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SFマガジン1970年5月号
SFマガジン1970年5月号


不法侵入者 The Cosmic Poachers / フィリップKディック 訳:関口幸男のあらすじ
初出 Imagination(1953.7) 原稿到着1951 短編 第8作

地球軍シリウス防衛隊のシェア将軍は尋ねた。
「侵入船はどこの星の船だ?」
「アドハラ星と思われます。輸送艇ですが、武装もしています」

「アドハラ星?クモ人じゃないか?所詮は昆虫だ」
「彼らが昆虫なら、人類はキツネザルですよ」

そして、人類の勢力下であるシリウス系の第10惑星に、彼らの船は降り立った。我々へのコンタクトもなしに。


船のハッチは開き、中からは小さな黒点が、うじゃうじゃと出てきた。それらは散らばり、
辺りの調査をしている様だった。この不毛な惑星の表面で。

やがて、黒い点は、船の中に吸い込まれる様に、消えて行った。最後の点が、船に入ると侵入船は、
第9惑星へ移動した。同じ事が繰り返された。

「奴らは一体、何を探しているんんだ?よし、第4惑星に行け!待ち伏せしよう」


第4惑星には、水と多少の大気があった。

「巡洋艦を使って、奴らの周りに蒸気幕を張ってやれ」
侵入船の着陸地点に巡洋艦を誘導した。

巡洋艦は侵入船の上から、蒸気幕を噴出させた。侵入船の外壁が見る間に腐食し始める。
アドハラ星人が船から、ぞくぞく出てきて、船の外壁に、その長い脚で登り、腐食を防ごうと作業を始めた。
まるで蟻塚の中のような騒ぎだ。

そこに爆弾を投下する。もちろん、脅しだ。直撃はしないが、爆風でアドハラ星人は吹っ飛んだ。侵入船からも
攻撃が始まった。しかし、巡洋艦はいち早く逃げ出していた。
侵入船は損傷を受けた。当分、航行はできない。
やがて、侵入船から、一筋の閃光弾が空に放たれた。降伏のサインだ。

「さて、船の中を見せて貰おうか」


船外でシェア将軍を迎えたのは、アドハラ船の艦長だった。人間ほどの大きさのクモ型星人。華奢な四脚。
複眼。口はあるが、耳はない。武器らしいものも携行している。

通訳官が、カチカチと不規則な音を立てた。それを聞いた(?)アドハラ星人達は、武器を置いた。

「どうやって、彼らと意思を通じさせたら良いんだ?」
「不可能ですよ。積荷を見て、判断するだけです。こいつらだって、この星が人類の占領下だって事は、
   百も承知なんですから」


シェア将軍は侵入船の中に入った。酷い悪臭だった。しかし積荷を確認し、こいつらの意図を
見極めなくてはならない。

奥へと進む。武装したアドハラ星人達がいるが、いざとなれば、銃をぶっ放すだけだ。

行き止まりのドアに付いた。
(開けろ!)と身振りをするが、反応がない。アドハラ星人達は、カチカチと興奮の音を立て出した。
邪魔だ!とばかりに、シェア艦長は、スレム銃をドアに放つ。
ドアは溶解した金属となり、穴が開く。アドハラ星人達は、大騒ぎになり、走り回った。

気が付くと、シェア船長一行の周りは、アドハラ星人だらけだった。武装しているモノも多くいる。
このままでは、危険だ。しかし、この中には、彼らにとって重要なものがある!


「かまわん!先へ進むぞ!」
シェア艦長に続き、地球人達は船庫へと入る。


「こ!これは...」
そこに、あったのは、まばゆいばかりの宝石だった。

大粒の真珠の様な輝く丸い石。
「こんなものを、こっそりと、集めていたとは?クモ達め!」
「しかし大量です。あらかじめ、先祖が隠した宝地図があって、それに沿って収集していたんでしょう」

「伝説のお宝狩りに、危険を顧みず、人類の占領地までやってきた訳か」
「しかし、今は、この星は人類のものだ。当然、このお宝も、我々、地球人に帰属する!」
「それで、危険を犯して、こっそり取り返しに来たのか...」


シェア艦長は、宝石を手に取った。そのまばゆさは角度によって異なる。反射する光は、
きらきらと様々な色に変化した。まるで、生きている様だった。

「たしかに、これには魅せられる!本物のお宝だ。俺にもわかる」
「これを見たら、地球の女どもは、首に一つずつかけたがるぜ!」

「よし!全て、徴収しろ!宇宙法違反だ!」
「そんな事、言ったって、彼らには何も判りませんよ」
「構わん。手続き上の事だ。本来は重罪だが、とっとと追っ払え」


「しかし。あんなお宝が隠れていたなんて、我々の星系調査隊は何をやっていたんだ?」


アドハラ船艦長は、母星へ連絡していた。
「まずい事になりました。ミッションは、途中で中断させられました。積荷は地球人に奪われたのです」

「どうして地球人は、積荷を欲しがったのか?」
「わかりません?」
「それに、どこへ持って行ったのか?」
「地球です。温暖な気候です」

「それなら孵化も早いだろうし、繁殖力も旺盛だろう。水も大気もある星なんて。餌にも苦労しない。
   しかし、地球人の精神は理解しがたいな。我々の卵を、自星に持ち帰るなんて!」


..............

え?これが、ディック??
驚くほど、フツウのSFです。第8作ですので、習作なんでしょうか?

コメント必要ですか?
この作品にコメントを付けるなんて、ムチャ振りに近いですよね。

一応、原タイトルの説明。 Cosmic Poachers = 宇宙の密漁者 だそうです。

記:2012.01.09


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三分 小説 備忘録

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