1.はじめに

 新人賞の選考システム

 私は十年以上、複数のエンターテインメント系の新人賞で、俗に「下読み」と呼ばれる一次選考を担当する裏方選考委員をしています。
 最初に、新人賞の選考の流れを、簡単に説明します。

●編集部内での予備チェック
 編集部に応募原稿が届くと、まず、届いた順に通し番号が付けられます。以後、応募原稿は、この番号で管理されることになります。
 そして、全部の封筒を開封し、簡単に中身をチェックします。この時点で、極端に応募規定から外れたような原稿は「選考対象外」として排除されてしまいます。
●一次選考(社外の下読み)
 賞によっては、数百から数千という数の応募原稿が集まるわけなので、とても全部の作品を選考委員の先生が読むことは出来ません。そこで、裏方選考委員である下読みの人が手分けして一次選考を行ないます。
 応募原稿は、数十本単位で社外の下読みの人に届けられます。下読みの人は全部の作品をきちんと読み、主催者の指示に従った評価を加えます。だいたい1割程度が、一次選考通過作品として残されます。
 この時点で、応募作品の9割が、たった一人の下読みの人にしか読まれないまま、落選になってしまうわけです。
●二次選考(編集部内の選考会議)
 下読みから上がってきた作品を、編集部全員で読んで、最終選考に残す作品を選びます。
 規模の大きな賞では、さらに三次選考〜が入る場合もあります。
●最終選考(選考委員による選考会)
 編集部内での予備選考を通過した作品のコピーが、最終選考の選考委員である、プロの作家の先生方に届けられます。
 この時点で初めて、事前に公表されている選考委員の先生方に、原稿を読んでいただけることになるわけです。
 そして選考委員が一同に会して、最終選考会が行なわれ、入選作品が決められることになります。


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