ビジョンを反映したプログラムを作れ
鈴木 だけど、制度が変わっても、人間は一緒ですからね。「そんなの興味がない」という人が少なくないのではないでしょうか。
運営者 だからホントのところは、みんな国立大学法人になったからといって、「ぜひ改革したい」と思っているわけではないわけですから、危機感のあるところから変わっていただくしかないということになるんでしょうね。
そういう中でおそらく外部の目を引くことになると思うのが、学外者のスカウトだと思うんです。
その研究分野に資源を投入したいのに、学内に必要な人がいないとか、人数が足りないということになったら、外から人をとってこなければなければならないわけですが。例えば静岡県立大学なんて、かなりうまくやってると思いますけどね。
鈴木 メディアに出てる人をいっぱい呼んでますよね。若手で、あそこで育った人も少なくありません。戦略的にやってるんでしょうね。
運営者 中西輝政さんもあそこにいらっしゃいましたよ。
それで、アカデミック・アドミニストレーターのもうひとつの仕事として、研究教育のレベルを上げるということがありますよね。その目標とか、実際の道筋を描く必要があるわけです。
大学にとっての仕事は何なのかというと「知」をつくること、そして「知」を広げていくことです。企業が収益を上げることが目標であるとするならば、大学にとっての目標はそれですよね。その効率を最大化させればいいということですよね。
鈴木 そうです。
僕はプログラムというのは、その当該組織のビジョンを共有しながら、役員というか責任と権限を有する者が作るべきものだと思っているんです。プログラムというのはビジョンに基づいた方針なんですよ。それはなにか具体的なものをやるという方針でして、その具体的なものというのはプロジェクトなんです。
運営者 教育の方針を決めるのは、あくまでも役員会であると。
鈴木 そうじゃないと、責任の取りようがないですからね。また変革することができませんから。どこかが責任を取ることにしなければ、社会を変える必要ないし、変えられないわけです。だれも責任をとらないのであれば、本来変える必要自体がないわけですから。
運営者 まったくその通りですね。ということは、各大学の戦略は、役員会を中心にして立てるべきであると。
鈴木 もちろん、学長を補佐する学長室みたいなのがあって、そこが自分たちの持っている資源や、お金や、地域性を考えて、より具体的な案を作ることが必要でしょう。それを役員会の承認を得て実行するわけです。