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ウォーゲーム (1992)ちくま文庫
ウォーゲーム


有名作家 Prominent Author / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 If(1954.5) 原稿到着1953 短編 第55作

ヘンリーは朝支度を、慌てて行っていた。
ニューヨークの会社までは160マイルジェットで1時間だ。
しかし、彼は今まで一度も遅刻した事はない

「9時55分!あと5分だ」
彼は居間のスカットラーに飛び込んだ!
間に合った!今日も。

スカットラーは彼の会社が発明した一種の空間生成機である。この中ではぴったり5歩で160マイルを進める
のだ。この画期的な商品はまだ売り出されてはいない。ヘンリーは社内のモニターとして使用しているのだ。

ビルの前に付くと、同僚達が走って、会社に入る所だった。
その時、ヘンリーはスカットラーの出口のぼんやりした雲の中に、虫を見た。
いや、虫ではなかった三人の小さな人だった。よく注意して見なければ判らない程の。

その三人はヘンリーを見上げていた。ヘンリーも口を開けて、彼らを見つめた。
もう一人増えた。四人はキイキイと声を上げた。

突然ヘンリーは声をかけられた。
「おい!遅れるぞ!」
同僚のドナルドだった。ヘンリーは共に会社に入った。


その日の帰りヘンリーは研究員のパトリックに声をかけた
「あなたはスカットラーの研究にかかわっていましたね。
   スカットラーの空間はどこに繋がっているのですか?」
「それはだな...今、ここにハンカチがある。
   そして君は二次元の生物だとする。君は今、ここだ...」
「私が、聞きたいのは、例え話ではなく、実際にどこを通っているかです」
「君の任務は商品モニター、スカットラーの安全を確認する事だ。
   理論は知らなくても良い。不具合があったら報告すれば良いのだ」
「実は...いや、何でもありません」

ヘンリーが帰りにスカットラーを通ると、そこにはまた、小さな人間がいた。
人数は増えていた11人いた。大人と子供。ヘンリーを見て驚いていた。


「さあ、早く食べて、美味しいわよ!シリウスもぐらのステーキなんだから!
   ...??いったい、どうしたの?」
「いや、何でもない。万事、快調さ」


翌日も小人はいた。何かを差し出していた。小さな紙だった。何かが書かれているが小さくて読めなかった。
ヘンリーは札入れに挟んだ。小人達は隙間に逃げた。その奥には、丘や畑が見えた気がした。


「拡大鏡をかしてくれ」
ヘンリーは例の紙をスライドに挟み、見てみた。
不思議な文字の羅列だった。彼には読めない。そうだ!

彼は研究部門のピーターソンを訪ねた。
「翻訳機を使いたいんだが、実はケンタウリCから手紙が来たんだが、僕には読めないので...」
例の紙の拡大図を入れると、言語コンピュータは文字を吐き出した。
それは、質問だった。

ヘンリーはそれを読み、図書館に電話を入れた。
「文化研究部門につないで欲しいんだが...実はケンタウリへ返事を出したいんだ。
  
同じ言語に変換してくれ。文面は...」


その帰りも、彼らはいた。また別の小人だった。
ヘンリーは彼らに、小さな紙を渡した。小人は逃げて行った。
「さあ、これで終りだ」


終りではなかった。次の朝は別のグループがいた。
彼らは別の質問を持っていた。ヘンリーは、その紙を受け取った。
また、翻訳機を使い、図書館の文化研究部門に連絡した。そして、新しい回答を作った。

ヘンリーは充実していた。自分は良い事をしている。


「ねえ、あなた?『良い事をしている』って何の事?」
「いや、最近、面白い仕事を始めたのさ」
「それは、良かったわね」


ある日、トンネルの中に、建物が立っているのに気がついた。それは、礼拝堂の様だった。
間違いない、僕のために建てられたものだ!彼らは私が大きすぎるために、完全に形を理解
してはいない様だった。しかし、間違いなく、僕の姿を模したものだった。

彼の所に、上司のミラーが怒鳴り込んできた。
「お前にスカットラーを使わせているのは、よけいな事をさせるためじゃない!規律違反だ!貴様はクビだ!」
「何の事ですか?」
「とぼける気か?スカットラー空間の中の1マイルの時空の裂け目を何故、報告しなかった?それに
   ケンタウリからの手紙だと?お前が解読させたのは古代ヘブライ語だ!
   トラブルがあったら、全て報告せよ!の業務義務を忘れたのか!」
「何もトラブルはありません。私は全て上手くやっていました」

ミラーはヘンリーに本を投げつけた。
「古代工芸品保管所から借りて来たんだ。読んでみろ!お前の返事が、ここに乗っている!」


クビになったヘンリーはその本を貰って家に帰った。
「この本は何?随分と古い本ね...『聖書』って書いてあるわ」
「ああ、僕の処女作なのさ」


..............

転送機スカットラーは「カンタータ百四十番」に出てきます。あっちでは、しょうもない事に使われていますが
(驚愕のアイデア=愛人を隠すため!)、本来は、この話にある様に、「ペイチェック」の「タイムスクープ」
ばりの、世界を変える発明な訳ですね。
世界を変えると言えば、「アフター サーヴィス」には「スウィブル」って奴がありました。

記:2012.06.10


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三分 小説 備忘録

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