★メール紹介・Q&A 第26回 2003/06/04

●紅き月の笛さん からのメール
「一次選考で落選した作品を、納得がいかなかったので、翌年、無改稿のまま同じ賞に再応募したところ、今度は最終選考まで行った」という話をあるところで聞きました。なぜこんなことが起きるのですか?

○和田曜介のコメント
 そこまで極端なのは、私も初耳ですが、基本的に新人賞というのは、その時の応募者の中から上位何人という形で選考されていくので、その回の他の応募者のレベル次第で、同じ作品でも一次選考落選から最終選考の一つ手前ぐらいまでの幅ができるのは、それほど珍しいことではありません。
 単純に、最初の年はレベルが高く、次の年はレベルが低かった、ということだと思います。
 特に、その年の入選作品と同じ下読みさんのグループに入ってしまうと、明らかに見劣りするわけなので、本来ならば一次選考を通過するはずのレベルの作品が一次選考落選になってしまう、という事態は日常的に発生します。
 以前、ある賞で、私が一次選考で残した4本のうちの3本が入選してしまった、という珍事がありました。最終日の消印の一番最後に届いたグループでした。
 これだけ強敵が揃っている中に入ってしまうと、例年なら間違いなく一次選考を通過しているはずの作品が、片っ端から一次選考落選になりました。
 優勝候補同士が一回戦で当たってしまって、クジ運が良ければ準優勝ぐらいしていたかもしれないチームが一回戦で消えてしまう、というのと似ているかもしれません。
 ただし、新人賞の場合には、本当に入選候補級の作品であれば、本数をオーバーしてでも全部残します。だから本来ならば入選するはずの作品が一次選考で落ちてしまうというようなことはありません。しかし、レベルの低い回なら最終選考に残るかもしれない、程度の作品では、落とされてしまうこともあるということなんです。
 落とされる作品には必ず落とされるだけの理由があるので、通常、こういう無改稿での再応募というのは全くの無駄です。
 新人賞の選考システムには運に左右される部分があります。しかし、本当にデビューできるだけの実力があれば、必ずデビューできるタイミングがやってきます。あせらずに応募を続けることが大切です。

 ところで、今回とは全く逆の、「前年、最終選考で落ちた作品を改稿して翌年再応募したら、今度は一次選考で落とされた」というケースは何度か耳にしています。
 どういう状況かというと、
 普通に応募したが前年の最終選考候補者の再応募ということで、事前チェックの段階で自動的にシード作品として、通常の選考からは外された。  ところが、編集部で読んでみたら、前年の最終選考会で問題にされた欠点が直っていなかった、一年ぶんの進歩の跡が全く見られなかった。  これでは残しても意味がない、ということで、二次選考にエントリーされることなく、そのまま没にされ、結果として一次選考落選と同じ形になった。
 最終選考に残ったのに普通に同じ作品を再応募すると、こういうこともあるという話です。
 ただし、編集部のアドバイスを受けて再応募しても、やはり出来が悪ければ前年よりも低い位置で落とされることもあるそうです。
 最終選考で落ちたなら、編集部のアドバイスを受けて、新作で再挑戦、というのが一番のおすすめです。


[TOPページに戻る]

[第1回のページに行く]  [前回のページに行く]