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 記録に挑戦! 第3回
長手数の記録(2)
加 藤  徹 
詰将棋パラダイス2003年1月号より
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 今回から使用駒(持駒も含む)条件の長手数記録に入ります。まずはシンプルな条件の記録手数を紹介。
ミーナ 生桂香8枚 飛2枚 23手 塚本惠一、橋本孝治
角2枚 7手 TETSU
金4枚 13手 おかもと
銀4枚 15手 おかもと
桂4枚 13手 おかもと
香4枚 25手 おかもと
飛角4枚 33手 菅野篤
注)現在は、eureka・石川英樹45手 が記録。
金銀8枚 39手 斎藤仁士、Guy Kamina
桂香8枚 37手 おおさき

桂香8枚成駒なし 37手 ミーナ
  (2004年6月追記)
 続いては、清貧図式の長手数記録。
佐々木恭閑 清貧図式

佐々木恭閑 清貧図式 1図

佐々木恭閑 清貧図式 2図
清貧図式 179手 佐々木恭閑
  おもちゃ箱 2002年4月

 それまでの記録を3倍近く更新した傑作。 大学院の首猛夫教授に解説をお願いしました。

 78馬、99玉、77馬左、98玉、76馬、99玉、
 66馬、98玉

 〜以下馬鋸で盤面11桂を取って戻る〜

 76馬、99玉、77馬引、98玉、87馬上、89玉、
 67馬、99玉、66馬、89玉

 〜以下馬鋸で盤面12桂を取って戻る〜

 66馬、89玉、67馬、99玉、77馬右、89玉、
 98馬、同玉、27歩、88角、同馬、同桂成、
 76角、87銀、同角、同玉、88龍、同玉、
 68飛成、97玉、77龍、98玉、78龍、97玉、
 89桂、86玉、77龍、85玉、

 「86銀、84玉=1図=、95銀、同香、
 86香、85銀、同香、同玉」×3、

 86銀、84玉、95銀、同玉=2図=

 87桂、84玉、86香、85角、同香、同玉、
 75龍、94玉、86桂、93玉、84角、82玉、
 73角成、92玉、74馬、83香、同馬、同玉、
 95桂、92玉、94香、82玉、93香成、同玉、
 73龍、92玉、83龍、91玉、93龍、92歩、
 83桂不成迄179手

変化イ−銀合は、同馬引、同桂成、同馬、同玉、
 27歩、97玉、89桂、96玉、98龍、86玉、
 66飛成、85玉、87龍、74玉、75銀以下。
 また、金合は、同馬引、同桂成、同馬、同玉、
 68飛成、87玉、78龍、86玉、98桂、97玉、
 87金迄。

変化ロ−銀合は、同馬、同桂成、同龍、同玉、
 68飛成以下4手早い。

変化ハ−82玉は84龍、72玉、83龍、62玉、
 74桂、52玉、54香、42玉、33龍迄。
 右の馬を78に据え、左の馬が11桂を取ってくる。 再度馬の位置交換をして、12桂を取りに行く。 もちろん最初に12桂は取りに行けない、23の地点で馬が捕捉されるからだ。

 対角線上の表と裏を行く馬鋸は前例があるが、本作は機構がうまく出来ている。 96桂と龍飛を配置して、遠隔操作が利いている。

 で、78馬として以下98玉、76馬、99玉、77馬引、98玉、87馬上、89玉、98馬、同玉と作意に還元する順があるが、馬鋸特有の迂回手順として問題ないと思う。 この順は、盤面12桂を取って帰ってくる馬鋸でいつも生じている。

 何より驚くのはこれからだ。

 1図より、何と8手1サイクルの香ハガシが始まる。

 解答は略記したが、86香に対する合駒や、95同玉の変化は1サイクルごとに異なっていて悩ましい。

 局面が段々広くなるからだが、作者はうまく仕上げている。

 一段目に並んだ歩も美しい配置にも、作者の深い読みがある。

 一見すると収束で31とや41とを置くことによって駒が省けそうなものである。

 ところが、そのような手段で収束を作ると、例えば86銀で97桂打などの紛れが詰んでしまう。

 従って、一段目の並び歩は、馬鋸や何かの時に生じる合駒の制限ではなく、最も美しく収束の舞台をを作ったものと確信する。

 細部にわたってよく読まれている。

 詰め上がりも龍と歩と桂だけの局面で、手順の繰り返される美しさと相俟って、繊細で珠玉のような作品。

 本作は、成駒なしの清貧図式の最長手数として作られたもので、それまでの記録を3倍近く更新したものであり、それ自体すばらしいことではあるが、芸術点も高く、解いて良し鑑賞しても後世に残る名作であると思う。

 それにしても、作者はどんな人であろうか・・・。 

注)現在は、中村宜幹293手 が記録。

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