■ tinyAVR 0、tinyAVR 1、megaAVR 0シリーズ用、UPDI書き込み器の製作 ■


 AVRマイコンのアトメル社が2016年にマイクロチップ・テクノロジー社に買収され、それ以降に発売された、「tinyAVR 0」シリーズ、「tinyAVR 1」シリーズ、「megaAVR 0」シリーズと、その後のチップ用の書き込み器です。


「tinyAVR 0」シリーズ、「tinyAVR 1」シリーズ、「megaAVR 0」シリーズの機能的な違い。

 ●「tinyAVR 0」シリーズの概要
フラッシュ
メモリー容量
表の上下方向はピン互換。
32 KB
16 KB ATtiny1604 ATtiny1606 ATtiny1607
8 KB ATtiny804 ATtiny806 ATtiny807
4 KB ATtiny402 ATtiny404 ATtiny406
2 KB ATtiny202 ATtiny204
8 14 20 24 ピン数
SOIC
1.27mm
SOIC
1.27mm
SOIC
1.27mm
外囲器
ピン間隔
VQFN
0.4mm
VQFN
0.5mm

 ※「tinyAVR 1」シリーズの各種機能が削減された安価版です。
 ・外部に水晶振動子を接続不可。
 ・EXTCLK端子に外部クロックを入力することは可能。
 ・アナログコンパレータ(AC)は、低電力モードのみ動作。
 ・イベントシステムのチャネル数が少ない。
 ・TWIのSDAとSCLピンの代替ピン機能は使用不可。


 ●「tinyAVR 1」シリーズの概要
フラッシュ
メモリー容量
表の上下方向はピン互換。
32 KB ATtiny3216 ATtiny3217
16 KB ATtiny1614 ATtiny1616 ATtiny1617
8 KB ATtiny814 ATtiny816 ATtiny817
4 KB ATtiny412 ATtiny414 ATtiny416 ATtiny417
2 KB ATtiny212 ATtiny214
8 14 20 24 ピン数
SOIC
1.27mm
SOIC
1.27mm
SOIC
1.27mm
外囲器
ピン間隔
VQFN
0.4mm
VQFN
0.5mm

 ・「tinyAVR 1」シリーズは、「tinyAVR 0」シリーズで削減された機能が実装されています。


 ●「megaAVR 0」シリーズの概要
フラッシュ
メモリー容量
表の上下方向はピン互換。
48 KB ATmega4808 ATmega4809
32 KB ATmega3208 ATmega3209
16 KB ATmega1608 ATmega1609
8 KB ATmega808 ATmega809
28 32 40 48 ピン数
SSOP
0.65mm
TQFP
0.8mm
PDIP
2.54mm
TQFP
0.5mm
外囲器
ピン間隔
VQFN
0.5mm
VQFN
0.4mm

・外部に水晶振動子を接続不可。
・EXTCLK端子に外部クロックを入力することは可能。
・[TOSC1]と[TOSC2]ピンに、32.768kHzの水晶振動子を接続可能。





UPDI書き込み器の製作
 
・以前のチップに使用されていた[ISP]書き込みから、1本のポートピンを使用する[UPDI]方式に変わり、
 純正の書き込み器は高価な「ATATMEL-ICE」となります。
・BASCOM-AVRは、「USB-シリアル変換モジュール」を使用した簡易UPDI書き込み器に対応している
 ので、USB-シリアル変換モジュールと1本の抵抗器で書き込み器を作製することができます。

回 路 図  PDF版 UPDI_Writer_Cir.pdf

部品配置図  GIF版 UPDI_Writer_Pcb.pdf

   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

・回路図の右下が、「USB-シリアル変換モジュール」と1本の抵抗器で作製する書き込み器の回路です。
・1つのポートピンでシリアルデータの送受信を行うので、送信時の電流の衝突を4.7KΩの抵抗器で
 回避します。
・「USB-シリアル変換モジュール」は他のモジュールでも可能ですが、秋月電子のAE-FT234Xは5Vの
 トレラント入力になっているので、ターゲット回路の電圧は3V〜5Vで使用できます。
 (3V以下の回路では書き込めない可能性があります)

・回路図の上側は、UPDI書き込み器とシリアル・ターミナルを搭載した回路です。
・「USB-シリアル変換モジュール」はAmazonや中国通販(AliExpress)で入手できるものです。
・DTR#端子により、書き込み時はUPDIの送受信回路に接続され、書き込みが終了するとシリアル・
 ターミナルに切り替わります。
・これにより、AVRのTXDとRXDピンに接続しておけば、書き込み終了後にBASCOM-AVRのターミナル・
 エミュレータで、シリアルデータの送受信を行ったり、デバッグに使用することができて便利です。
・ターゲット回路の電源電圧に合わせて、「USB-シリアル変換モジュール」のターゲット電圧のジャンパー
 ピンを切り替えて下さい。
 (作例では、3.3V-5Vのジャンパーピンをスライドスイッチに変えてあります)

 
・書き込み器のテストには、「megaAVR 0」シリーズの[ATmega4809]と「PCF8574 I2C LCD アダプター」
 を使用した回路で行いました。

・[LCD_I2C_PCF8574.lib] ライブラリを、
 C:\Program Files\MCS Electronics\BASCOM-AVR\LIB\ に保存してからコンパイルして下さい。

 XTINY 用のテスト。(BASCOM-AVR(製品版)とXTINY Add Onが必要です)
プログラム  テキスト形式 ソースファイル  PCF8574_Adapter_Test_XTiny.TXT
 BASCOM用 ソースファイル  PCF8574_Adapter_Test_XTiny.bas
  
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)




BASCOM-AVRの設定

・「USB-シリアル変換モジュール」がWindowsに
認識されない場合は、使用するモジュールの説明書に従ってUSBドライバーをインストールしてください。

・デバイスマネージャー画面で表示される、「USB Serial Port (COMx)」の、COM番号を控えてください。

・「BASCOM-AVR」を起動します。

・メニューバーから、
 [ Options ]→[ Programmer ] と進みます。

・「Options」ウィンドウが開きます。
 
・Programmerのプルダウンメニューから、
 [MCS UPDI]を選択します。
 
COM-port」に、控えたCOM番号を設定します。
BAUD」に、115200を設定します。
 (ボーレートの最大値は225000)

・[ Ok ] をクリックします。


◎ これで、BASCOM-AVRから「UPDI」が
  使用できる状態になります。


・参考のプログラムやオリジナルのプログラム
 ソースを開きます。

・ツールバーの 「Program chip」 アイコン
 をクリック、または、[F4] キーを押すと、
 プログラムの書き込み画面が表示されます。

・コンパイルしたプログラムは、自動的に
 書き込み画面に呼び出されます。
・任意のHEXファイルは、[File]→[New]で
 新規のソース画面を開き、書き込み画面で
 [Buffer]→[Load from file] でファイルの選択
 ウィンドウを開き、拡張子を[.hex]にして
 ファイルを開きます。
・ボードのUPDI端子に書き込み器が接続されて
 おり、ボードの電源が正常に通電されて
 動作している状態にします。

・[ Chip ]→[ Identify ] または をクリック
 して、ステータス欄にデバイスのIDが表示
 されればOKです。


◎ 「Chip ID」や「ボード上のAVRチップ名」が
  正常に表示されない場合は、絶対に
  書き込み操作を行わないで下さい。

 
 この作業は、書き込みを行う前に必ず
 実行する事を推奨します。





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