春の清水寺 3

@ だんだんと、連なる建物群の様子が出てきました。画面上部が建物群、ポッカリ空いて白地がすっかり見えている下部が桜の山際となります。画面全体を徐々に筆を入れていく方法もありますが、私の作品のように、気が済むまで細かく描き込んでいく場合には、このように別々に描いていく方が、かえってスピーディに描けます。


A 桜の山際を描き始めます。まずベタで、ざっと色調を考えながら色を置いていきます。こういう段階は、描き込んでいくのが待ち遠しくて、なんだかワクワクします。


B 緑の木々から描き込みます。桜の木々を引き立てるためにも、ここで手を抜いてはいけません。春めいてきて、明るい若葉を付け始めた木々をイメージしました。


C 桜の木々を描き始めます。明確な桜のイメージを出したいと思いますが、かといって単純過ぎては情緒が感じられません。桜の花びらの色と、花々の隙間から見える影の色を意識して、描き進めます。


D これで、山際の細部まで描き込んだ状態です。清水寺を引き立てるために、木々の葉と桜の色付き加減が、四季折々変化していくなんて、自然の力には恐れ入ります。

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田中直樹作品集