アカデミック・アドミニストレーター
鈴木 ビジョンをもっているのは当然ですが、学術的に優れ、アドミ的にも有能であるというように、2つの相反することができるわけですから、水の上を歩くことができるほどの凄い能力が必要なんです。
運営者 まさに竹中さみたいな人じゃないとだめだということですね。
まあ考えてみれば、サマーズみたいなのがハーバード大学の学長をやっているわけですから、そうなんですね。
それはしかし、日本語で言うところの学者というのは、「世間を知らない」とか、「経営なんか分かりません」というのが偉いということになっているわけですが。
鈴木 しかしこれからは、学長とか学科長になる人は、それではダメですよ。そういう人が選ばれているところと、そうでないところでは、10年くらいたつと差がつくと思いますよ。
例えば名古屋工大の柳田博明学長は、独法化の動き中で改めて教授会の信任を取ったわけですが、そういう趣旨では偉いと思いますね。そういう人をこれからどのようにして作っていくかを考えないと。
運営者 東大の佐々木総長もそうですよね。
一応、桜美林大学には「大学アドミニストレーター養成講座」があって、同じ人が慶応大学でも教えているみたいなんですが、講座内容を見ると経理面が中心のような感じがします。
鈴木 アカデミック・アドミニストレーターは、研究や教育に対する理解があり、金と人と情報の動かしかたすべてが分からないといけないわけですから、プロジェクト・マネジメントのようなものですよ。
運営者 プロジェクト・マネジメントであれば、ISOで標準化されているわけですから、研究プロジェクトや教育プログラムについてもどうすれば効率的か研究して、マネジメント手法を作ることもできるのではないかと思いますが。
鈴木 ある程度まではできるかもしれませんね。だけど、僕はどちらかというとそれは「サイエンス」ではなく「アート」の方ではないかと思いますよ。
運営者 わかります。レベルとしてはそこまでいかなければ、外国との競争に勝てるものができるはずはないとは思います。
だけど現況は、そこまでのレベルにはほど遠いと思うんですよ。マネジメントのレベルまでいっていないわけですから。
鈴木 そうですね、うまくみなさんに、「知」のマネジメントが大切なんだという意識を持ってもらわないとだめですね。それを知っているか、知らないかだけで、ずいぶん違うと思いますよ。