政策的な多元性を作りたかった
鈴木 そのためには、もちろん個人の能力も必要ですが、能力ではカバーできないものがいっぱいあるんです。
いろいろな業界を知っているということもすごく重要だし、万が一わからないことが出てきた場合に、違った業界に知ってる人がいっぱいいることが重要だと僕は思うんです。そういう人材は、なかなか日本の会社では食っていけないですよね。
運営者 鈴木さんは、わたしなんか足元に及ばないほど、そういう異業種にやたら知り合いが多い感じの方だと思いますけど。
鈴木 僕は、自分は高級フリーターではないかと思うんです。だけど、フリーターは社会の中では力を持てませんからね(笑)。
そうではなくて、社会の中でそういう職種をきちんと確立して、人が食べていけるような領域になっていないと、そういう横串的な人材は育たないと思うんです。
運営者 よくわかります。
で、鈴木さんは、東京財団において、そのような究極の政策アドミニストレーターをやっていらっしゃったわけですが、その時には何を考えて動いてらっしゃいましたか。
財団ですからお金と場所が先にあったとして、その他にいろいろなものを集めてこなければならないわけですが、どのようにして資源を集めてこられたのですか。
鈴木 僕は、日本の社会の中に、政策的な多元性を作りたかったんです。
別に反行政ではないんです、僕は。行政府の中にも仲のよい人はいっぱいいますしね。だけど行政とは違った観点から、政策とか「知」を考えられる何かを作りたいということを絶えず念頭に置いていたんです。
それはお金もそうだったし、人材についても。シンクタンクとしてきちんと確立するまでは、官僚の人を重要なポジションに入れていないわけです。それは故意にそうしたわけです。そうしないと、政府に巻き込まれてしまいますからね。
だけど、シンクタンクとして確立すれば、組織の名前が強くなりますから、ちょっとくらいは官僚の人が入ってきてもよいでしょう。
運営者 「どういう人材を集めるか」という人選なのですが、「シンクタンクとしてどういったことをやりたいか」という方針がなければ、だれでもよいというわけにもいかないわけですから、その辺の方向性はどのように策定されたんですか。
鈴木 直感ですね(笑)。
運営者 まさか(笑)。
鈴木 それと、さっき申し上げた、こちらが「行政でない人がほしいんだ」というあたりのことを理解してくれる人です。
ただ、イデオロギー的には、ばらつきがあったと思います。
運営者 それと、どうも華やかな人たちが多かったように思いますね。
鈴木 それは若干、竹中さんの趣味が入っているかもしれませんね(笑)。