドうえもんさんの51手からはじまり、次々と記録が更新される記録レースに。 しかし、ゴールしたのは、またしても猫田いわしさんでした。

詰方も受方も一つの段(6段目)しか使わない厳しい条件にもかかわらず87手の長手数。 いったいどんな仕組みでこの長手数を実現したのでしょうか。 手順を見ていきましょう。

  26と、同玉、16と、36玉、

まずは26の金を奪取。 同飛だと飛の横利きが消えるので、46金から56とと呼んで55金で早い。
ここから金をはがしながら左に追います。

  46金、同金、同と、同玉、
  56と、同金、同と、同玉、
  66と、同玉、
  76と、同玉、

ここでターン。 金を捨てながら飛で右に送ります。

  66金、同玉、86飛、76金合、
  56金、同玉、76飛、66金合、
  46金、同玉、66飛、56金合、
  36金、同玉、56飛、46金合、
  26金、同飛、同と、同玉、46飛、36金合、

飛車が入手できたので、再びターンして左へ。 ここで、52の角がなければ16金で詰むことに注目。

  36同飛、同玉、
  46金、同玉、26飛、36金合、
  56金、同玉、36飛、46金合、
  66金、同玉、46飛、56金合、
  76金、同玉、56飛、
66飛合、
  86金、同玉、66飛、76金合、

66の合が飛車に変りました。 ここ、これまで通り金合だと、76金合に97金の1手詰。

  96と、同角、

96飛の清算は同角、同と、同馬でダメ。 96とのただ捨てが軽妙な一手で、狙いは52角の移動です。

  76飛、同玉、
  56飛、66飛合、同飛、同玉、86飛、76金合、

66は金合できないことを見越して、巧みにターンして再び右へ。

  56金、同玉、76飛、66金合、
  46金、同玉、66飛、56金合、
  36金、同玉、56飛、46金合、
  26金、同玉、46飛、36金合、
  
16金 まで87手

52角移動の効果が現れて、16金まで大団円です。

一つの段で2往復、左右の折り返しが巧妙ですね。

横送りには、本作のように金合に金捨てで送る手順と、飛打飛合で送る手順があります。
この記録に挑戦した、5名のみなさんも、このいずれかを利用していました。

  ドうえもんさん 飛合 57手
  岩田俊二さん  金合 71手
  柚子故障さん  飛合 77手
  スラゴさん   金合 81手
  猫田いわしさん 金合 87手

特にスラゴさんの作品は本作とほとんど同じ構成でした(序の4手と飛合が6筋か7筋かの違い)。

他の3作もそれぞれ工夫があり、楽しめる手順ですので、猫田さん以外の4作をここで紹介します。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

長谷繁蔵さん:
96との空捨てを見つけて解決。面白い趣向物でした。
猫田一族の次作が楽しみです。
中澤照夫さん:
きわめて厳しい創作条件の中でこの長手数は立派。96とが局面打開の好手。
真Tさん:
折り返しの機構がすばらしいです。
鈴木康夫さん:
横には香に相当する駒がないので、一つの段は一つの筋より長くはならないと予想していましたが、見事に裏切られました。
金合をすると早く詰むので飛合を強要し、折り返す仕組みに感動しました。
これは横ならではの技法ですね。
ドうえもんさん:
飛車合の意味付けがわかりやすくていい感じです。
全手順一つの段の記録レースは楽しかったので、また似たようなのをやってほしいです。

新しい記録項目や、更新が期待できそうな項目について、適宜募集していきたいと思います。

たくぼんさん:
すごいの一言。特に途中飛合に変わるところと96とには痺れました。
スラゴさん:
自分も似たような作品をつくったのですが、41馬や、飛合をいとも簡単に限定している配置には脱帽です。
S.Kimuraさん:
同じ段にしか駒を動かさないと分かっていても,なかなか難しかったです.
それにしても,玉が左右に2往復もするとは思いませんでした.
隅の老人Bさん:
金合が飛合、再び金合に変わる処に妙味あり。
一路で、これだけの長手順は驚き、そして感心。

記録展示室No.13 解答:9名 全員正解(下記)

  S.Kimuraさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  スラゴさん
  たくぼんさん  ドうえもんさん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん
  真・Tさん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。