左右対称の実戦初形の詰将棋。
初の後手実戦初形配置の詰将棋は、1981年3月に内藤國雄九段が東京新聞に発表した71手詰で、大きな話題を呼びました。
その後たくさん作られ、先手実戦初形配置の詰将棋も創作されています。
左右対称の実戦初形の詰将棋は、麻下朝華さんが左図をブログで発表しています
(Thousand Days - 2014年賀状問題)が、
これは駒余りなので、完全作としては本作が初めての作品です。
本作のもう一つの大きな特徴は、上段はおろか中段にも詰方の駒が1枚もないことで、これも実戦初形では初めてです。
本作は「鳥越九郎氏に捧ぐ」と命名されています。
鳥越九郎さんは残念ながら2013年に亡くなられましたが、
鳥越九郎さん逝去でも書かれているように、ユーモアあふれる詰将棋で知られた作家。
本作のぶっ飛んだ発想も鳥越さんのユーモアにつながるところがありますね。
中段に全く駒がなくて、一瞬これで詰むの?と思いますが、実際に駒を並べてみると後手は持駒なしであることがわかります。
ということは、53飛成と飛び込めば移動合するしかなく、52で清算すればなんとかなりそうです。
53飛成、52金、同龍、同金、同香成、同飛、同香成、同玉、
金2枚と飛の順番は非限定です。
続いて53歩、54歩と叩いて、中段につりだします。
53歩、同玉、54歩、64玉、
53歩に61玉は51飛以下。
54歩に逃げ方がいろいろありますが、持駒飛角金金と強力なので、42・52・62に下がる手は簡単。
また54同玉は、52飛、53歩合、55金と送って早く、44または64に逃げるのが正解。
作意は64玉ですが、ほとんど対称なので44玉も対称手順で詰みます。
ちょっと混乱するかもしれないので、出題コメントで「変同あり」と書いた次第です。
86角、75香合、同角、74玉、
ぱっと見える53角は54玉と歩を取られて続かず、86角とこちらから打ちます。 これに対し、75香と合駒して同角に74玉と潜り込むのが巧妙な受け。
65金、同玉、66歩、56玉、55飛、同玉、46金、54玉、
55香、44玉、53角成、34玉、35金(馬) まで29手
65金捨てから66歩がちょっと指しにくい好手。 入玉されないよう55飛と引き戻すのが決め手で、以下は手順の収束です。
左右対称の変同があるので、75金(馬)まで29手も正解です。
作者 「拙作の採用、ありがとうございます。
どうせなら、12角92飛のほうがよかったかな。」
その心は受方から見て「エロ」かな。
鳥越九郎さんにも未成年者禁止の詰将棋があったような。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 長谷繁蔵さん:
- 53飛成・・・53歩、同玉、54歩、同玉、52飛、53歩合、55金、同玉、53龍、54香合、46角以下歩余り ギブアップ
54歩に64(44)玉とかわすのが正解でした。
- 山下誠さん:
- 初形はこれ以上ないというほどの実戦美形。手順もまずまず。
- S.Kimuraさん:
- 実戦初形の詰将棋はあまりないように思いますが,長手数の記録などはあるのでしょうか.
添川公司さんの「カオス」でしょうか。
近代将棋1984年12月発表の113手は余詰あり、詰パラ2012年8月読者サロンに修正図が掲載されています(103手、手順未発表)。
- 市橋宗士さん:
- ▲5三飛成以下、いろいろ詰み筋があり、変化を読み切れていません、
時間切れのため、今月はここまで。(ごめんなさい・・・)
- 小山邦明さん:
- 2手目はどちらの金でも良い非限定の手順だと思いますが、初形は非常にきれいですばらしい。
- 池田俊哉さん:
- ド派手な駒交換から53歩-54歩と釣り出してからが本番。
65金や55飛の捨駒が好感触。
12手目44玉は厳密にいうと変同?
22角があって対称ではないので、変同ですね。
- 占魚亭さん:
- 既視感のある手順だけど、何だったかなぁ……。
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