■ 秋月電子製 DDSキット コントローラの製作 ■


 秋月電子通商で販売されている、DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザー)キットを、AVRマイコンで制御するコントローラを製作しました。
 DDSの発生周波数を、テンキーとボリュームで、簡単に設定できるようにしています。
 
 ○ キー入力モードは、テンキーで、周波数値をダイレクトに打ち込むことができます。
 ○ ボリュームモードは、6種のプリセットされた周波数範囲を、回転により可変できます。
    (微調整では、±120Hz分可変できます)
 ○ スイープモードは、開始、終了、間隔の周波数をキー入力し、周波数掃引を行います。
 ○ メモリー機能では、任意の周波数を、3つプリセットできます。
    複雑な値の周波数も、2キーで呼び出すことができます。
    (プリセットした周波数は、EEPROMに記憶し保存されます)


回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・5VのACアダプターから電源を供給します。
 ・5V以上のACアダプターは、絶対に接続しないで下さい。

2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、ATmega88-20を使用し、動作クロックは、8MHzの内蔵RC発振器を使用して
  います。

3.キャラクタLCDモジュール
 
 ・秋月電子の、超小型LCDキャラクタディスプレイモジュール(16x2行バックライト・オレンジ) を
  使用しています。 [SD1602HUOB(-XA-G-R)]
 ・液晶のコントラストは、半固定ボリュームで調整できます。

4.キー入力回路
 
 ・4×4=16個のキースイッチを、キー・マトリックス回路で接続し、BASCOM-AVRの「GETKBD」
  命令で検出しています。
 ・キースイッチは、「FUJISOKU TM1-01 10mm枠」や、汎用のタクトスイッチが使用できます。
  (このスイッチは、型番がわかりにくいので注意して下さい)(「小」という表記もあります)
  (本体はTM1-01に、7.5mm角用のボタンと、枠(外形が10mm)のセットです)
 ・「キースイッチ かさ上げ基板」を使用することで、LCD面との高さ調整も可能です。

5.ボリューム回路
 
 ・AVRマイコンのA/D変換器を使用して、ボリュームの回転角度を検出しています。
 ・周波数調整のボリュームは、汎用のφ16小型ボリュームを使用し、微調整には、秋月電子の
  センタークリック付ボリュームを使用することで、12時方向への固定が容易になり、操作性が
  向上します。

6.DDSキットのシリアル制御
 
 ・DDSキットは、[SCK]、[DATA]、[/STB] の3本の信号で、シリアル通信制御をします。
 ・詳細は、キットの説明書に記載されています。

7.DDSキットの信号出力
 
 ・このDDSキットは、サイン波出力が標準になっており、既存の回路では、出力のローパス
  フィルタで、8MHz以上がカットされる設計になっています。
 ・サイン波の高調波ノイズを妥協すれば、もう少し高い周波数まで使用できるので、ローパス
  フィルタに使用されているコイルとコンデンサの値を、既存値の半分にしました。
   L1、L2、L3 = 0.47μH  C12、C15 = 180PF  C13、C14 = 330PF
 
 ・キットの、D/Aコンバータ用ポート出力(DA0〜DA9)は、33.554431MHzまで出力が可能です。
 ・また、最上位ビットの(DA9)は、サイン波形の符号ビットにあたるので、この信号がサイン波形と
  同じ周波数の、方形波出力に使用できます。
 ・この(DA9)信号を取り出し、出力に接続する回路の異常で、DDSのLSIが故障するのを防ぐため、
  74HC14を出力バッファーに使用しました。
 
 DA9信号は、面実装されている抵抗アレーのピンからしか
 取り出せないため、ハンダ付けに自信がない場合は、
 方形波(TTL)出力をあきらめて下さい。
 
   DDSのLSI → 35ピン
   抵抗アレー → 1ピン

 ◎キットの改造による破損について、責任を負いません。



回 路 図  GIF版 DDSCNTcir.gif (94KB)  PDF版 DDSCNTcir.pdf (262KB)

部品配置図  GIF版 DDSCNTpat.gif (125KB) 部品表
アートワーク  GIF版 DDSCNTaw.gif (99KB)  
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  DDSCNT102.TXT (25KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル
 (BASCOM-AVR(製品版)が必要です)
 DDSCNT102.bas (25KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。

       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)



 
前面

 
 後面

 
プリント基板
(Rev.1)

 
基本部品の取り付け


 
キースイッチ

 
キースイッチの取り付け

 
制御基板 部品面

 
制御基板 ハンダ面

 
DDS基板 部品面

 
DDS基板 ハンダ面

 
DDS基板のケース実装

 
制御基板のケース実装

 
ケース内 右側面

 
ケース内 左側面


AVRマイコン ATmega88の、ヒューズ ビット書き換え
 
AVR ATmega88のシステム クロックは、工場出荷時に1/8前置分周器が有効に設定されているので、これを無効にします。
また、内蔵EEPROMを使用しているので、電源ON/OFF時に起こるAVRの暴走を防止するために、BODリセットを有効(4.3V)にして下さい。

下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。

    ヒューズ ビット書き換え

 6.[ FusebitC ] の右欄 [ 0:Divide Clock by 8 Enabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide Clock by 8 Disabled ] を選択します。
 
   [ Fusebit DEF ] の右欄 [ 111:BOD disabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 100:BODLEVEL 4.3 V ] を選択します。

「AVRWRT」 ライターの場合は、AWRTf_DDSc.gif



製作について
 
部品表は、部品の背が低い順に記載してありますので、この順番に取り付けて行きます。
 
・ジャンパー線は、すずメッキ線や、被覆電線を使用して下さい。
・抵抗器は、4目 (2.54X4 = 10.16mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・ICソケットは、必要に応じて取り付けます。(AVRマイコンを、直接ハンダ付けすることも可能です)
・積層セラミックコンデンサは、2.54mmピッチの物が取り付け可能です。
・電解コンデンサは、背が高いため、横に寝かせて取り付けます。 (極性に注意して下さい)
・コイル (インダクタ−)は、種類によって、取り付け方法を変えて下さい。
・LCD端子 ピンヘッダは、先にメイン基板へ取り付けて、LCDを取り付けた後で、LCD基板に
 ハンダ付けします。
・キャラクタ液晶表示器(LCD)は、メイン基板より3mm浮かして取り付けます。(スペーサーを使用)
・小型ボリュームは、ケースに合わせて、取り付け方法を工夫して下さい。
 
・キースイッチは、「FUJISOKU TM1-01 10mm枠」や、汎用のタクトスイッチが使用できます。
・キースイッチかさ上げ基板を使用することで、LCDやボリュームとの高さ調整を行えます。
・タクトスイッチには、足の幅が2.54ピッチでない物がありますので、ピンの間隔を基板に合わせて
 調整して下さい。
キースイッチに、「FUJISOKU TM1-01 10mm枠」を使用する場合は、位置決め用ボス
 (小さな突起)を、必ずカッターで切り取って下さい。

・また、接点により、取り付ける向きが決まっていますので、下図のようにメーカー名が、
 縦になる方向で取り付けて下さい。
   
 
・メイン基板からDDSサブ基板へ、3本の制御線を配線します。
・電源の配線は、ケースにより任意に配線して下さい。
 
5V以上のACアダプターは、絶対に接続しないで下さい。
 (接続ミスを予防するには、電源ラインに「RD6.2F(1W)」のツェナーダイオードを入れて下さい)



操作方法
 
1.電源投入
 
 ・電源が投入されると、ファンクション0 「Fn0」の、キー入力モードになります。
 ・DDSの出力は、停止状態になっています。
 
 ・[Fn] キーを押しながら電源を投入すると、現在のプログラム・バージョンが表示され、キーを
  離すと通常動作に入ります。
 

 
2.ファンクション [Fn] キーの操作
 
 ・ファンクション [Fn] キーは、DDSに周波数を設定する機能(方法)を選択します。
 ・[Fn] キーを押すと、LCD画面の「Fn」文字の右に、カーソルが点滅します。
 ・続いて、0〜9の数字で、機能を選択します。
 

 Fn0 - キー入力モード
 Fn1 - スイープ開始周波数の設定 + メモリー1
 Fn2 - スイープ終了周波数の設定 + メモリー2
 Fn3 - スイープ間隔周波数の設定 + メモリー3
 Fn4 - ボリュームモード (0〜12.8 KHz) 可変
 Fn5 - ボリュームモード (0〜25.6 KHz) 可変
 Fn6 - ボリュームモード (0〜 127 KHz) 可変
 Fn7 - ボリュームモード (0〜1.27 MHz) 可変
 Fn8 - ボリュームモード (0〜12.7 MHz) 可変
 Fn9 - ボリュームモード (0〜25.5 MHz) 可変

 
3.「Fn0」 キー入力モード
 
 ・キー入力モードでは、数字キーにより、任意の周波数を設定することができます。
  (0〜33.554431MHzまで)
 ・LCDの左上に、キー入力状態である「Ky」が表示されます。
 ・数字キーを押すと、LCDの2行目右端から、左送りで数値が表示されて行きます。
 ・数値入力の後、[Hz]、[KHz]、[MHz] のいずれかのキーを押すことで、周波数が決定され、
  LCDの1行目に、発生する周波数を表示し、DDSの出力が開始されます。
 ・数値入力を訂正する場合は、クリア [C] キーを押して下さい。
 
 
 ・周波数を設定後、[C] キーを押すと、一時的にDDSの出力を停止させることができます。
 ・停止後、数値キーを押さずに、[Hz]、[KHz]、[MHz] キーのみを押すと、停止時に設定されていた
  周波数を呼び出して出力を再開します。
  ([C] と [Hz]、[KHz]、[MHz] キーで、出力のON/OFFを切り換えることができます)
 
 ・入力値が、33.554431MHz以上の場合は、自動的に33.554431MHzに修正します。
 ・0以下の小数点を使用する場合は、先に0を付けて下さい。 (0.123 = ○  .123 = ×)
 ・その他、桁数や周波数範囲に問題がある場合は、自動的に近似値に修正されます。

 
4.「Fn1〜3」 スイープ・モード (周波数掃引)
 
 ・スイープ・モードは、スイープ開始周波数から、終了周波数までの範囲で、自動的に周波数を
  変化させることができます。
 ・変化させる周波数間隔(ステップ)も設定できます。
 ・周波数調整ボリュームにより、変化させる速度も可変できます。
 
 ・[Fn] → [1] キーを押すと、開始周波数の入力を求める、「St」の文字が表示されますので、
  数字キーと [Hz]、[KHz]、[MHz] キーで、設定して下さい。
 ・[Fn] → [2] キーを押すと、終了周波数の入力を求める、「Ed」の文字が表示されますので、
  同様に設定して下さい。
 ・[Fn] → [3] キーを押すと、周波数間隔の入力を求める、「Sp」の文字が表示されますので、
  同様に設定して下さい。
 ・周波数間隔を入力した後に、周波数掃引が開始されます。
 
 
 ・周波数掃引を中断する場合は、[C] キーを押して下さい。
 ・停止後、[Fn] → [3] → [Hz]、[KHz]、[MHz] キーを押すと、停止前の設定で、再度周波数掃引が
  始まります。
 
 ・開始、終了、間隔の周波数は、EEPROMに記憶されますので、電源を切った後も、設定値は
  残されています。

 
5.「Fn1〜3」 メモリー機能
 
 ・スイープ・モードで設定された周波数は、EEPROMに記憶されるので、この値をメモリー機能として
  使用することもできます。
 ・[Fn] → [1]〜[3] キーを押すと、記憶されている周波数がLCDの1行目に呼び出され、
  同時にDDSから、その周波数で出力が開始されます。

 
6.「Fn4〜9」 ボリューム・モード
 
 ・[Fn] → [4]〜[9] キーを押すと、LCDの左上に、ボリューム設定状態である「Vr」が表示されます。
 ・LCDの1行目には、ボリュームの設定による、現在の出力周波数が表示されます。
 ・LCDの2行目には、ボリュームで可変できる周波数の範囲が表示されます。
 
 
 ・「Frequency」ボリュームで、選択された周波数範囲の可変ができます。
 ・「Adjust」ボリュームでは、「Frequency」での設定周波数から、±120Hzの微調整ができます。



○パーツの参考資料
 ・プリント基板  「サンハヤト」 感光基板 12K 紙フェノール 片面 1.6tx100x150mm
   (基板材質を、紙フェノールからガラスコンポジットに変えました)
 
◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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