自分の応募原稿を客観的に見られない

 作品を書き終えたら、必ず推敲をしてください。書き上がった直後には、一種の興奮状態になっていて、冷静な判断力がなくなっている場合が多いので、一週間程度は原稿を放置して、他人の作品を初めて読むというつもりで、読み返してみてください。
 誤字・脱字なども含めて、必ず直したいという部分が見つかるはずです。
 できれば本当に誰か他人に読んでみてもらうことをお勧めします。自分一人の世界だけで書かれたものと、現実に誰か他人の目にさらされたものとでは、はっきりとした違いが出るからです。

 また、完成した応募原稿を封筒に入れたならば、やはり封をする前に、もう一度、原稿を封筒から出して、自分が選考委員になったつもりで実際に最初から最後まで原稿を読んでみてください。
 ページが抜けていたり、順番が間違っていたり、原稿の間に、消しゴムのカスや髪の毛や虫の死骸などのゴミが入っていたり、などというのは、まだまだ序の口。
 食べ物のシミ・血液・果てはペットの排泄物などで原稿が汚れている! という、そんな非常識な応募原稿が、現実に存在しているのです。

 女性の原稿で香水が振りかけてある、などというのも時々見かけますが、女性の下読みさんに当たると逆に心証を悪くする危険性があります。男性の下読みさんでも香水の銘柄によっては不快な匂いと感じる可能性があります。わざわざこんなことをするのは決して得策ではありません。
 それから、タバコの煙でクンセイのようになった原稿も見かけます。下読みさんの中には嫌煙家の人もいるかもしれません。愛煙家の人は注意が必要です。

 作者自身の視点で応募原稿を見ている時、自分の目はフシアナになっていると思ってください。多くの場合、現実よりも極端にプラスの評価をしてしまっています。
 赤の他人の視点で見てください。むしろ、自分の大嫌いな奴の書いた原稿だと思って見るくらいで、やっとプラスマイナスゼロになると思ってください。


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