GF4はファンレスの夢を見るか
- ZALMAN ZM80-HP -
LastModified 03/03/10
「言葉では絶対伝わりきれないものは−
身体でつかんでいくしかないんだっつ!」
(島本 和彦著 「吼えろペン」より)
Siuro GF4 OTESと時を同じくして、ヒートパイプ式ファンレスシンクを搭載したGF4
Ti4200カードの記事がこことかここに掲載されました。
このファンレスシンクは、韓国ZALMAN社の製品
ZM80-HPで、こことかここにもある様に単体販売もされています。Siuto
GF4 OTESの爆音とへなちょこさに呆れてしまった四万十川としては、もしかしてでっかいシンクであればファンレスもまじで可能ちゃうか? などと考えてしまいました。
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という訳で、気が付いたらこんなブリスターパックは家の中にありました。写真でも判りますが、お値段は\3980でした。
改めて概要をご紹介しますと、これはビデオカード用のファンレスヒートシンクです。ビデオカードの表裏に巨大なヒートシンクを設置して、ヒートパイプで熱結合する事で放熱面積を稼ぐ事でファンレスを実現するという謳い文句です。
パッケージは、ドライバ迄セットになっており特別なスキルや工具を必要としなくても設置できる様になっています。
取り付けに際しては、ビデオカード側にシンク取り付け穴がある事が必須条件となります。最近のビデオカードであれば大体はOKでしょう。写真上はビデオカードへの設置ベースで、ビデオカード側の取り付け穴の間隔に合わせ2種類用意されています。
写真左下は、設置ベースに固定するヒートシンクで表裏用に2枚セットです。
写真右が、ヒートシンクを熱結合するヒートパイプ及びドライバです
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さて、見るからに怪しいこのパーツですが、膨大な熱を発生させるGF4に対して本当にファンレスを実現可能なのでしょうか?
1. 取り付け
それでは、実際に取り付けてみましょう。ABIT
SiuroGF4 OTES に取り付けてみます。
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設置ベースは、ビデオカード側の取り付け穴に合わせて大型のタイプを使用します。
取り付け穴の位置は、左写真のステンレス製ステーの位置を調整する事によって、かなり微調整がききます。
難点は、スレンレスステーにそれ程の剛性がなく、すぐしなってしまう事でしょうか。それさえクリアできれば非常に良い取り付け方法だと思います。
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ビデオカード表側に設置ベースを置いて、ネジ2本をビデオカード側の取り付け穴に通して裏側からキャップ状のネジ(スペーサ)で固定します。そして、ネジの残った部分を裏側の設置ベースに通して再度ネジ止めします。
つまり、表裏の設置ベースは直接ビデオカードをサンドイッチして固定する様にはなっていません。裏側の設置ベースは2本のスペーサを介して宙に浮いた形で固定されます。
下の写真では、こちらで設置したカスタムスペーサが写っているので、裏側スペースが浮いた感じはあまり判らなくなっています。
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設置ベースを表裏に固定 |
ベースを設置した後、ヒートシンク本体を設置ベースに対してネジ止めします。その際に、間にヒートパイプをサンドイッチして、表裏のヒートシンクを熱的に結合します。
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ヒートシンクの取り付け |
取り付けを終了すると以下の様になります。正直言ってかなり巨大です。AGP直下のPCIスロットは当然使用不可ですし、場合によってノースブリッジのチップシンクとも干渉しかねません。実際、初回取り付け時には、チップシンクとZALMANが接触し、チップFANが凄まじいビビリ音を発生しました。慌てて、位置を微調整することで回避できましたが。
この様な形で取り付けするので、取り付けの自由度はかなり高くなっています。現在(2002.12.30現在)市販されているGF4カードであれば、ほとんど対応可能でしょう。
その反面、上述した様に設置ベースの(剛性の弱い)ステンレスステーだけで取り付けているので、強固な取り付けとはお世辞にもいえません。手でぐいっと捻るとヒートシンクは少しずれてしまう感があり、この辺りは痛し痒しといった感じです。
この取り付け方法に関しては、非常に感心させられる点も多いだけに残念です。是非、メーカには改善を望みたい所です。
2. 実験結果
既出の結果と合わせる為以下の構成にて、3Dmark2001seで一番温度が上がる[GAME4
NATRURE]のみをループさせ、その際の各部温度を計測しました。尚、CPUは定格にしています。
機器 |
機種 |
備考 |
CPU |
PentiumW 2.5GHz |
SL6GT L239A630 2500@100x25 |
マザーボード |
GIGABYTE GA-8IRX改 |
TurboPLL装着済 |
メモリ |
MicronCrucial PC2100 DDR 256MB |
CT3264Z265.16T (Micron MT 46V16M8-75) |
冷却 |
UltraVapochill |
|
HDD |
IC35L060AVV207-0 80GB |
Deskstar 180GXP |
OS |
Windows Me |
|
ZALMANにおけるGPU/Memryのclockを2種類変化させた結果を、以下の表に示します。
GPU=275MHz
Mem=550MHz
|
室温
|
ケース内
|
VGA表 |
VGA
裏
|
備考
|
絶対温度 |
21.9 |
22.9 |
54.3 |
72.4 |
|
相対温度 |
|
0.2 |
32.4 |
50.5 |
GPU=315MHz
Mem=600MHz
|
室温
|
ケース内
|
VGA表 |
VGA
裏
|
備考
|
絶対温度 |
22.0 |
23.4 |
56.0 |
73.3 |
数loopで
ハング |
相対温度 |
|
1.4 |
34.0 |
51.3 |
相対温度同士で比較するとこんな感じです。
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ケース内
|
VGA表 |
VGA
表
|
備考
|
GPU=275MHz Mem=550MHz |
0.2 |
32.4 |
50.5 |
|
GPU=315MHz Mem=600MHz |
1.4 |
34.0 |
51.3 |
数loopで
ハング |
GPUのコアクロックを上げた場合の差は1℃程度なのでほとんど誤差といえるでしょう。しかし、GPU=275/Mem=550(デフォルト)においては数時間loopでも安定して動作したにも関わらず、GPU=315MHz/Mem=600MHzのOverClock状態においては数loopでハングしてしまいました。
3. 考察
前回のOTESの各種実験結果と今回のZALMANによる結果を以下にまとめます。
GPU=315MHz Mem=600MHz(室温との相対温度) |
ケース内 |
VGA表 |
VGA裏 |
オリジナル |
0.4 |
26.1 |
47.0 |
TAKA-VBF-3B |
0.4 |
27.1 |
42.5 |
TAKA-VBF-3B+OTESヒートスプレッダ |
1.6 |
25.9 |
44.5 |
TAKA-VBF-3B+OTESヒートスプレッダ+ピラミッドバッファ |
2.0 |
24.5 |
43.9 |
TAKA-VBF-3B+OTESヒートスプレッダ+ダクト |
1.3 |
31.2 |
49.9 |
ZALMAN |
1.4 |
34.0 |
51.3 |
各種ヒートシンクに比べるとやはりファンレスの不利は拭えず、温度的には一番悪い結果となっています。しかし、OTESオリジナルと比較して、その差は僅かに4.3℃です。完全に無音であるというメリットを考えると許容できる温度差とも言えます。
実際、今回の実験においてもSiuroGF4 OTESのデフォルト(GPU=275MHz Mem=550MHz)においては、完全に安定した動作を確認できています。ケース内温度やチップの個体差といった環境条件に左右されるので、絶対とは言い切れませんが、
GeForce4 Ti4400程度であれば対応は可能
とできる可能性は高いと考えて支障ないと思います。以上の事から考えて、完全ファンレスを目指す人には良いソリューションとなる可能性を秘めているのではないかと思います。
4. 独り言
という訳で、如何だったでしょうか? ファンレスでも意外といけそうだなというのが率直な印象です。
しかし、よっぽどファンレスに拘らない限りは設置体積、温度的な余裕度も含めて、処理能力の大きなヒートシンクをビデオチップの中心にきちんと密着させる方法がやはり四万十川的にお勧めです。いくら巨大なヒートシンクでファンレスにしても、所詮ファンレスはファンレス。ファン付きを越える物ではないといった所でしょうか。
ま、この辺り迄くると個人の好みですね。少なくとも私の好みではありませんが。ちっ、また無駄な買い物しちまったぜ。ま、
「俺の報いは、俺が受けるしかあるまい!!」
(島本和彦著 「吼えろペン」より)
なんですがね。
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