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宇宙の操り人形 (1992)ちくま文庫
宇宙の操り人形


奇妙なエデン Strange Eden / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 Imagination(1954.12) 原稿到着1953 短編 第60作

ジョンソン隊長はその惑星に降り立った。
「悪くない星だ」

「しかし、良い星ほど、すぐに空き缶やポリ袋でゴミだらけになりますよ」
ブレントは地上に飛び降りた。

「こんな自然豊かで素晴らしい星が見つかっていなかったとは...ラッキーだ」
「ここに、何か足跡がある。どうもネコ科の動物の様みたいですよ」
「猛獣じゃないか?」
「ちょっと、俺はこの『国立公園』を楽しんで来ます」
「注意しろよ!」
ブレントは、この動物を撃ってやろうとしていた。


水源があった。ここに動物は集まるはずだ。
言って見ると、何種類もの動物がいた。みな大きい。人間ほど、あるものばかりだ。

その中に大きな猫の様なモノがいた。あれだ!
ブレントは、狙いを定めた。しかし、奴は寝ている。これじゃ、スポーツマン シップにもとる。
せめて、奴が起きている所じゃないと...

と、考えているブレントの頭を、背中から、くんくんと嗅ぐものがいた。
慌てて、飛び退くと、あの大猫と同じ種類の奴だった。それも二匹!

ブレントの額から汗が滴り落ちた。
大猫達は、そのまま行ってしまった。


油断はできない!もしも、襲われたら、ひとたまりもなかった!
しかし、ここは素晴らしい星だ!この自然!素晴らしい掘り出し物を見つけた!

しかし、彼の喜びもつかの間だった。
銛を抜けると、目の前の草原に、洒落た家を見つけたのだ。
既に、住人がいたのだ!

煙突からは煙が出ていた。牛の様な動物が寝そべっていた。

ブレントは、戸口の前に立った。ノブはなかった。必要がなかった。
ドアは自然に開いた。ブレントは中に入った。

大きな玄関だった。奥の部屋は絨毯が敷かれ、壁画や彫刻が飾られていた。

「ようこそ、ミスター ブレンド!」
金属製のようにきらめく布をまとった少女がいた。

「こちらへ、どうぞ」
少女は隣の部屋へ入って行った。

そこには男がいた。食事をしていた。ブレンドの顔を見ると、不愉快な顔をした。

「失礼、食事の邪魔をするつもりは、なかったのだが...」

男は無言で出て行った。
そして、庭の向こうにある宇宙艇へと乗り込んだ。

「弟よ。喧嘩をしてたの、もう良いわ。あなた、お腹はすいてらっしゃらない?」
少女は、ロボットに命じた。直ぐにテーブルに食事が用意された。
出された食事は、とても美味しかった。

「地球の方が、いらしたのは、初めてだわ」
「じゃあ、どうして、地球の言葉が話せるんだい?どうして、俺が地球人だと判る?」
「スキャナーで近寄る宇宙艇は観察してるの。それから地球の言葉は、以前、地球人から習ったわ」

「さっき、地球人が来たのは初めてだと言ったけど...」
「私達は、たびたび、あそこを訪れるのよ。中継地点なの。滞在した事もあるわ」
「じゃあ、君達は何者なんだい?」

「始まりは知らないわ。でも私達は、宇宙に行き渡っているの」
「どうして、人間は今まで君たちと会わなかったんだろう?」
「あら、会ってるわよ。数え切れないくらい」

「君は一体、幾つ何だい?」
「年?年などないわ。あえて、あなた達の感覚に近く言うと...1万歳かしら。」

「じゃあ、神様だ」
「そうじゃないわよ。貴方達と同じ。ただ、古い民族と言うだけ」

「人類の神話は本当だったと言う訳か」
「あなた、チェスをしない?知ってるでしょ。地球人に教えたわ」
「チェス?俺はやらない」
「じゃあ、もう一人の方ね。彼ならやりそう」
「ジョンソン隊長の事か?あんな奴は放っておけ!」

ブレンドは少女を抱きしめた。
「やめなさい!変な事はしない方が良いわ」
少女は逃げた。

「ああ、でも宇宙船の中でも、体を鍛えていた甲斐があったぜ」
ブレンドは少女に踊り掛った。

だが、ブレンドは弾き飛ばされた。
力波が、彼を直撃した。

「貴方は帰りなさい。貴方とは、うまく行きそうも無い」
「今の...力は、何だ?」
「私達の護身具よ。このベルト。原理は知らないわ。ただ使えるだけ」

「君は、どう見ても小娘だが、俺は全く叶わない」
「小娘とは言えないわ。初めて地球に行った時は、まだ文明はなかった。その次は、エジプト人が、
   アジアへ進出を始めていた頃。ローマとインドの帝国を訪問した事もある。貴方は知らないけど、
   幾つもの星に、似たような文明はあるの。私は色々見てきたわ」

そう話す少女の横顔は、子猫のようだった。
「もう、帰りなさい」
「いや、俺は帰らない。帰りたくない」
「ここには居られないわ。貴方が、変化しても良いなら、別だけど。私達は人間を傍に
   置こうとは思わないのよ。御なたが変わっても良ければ...」


ジョンソン隊長はいらいらしていた。ブレンドはまだ戻らない。
しびれを切らして、自分も探検に出かけた。

すぐに、あの家を見つけた。少女に会った。

「ごめんなさい。でも彼は、ここにとどまるそうよ」
「奴はどこにいるんだ?どこに行ったんだ!」
「もうすぐ、やってくるわ」

しかし、ブレンドは来なかった。大きな猫の様な生物がやってきたでだった、
ジョンソン隊長は待った。しかし、ふとブレンドはもう戻ってこないと思った。

隊長は、宇宙船を発射させた。下を見ると、あの猫が前足をむなしく振っていた。
その姿はまるで人間の様だった。


..............


とても普通な、とっても普通な話です。
これは私がディックに期待している話ではありません。

記:2012.05.15


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三分 小説 備忘録

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