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地図にない町 ディック幻想短編集(1976)-早川文庫
地図にない町


ありえざる星 The Impossible Planet / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 Imagination(1953.10) 原稿到着1953 短編 第41作

「あの、ばあさんには参りましたよ。どうしても切符を売れって言うんです。
   ないと言っても諦めないんです」
その言葉を聴き、アンドリュウス船長は、そのばあさんに会いに出た。

執事ロボットによると、ばあさんは350歳。リガU星から、やって来た超長寿者だった。
「ご主人様は、耳が遠くなられています。リガから、このフォーマルハウトへ、
   旅行して参りました。ここなら、地球への便が出ていると、伺いましたので」

「はああ?地球??伝説のあれですか。そりゃ無理だ。あれは伝説ですよ」
「しかし、ご主人様は地球の存在を確信しております。いつか人類の故郷、地球の
   地を踏みたいと、ここまで長旅をして来られたのです」

「しかし、無理は無理だ。『あの!お客様!切符はありません!地球はないんです!』」
「値段が高いんですか?お金ならあります。千ポジティブスなら、どうでしょう?」

「せ、千、ポジティブス???えええっと、わかりました、あああ、今回、特別に
   地球便を出しましょう。特別ですよ。ラッキーでしたねえ」
「せ、船長。馬鹿な事をすると、捕まりますよ。今度は20年だ」

「良いから、ケンタウルスUの情報センターを呼び出せ!地球の情報を探すんだ!」

「地球はケンタウルス−リガ戦争の際に失われた惑星で、九つの惑星を持つ系の
   第三惑星で、衛星を一つ持っています」
「手近な所を探してみろ。この条件に合う惑星だ。お、エムファー星系にある
   じゃないか。これで良い。地球を見つけたぞ。さ、行くぞ!」

「船長、エムファー系と言ったら、良くある航路ですよ。大丈夫ですか?」

「さ、お客様。早速、地球へ参りましょう!」


エムファーV惑星の大地が眼下に見えてきた。暗赤色の大地、ドス黒い雲に覆われ、
生命の痕跡は僅かだ。古代の海は干上がり、陸地には大きな穴が点々としている。

「これが地球...信じられん...」
「しかし、これが地球なんです。月もそろそろ見えます」

「地球は緑の星なんじゃ!どうして、こんな事に!」
「開発が過ぎたんですな」

地表へと着陸した。
大地に降りて老婆は言った。
「ここは、本当に地球なんじゃな?本当の事を言ってくれ」
「間違いありません」

「そうか、では海に連れて行ってくれ」
宇宙船は汚らしく覆われた海辺へと移動した。


老婆は海へ向かって歩いて行った。ぬかるみに足を取られても、沖へと進んだ。
執事ロボットも後を追った。老婆が動けなくなると、ロボットは彼女を抱きかかえ、
沖へと進んだ。やがて二人の姿は見えなくなった。

「嫌な星だ。ここは...」
船長は宇宙船へと戻って行った。ふと下を見ると、古びた小さな金属があった。

船長はそれを拾った。そこには、彼には読めない古代文字が彫ってあった。

「世界はひとつ」(米国コインに刻まれたラテン語)

船長は、それを投げると、宇宙へ飛び立って行った。


..............

うそつきにはバチが...落ちかと思わせて、結局、「サルのは..」落ちでしたね。

で、次も、切符をよこせの話です。

記:2011.09.30


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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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