キジバト観察記

キジバト観察記

2004/08/30
最近、我が家の庭に鳩が良く遊びにくるので、注意深く、"その鳩"を観察していると、どうも庭木の"かいずかいぶき"の木に小枝をしきりに運んでいる。 よくみるともう一羽の鳩が運ばれた小枝で巣造りをしているようだ。近々庭木の剪定をしようと思っていた矢先だったが、卵が無事孵化し雛が成長するまで様子を見ることにした。 我が家では昨年も棒樫の木に立派な巣を造った野鳥がいた。その繁殖時は観察できず残念だったが、巣の様を見た感じでは たぶんムクドリかヒヨドリかと思う。 その立派な巣に比べると鳩の巣はあまりにも雑な造りで鳩のおおらかで伸びやかな性質を見た様な気がする。一昨年には二回の雨戸の戸袋にムクドリがガタガタ音をたてながら営巣しようとしていたが 雨戸の開閉の邪魔になるのでかわいそうだが追い払いご遠慮願った。よほど我が家は営巣に適した環境と喜んでいいのかなんか複雑な心境である。


伸び放題のかいずかいぶき。この中に営巣。
小枝をくわえた雄鳩 巣造りをしている雌鳩
かいずかの隣にある槙の樹上より警戒
する雄鳩。2004年8月29日撮影
営巣中の巣の下にも造りかけの
巣がある。2004年8月29日撮影

キジバトの特徴(野鳥図鑑より)
デデッポッポーと低音でのんびり鳴く中型のハト類。頭から下は淡い紫褐色で、首には黒と淡い青色の小さな縞模様がある。背と翼の上面は濃褐色で、赤褐色と灰色の羽縁が鱗模様を作っている。 腰から尾は灰色で、中央を除く尾羽の先端は白い。全国で繁殖し、平地から山地の明るい林に広く生息し、樹上に営巣する。おもに地上を歩きながら草の実などをついばんで食べる。 オスは繁殖期になると目の周りが赤くなるので区別ができる。キジバトが「デデッポッポー」と鳴くのは繁殖期に結婚相手を求めている時、縄張り宣言をしている時です。繁殖期は8月から10月がピークですがほぼ一年中です。 抱卵は雌雄交替で行い、雛は約16〜17日で孵化(ふか)し、雌雄に養われて約15〜16日で巣立つ。雛は親の口の中へ嘴を入れて、親の「そのう」から分泌するピジョンミルクで育つ。 このため親の食事さえあれば繁殖が可能であり、繁殖時期が他の野鳥より長い。ピジョンミルクは雌雄共に分泌が可能である。

2004/09/01
今日も変わりなく抱卵している様子が確認できる。

2004/09/02
今日は朝から雨。昨日までの蒸暑さもなくなり、ちょっと肌寒い気温だ。変わりなく抱卵している様子が確認できる。


2004/09/04
今日は脚立を持ち出し脅かさないように、慎重に接近撮影をしてみた。1mぐらいの距離からカメラを持つ手を巣に向かって差し伸べて撮影したのでちょっと手ブレ気味。逃げる様子もなく抱卵している。


近くの電線から様子を伺う、
つがいの彼or彼女

2004/09/10
4,5日前の地震や台風にも動ぜず変わりなく抱卵している。野生の生き物の逞しさと親鳥の愛情を感じる。今日で14日目。後2,3日で雛が孵る。


2004/09/15
今日で19日目。予定日はもう2,3日過ぎている。どうもおかしい。もしかして卵がないのか、巣作りをした日を抱卵日と誤っていたかどちらかである。 だがしかし、8月28日以来、毎日ずっと雌雄のいづれかが巣にこもっていると言うことは、巣に何もない状態では有得ないと思う。それともまだ卵を産んでいないか、 巣が空になった時に確認できれば良いのだが。今、産卵の準備をしているのだろうか? 何れにせよもう少し様子を見ることにしよう。


2004/09/17
誕生!!
なにげなく巣を見ると親鳥がいない。子造りを諦めて何処かへ去っていったのかと思い、脚立を出し巣を覗いた。肉眼では巣の中まで観察できないのでデジカメで2,3枚 撮った。早速パソコンに取り込んで画像を確認すると、なんと雛らしき物体がはっきり写っているではないか。すでに孵化し2,3日経っているような感じだ。やはり予定日に 生まれていたのだろう。ひとまず安心したが画像を見ただけでは生死が判らない。その後巣を見たら親鳥が戻っていたので大丈夫と信じよう。通常二羽孵化すると言うけど 画像を見ると1つの塊のようで一羽しか孵化しなかったようだ。



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2004/09/18
残骸
巣のある「かいずかいぶき」に何か白いものが引っかかっているのでよく見てみると卵の殻でした。 孵化した後邪魔になるので親鳥が巣から放り出したものです。 何時出したのか早く気づいていれば孵化した時期が確認できたのに迂闊でした。



2004/09/19
二羽確認
一つの塊のように見えた雛。親鳥のいない隙に巣を撮影したところ二羽の雛を確認することが出来ました。予定通り9月13日頃孵化していたとすると 生後1週間くらいになる勘定だ。



2004/09/20
元気
我が家の雛たちもずいぶん成長してきたようだ。顔つきもはっきりとし、目も開き鳥らしい様になってきた。今朝も親鳥から給餌を受けている様子が観察できたのでその場面を間近で撮影しようとしたら、 親鳥にガードされ失敗。食事の邪魔をし雛には悪いことをしたと思う。親鳥が捕食に出かけた隙に撮影した画像。



2004/09/25
縞模様
朝6時頃巣を見ると親鳥はもう居ない。収穫の秋、鳥たちにとっても餌に不自由しない季節になり忙しく 朝から夕方まで飛び回っていることだろう。 我が家近辺にはカラスはあまりやって来ないが、近くの山にはたくさん暮らしており成長した雛が襲われないよう願うばかりである。 1ヶ月近く観察していると家族のペットのように愛情が沸いてくるものだ。 昔インコは飼ったことはあるが、野生の鳥の「巣作り」「抱卵」「子育て」「巣立ち」という自然界のドラマを目の当たりに観察できたことはラッキーだと思う。 今朝撮った画像を見ると、雛の羽も産毛から大人の羽に変わっているのがわかる。キジバトの特徴の羽の鱗模様がハッキリ写っている。



2004/09/28
羽ばたき
いつもの様に巣を覗くと小さな口をあけ威嚇のような素振をする。そのうち羽を少し開き羽ばたきのような動き。 親鳥は雛たちに給餌するとき以外は巣に姿を見せない。 孵化からおよそ13日経過しただろうか、そろそろ巣立ちの羽ばたきの練習など雛の動きも活発だ。 巣の周辺は排泄物のフンなのか白い付着物が付いている。


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2004/09/30
旅立ち近し
先ほど親鳥の番い(夫婦)が仲良く、といっても2mほど離れて巣の近くの電線の上に並んでとまっていた。 周囲を警戒しているらしく何もないかのような素振りで暫くとまっていた。 そのうち安全を確認できたらしく、雄らしき体の大きい方の親鳥だけが巣のあるかいずかの木の枝に移った。 そして巣に入り、腹をすかしあわただしく催促する雛たちに給餌していた。急いで餌を与えるとすぐに二羽連れ立って去っていった。 巣を発見してからもう1ヶ月が経った。孵化してから今日で17日目。 もう巣立ちの時期なのだが、巣は通りからは見えず比較的安全なのと居心地が良いのでまだ暫くはこの巣にいるかもしれない。 雛の体つきも大きくなり羽ばたけるほど羽も立派になったが、まだ胸の辺りには産毛が目立つ。 近寄ると威嚇するように羽を大きく広げ大きさを誇示してるようだ。



2004/10/02
旅立ち!!
今朝、散歩から帰った直後に確認した時には二羽いた雛が1時間後に見たときには1羽しか居なかった。 残っていたのはオクテの雛であろう。先にいなくなった雛はいつも撮影するときに手前に居て羽を広げて威嚇の ポーズをとっていた元気の良かった雛であろう。 ついに旅立ちの日がやってきたようである。 巣作りを始めた8月28日から今日まで40日足らず。 観察を通していろいろなドラマを見せてくれたキジバト親子。元気に山で暮らしてくれることを祈る。 取り残されたもう一羽の雛、夕方迎えに来た親鳥と共に無事巣立ちました。
巣跡を見守る親バトの姿。



2004/10/04
巣跡
雛鳥から小鳩に成長し、去って行った主の居ない巣とウズラの卵より少し大きい卵の殻。




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