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カエデさんが書いたサイドストーリー 「道程(みちのり)」


■ 14 取 引

「直江先生,いるかね」
「直江ですが」
「ああ先生,すまないが,院長室まできてくれないか」
院長室にはフロンティア製薬の二関小夜子がいた。机の上に薬が置いてある。
行田病院を得意先としている小夜子は,毎日のように行田病院を訪問している。
しかし,これまで直江は彼女とほとんど言葉を交わしたことがなかった。
「失礼します。院長,遅くなりました」
「急に悪かったね」
「いえ」
「直江先生,新しく開発された治験薬なんだが,使ってみたい患者はいるかね」
院長はそう言って,直江に資料を渡した。
「抗がん剤ですか...今のところは該当しそうな患者はいませんね」
「ということだ。二関くん。申し訳ないね。」
「お役に立てなくて申し訳ありません。」
院長室を出てから,直江は小夜子に声をかけた。
「その薬のことで話がある。君にも悪い話じゃないはずだ」

その日,直江はフロノスというその治験薬を受け取り,治験薬の臨床データを小夜子に提供することを約束した。ただし,病院とは無関係の私的な取引としてだ。
直江はそのフロノスを自分に投与しようと思っていた。
直江は『個人的な研究だから』と言って,小夜子を納得させた。
小夜子も危ない橋を渡ることになるが,臨床データは1例でも多く入手したい。
それに...小夜子にとって直江は非常に魅力的な男性だった。

 

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