本作は坂東仁市さんの今年の年賀詰で、2017年年賀詰展示室に展示されました。
記録に挑戦!では、まだ龍一色図式の長手数記録の項目がありませんが、現在の記録作は、摩利支天さんの 「冬の散歩道」(41手)です(棋譜ファイル)。
本作はその龍一色図式の長手数記録を49手と大幅に更新。
項目を追加して登録したいと思います。
このシンプルな図でなぜ50手近い長手数になるのか、手順を見ていきましょう。
初手は14歩の叩きも見えるところですが、22玉とか逃げられて失敗。
15龍と頭から押さえます。
持駒が金金桂桂歩 なので、合駒は25桂で簡単。
22玉と下がると24龍でこれまた簡単なので、23玉と横に逃げる一手です。
そこで、25龍、33玉、35龍と横ばいで追撃していきます。
どこまで行けるか。
45龍のところがポイントです。
15龍、23玉、25龍、33玉、35龍、43玉、45龍、44金合、
ここまで来ると玉が広くなっているので、逃げられても合駒されてもかなりやっかいです。
- 53玉は、54金、62玉、74桂、73玉、64金、同玉、75金、73玉、85桂以下(55龍以下でも詰む)
- 44に金以外の合は、54金、52玉、64桂、41玉、44龍以下
ということで、龍の斜め上りを防ぐ44金合が最強の受けになります。
今度は54金に32玉と逃げられますが、33金捨てが強烈な追撃。
同玉は44龍と金を取られてダメなので21玉と逃げるものの、22歩で龍を取られてしまいます。
54金、32玉、33金、21玉、22歩、同龍、同金、同玉、
龍を取っても、まだ詰むのか不安になる形。
ここで、34桂、同金と質駒を作ってから32飛と捨てるのが好手で、攻めが繋がります。
34桂、同金、32飛、13玉、15龍、14歩合、同龍、同玉、
32飛は取ったら34龍ですから13玉と逃げますが、15龍、14歩合を思い切って同龍と取ってみると、何か見覚えのある形に。
そう、岡田秋葭さんの有名な裸玉(81玉、持駒飛飛金歩)の筋ですね。
あとは一気に収束までいきましょう。
34飛成、15玉、35龍、16玉、36龍、26歩合、
27金、15玉、26金、24玉、25金、23玉、
34龍、12玉、13歩、21玉、22歩、同玉、14桂、21玉、
12歩成、同玉、32龍、13玉、22龍 まで49手
龍の横追いと縦追いを両方取り入れて龍一色図式の最長手数を実現。
つなぎの手順も見事で、年賀詰とは思えない重量感のある作品でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 年賀詰の時は8手目5三玉と逃げ、解いた気分になっていた。金合から驚くほど粘り強い手順が展開される。
2三龍まで45手解。惜しい。
- 占魚亭さん:
- 金合のタイミングがポイント。還元玉の詰上る構成が見事。
- 小山邦明さん:
- 初手に14歩をまず考えて時間がかかりました。
- 隅の老人Bさん:
- 8手目も53王と逃げました。慣れる、単純人間ですね。
- 鈴木彊さん:
- 15龍に14歩合同龍同玉34飛成のあたりでは詰むのかどうか多少不安もでてきました。
- S.Kimuraさん:
- 龍の威力もさながら,金2枚の威力の高さを痛感させられました.
- 池田俊哉さん:
- 龍の横移動趣向から金二枚で追い戻すが、22歩からバラして34桂-32飛(限定)として例のスジに向かう構成は面白い。
二龍図式として存在価値あり
- 攻めダルマンさん:
- ソフト解答。序の竜の横移動が面白いですね。
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