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地図にない町 ディック幻想短編集(1976)-早川文庫
地図にない町


名曲永久保存法 THe Preserving Machine / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 Fantasy and Science Fiction(1953.6) 原稿到着1953 短編 第53作

私はラビリンス博士から、発明品の話を聞こうとしていた。

その時、博士の毛布の上に大きなカブト虫が止まった。それは、威厳に満ちた動きで、
毛布の山を越えると消えて行った。

ラビリンス博士の話は、こんなものだった。

博士は思った。現代文明は頂点を極めている。やがてローマ帝国と同じ道をたどる。
暗黒時代と文化の滅亡。
美しいもの、価値のあるものは、はかない。やがて忘れ去られてしまう。

博士はこれらを、特に自分の愛する音楽が消えてしまう事が残念でならなかった。
ブラームス、モーツアルト。それが消えてしまうなんて!

博士は『名曲保存機』を考案した。爆撃機が博物館を破壊しても、その楽譜はモグラの
ように穴を掘り、逃げ出すのだ!なんて素晴らしい思い付きだ!

博士は早速、名曲保存機を作ろうとした。
しかし、彼は機械に弱かった。

そこで、設計図をスケッチすると、幾つかのしかるべき研究機関に送りつけた。
殆どの研究機関は兵器開発で忙しかったが、ある機関が協力を申し出てくれた。

試作品にロックンロールの楽譜を入れると、二匹のネズミが飛び出した。
ネズミはすぐに、ネコに食べられてしまったが、ま、とにかく大成功だ。


博士は実験を始めた。大作曲家の名曲を永久に保存するのだ。

モーツァルトの楽譜を入れると、モーツァルト鳥が現れた。小さく、クジャクの様な模様だった。
ベートーベンの楽譜を入れると、カブトムシが現れた。毛布に止まっていた奴だ。

シューベルト羊は子犬のように飛び跳ねた。
博士は思った。こんな弱そうな動物達で、戦争を生き延びられるのか?しかし、あんなに
強そうな恐竜だって、滅びてしまったし...。

ワグナー獣は、体が大きくまだら模様で、かんしゃく持ちだった。
ブラームス虫は円盤状の多足生物で、孤独を愛し、ワグナー獣が嫌いだった。

バッハ虫は、丸っこい生き物の群れで、大小、様々な同じ形の生物だった。
ストラヴィンスキー鳥は、頭に奇妙な飾りをつけていた。
博士は、次々と新種の生物を産み続けた。

博士は思った。こいつらで、本当に戦争を乗り越えられるのか?
しかし、彼らが住んでいる裏庭は、今、どんな様子になっているんだろう?


裏庭に入ると、シューベルト羊が死んでいた。誰がやったのだろう?
そして、こちらを探っている猛獣を見かけた。ワグナー獣だ。野生化し、凶暴になっている!

「痛い!」 バッハ虫は毒針を備えていた。
「捕まえろ。新たな実験をするのだ」
博士はバッハ虫を捕まえると、部屋へ戻り、名曲保存機に入れた。

機械はガタガタと動き、楽譜を1枚印刷した。
博士は、それを見ながらピアノを弾いた。

曲は酷いものだった。歪曲、支離滅裂、無意味、言語道断...

「と、言う訳だ。生存のための行動は、倫理やマナーを軽視すると言う事だ」

庭ではベートーベン カブト虫が、自分で作った小屋の中に、閉じこもっていた。


..............

どうなんでしょう?私は、ちっとも面白くありませんが...
しかし、機械が苦手な発明家って言う設定は、すごいですね

記:2011.09.26


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三分 小説 備忘録

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