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ウォーゲーム (1992)ちくま文庫
ウォーゲーム


スーヴェニール Souvenir / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 Fantastic Universe(1954.10) 原稿到着1953 短編 第59作

伝説の惑星は、偶然見つかった。宇宙開拓者、ウィリアムスンが太陽系の新しい惑星として発見した。
しかし、その後、彼と家族は行方不明になり、その小さな惑星の場所は知られる事はなかった。300年の間。

宇宙飛行士ロジャースがその地に着陸すると、そこには若い男がいた。名前はジーン ウィリアムスン。6代目の孫だった。

「素晴らしい土地です。ここなら、みんな来たがるでしょう」
 そこは穏やかな丘陵と畑の惑星。しかし人々は徒歩で歩き、不便そうだった。
「銀河中継ステーションからの支援もなしに暮らして来たのだから無理もありません。
   これからは、支援を受け発展する事ができます」
「何故です。我々は、あなた方の連絡は受信していました。
   しかし、それに従うつもりはない。連絡を無視していただけです」

日は暮れ様としていた。遠くには巨大獣を使い畑を耕す農夫の姿のシルエットがあった。
「文化的な生活をおくるつもりはないのですか?」
「我々のモデルは中世の荘園です。それに技術的にも21世紀の地球程度の技術を持っています」
「そんな、古代の技術で快適に暮らしていけるのですか?それにロボットはどこです?」
「我々はロボットを使いません。人間が働くのです」
「あなた方は機械に対する差別主義者ですか。自動車だって機械ですよ」
「判っています。しかし、どこまでも機械化するのが良いとは思いません」

ロジャースはジーンの家に招待された。木製のコップ、碗。シチューにサラダ。
「これは...まるで、中世の食事だ!」
「そうです。我々はここで伝統的な家長制度の下、暮らしています」
「この家の電気は?」
「水力発電しています」
「す、水力!それに、まだ電気を使っているのですか...」

「この紋は?」
「わが部族の紋です。この星には中央機関はなく、各部族は、惑星の重要問題を決める時に1票を持っています。
   そして、年に1度、各部族で最も勇敢な者同士で戦うのです。また、部族ごとに劇作や上演をしています」

「しかし、どうして銀河中継基地による文化政策を受けないのですか?人々は平等に文化を享受し、
   また戦争も無くなっています。中継基地の情報を受け入れ、ウィリアムスンの見つけた太陽系外
   初の植民地を、銀河最良の地にしようでは、ありませんか?」
(管理者注:ここに到って、ウィリアムスンの発見した惑星が、太陽系の中なのか、外なのか、
   判らなくなりました。が、まあ、本質ではないので...火星に空気があった時代の事ですから...)

「それは何ですか?」
「法人契約書です。ここに印を押せば、すぐに銀河文明に参加できます」
「あいにくですが、最終結論は国民投票が終わっています。我々は参加しません」


その頃戦闘宇宙艦のピート船長は、新発見された惑星軌道から、重力服を着てダイブした。
地表までは、すぐだった。
着地したピート兵長は、辺りを見渡した。そこはまるで、地球の田舎だった。


「残念ですね。その結果も、ご存知なのでしょう。それでは6時間の猶予を与えます。銀河文明以外の文明は
   認められません。6時間経ったら、あなた達の星は我々の一員になるか、銀河から消滅するかを選ぶ事になります」
「戦争ですね」
「決着は一瞬で着きます。今のあなた達の文明では、防ぐ方法はないでしょう。文明に差があると戦争は起きるのです」
「戦争を無くすために、文明差を無くす。文明差をなくすためなら、戦争も起すと言う訳ですか?」
「ともかく、もう一度国民投票をしたら、どうですか?結果は変わるでしょう」
「無駄でしょう。しかし、こんなやり方をしても、我々の考えは受け継がれますよ!」


「彼らは降伏するでしょうか?」
伝説の世界は発見された。文明は遅れているが、素晴らしい世界だ。
しかし、ここは破壊され様としている。あと6時間の内に。

6時間後、旧式のロケット群が飛んできた。彼らは最後まで抵抗するつもりなのだ。
しかし、戦闘宇宙艦に近づく事も無く、それらは消滅した。
「あんな旧式機で、戦おうと思ったのか?では伝説は伝説のまま消えるとしよう。原爆地雷の設置はどうだ?」
「もう完了しています!」


ピート兵長は、家に戻った。妻のグロリアと息子のマトスンが待っていた。
「ねえ、パパ。お土産はないの?」
「これだよ。めずらしいだろ?水を飲む物だ」
木製のコップだった。そしてそれを包んでいる手染めの布。
「どうだ、このコップ。手彫りだ。不思議な形だろ?それにこの布の模様を見ろ。想像できるかい?」
「すごいわね?見た事もない模様だわ!」

マトソンはコップに釘付けだった。
「パパ!ありがとう!」
マトソンの眼には、今までにない光がやどり始めていた。


..............

ま、そ、いう、事で


記:2012.06.12


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三分 小説 備忘録

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