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 時間飛行士へのささやかな贈物(ディック傑作集２)-早川文庫
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電気蟻 The erectric ant (1969) / フィリップＫディック 訳：浅倉久志 のあらすじ 有名会社の社長であるプール氏が、気がついたのは、ベットの上。 （どうしたんだろう。ああそうか、右手の調子が悪かったんだ。 それで、医者へ来たんだった。しかし、どうしてベッドに寝ているんだ？） そこで、彼は、医者に言われます。 「プールさん。調べましたら、あなたは有機ロボットの電気蟻です。ここは人間用の 病院ですから、あなたの修理はできません。で、これが請求書です」 「請求書だと？俺にどんな治療をしたんだ。それに、ここは、電気蟻に治療は できないくせに、費用は立派に請求するのかね？」 「請求は、あなたが人間の振りをして、我々が騙されていた間の時間分です。 さあ電気蟻のサービス ステーションはあちらですよ」 渡された地図を頼りに、プール氏は修理工場に行った。 そこでブール氏は"修理"を受けた。技術者が自分の腕を外し、中を調べ、交換する。 腕の中には、人口の皮膚、血液、その奥に見える、ギヤやバルブのメカニズム。 彼は、技術者に言います。 「俺は電気蟻だったのか？知らなかった。会社の社長になる前の記憶はニセものだったのか。 俺は機械仕掛けの奴隷だったのか」 「でも面白かったろう。会社の役員には今時、多いよ。下手な人間よりも、電気蟻に任せた方が 良いって言うオーナーさんも多いしね。しかし、なぜ今まで気が付かなかったんだ。時々夜中、 何もないのに、ジーっと音がしたり、カチッと音がしたりしなかったか？」 「俺はどうすれば良いんだ」 「どうすればって、これで腕は元通りさ。もう問題ないよ。元通りさ」 彼は家へ帰り、ジャック ダニエルを啜ります。 「俺は生き物の真似をしている機械だったんだ」 そして、部屋にある健康管理端末に、俺の全身をスキャンしろと命じます。 自分の意識の元とも言うべきプログラム回路はどこにあるのか、調べさせます。 すると、心臓の上に「さん孔テープ（昔のプログラム記述紙）」の読み込み部があるのに気が付きます。 さん孔テープの穴をひとつ塞いで見ると、目の前の机が消えました。 どうも、彼の周りの現実は、すべてこのさん孔テープから産み出されているようです。 そこに、サラが入って来ます。 秘書であり、愛人でもある美しいサラ。 「サラ、俺は電気蟻だったんだ」 「でもあなたが、会社で尊敬を集める立派な人である事は、みんなが判っているわ」 「俺は、何なんだ。俺の感情はいったいどこから来るんだ」 彼は、自分のさん孔テープで実験を始めます。 勝手な孔を開けると、目の前を鴨が飛びます。 （ひとつ、ひとつが様々な現実と結びつく。では、すべてをＯＮしたらどうなるのだろう） 彼はサラが止めるのも聞かず、さん孔をテープを切り、「すべてが孔」の状態にします。 彼の頭の中に、リンゴが、丸石が、縞馬が、浮かび。強風が吹き、あたり一面がサラだらけになり、 夜空と、昼と、洪水と、旱魃が．．．そしてやがて彼は活動を止めます。 痙攣し、動きを止めるブール氏！ サラは泣き崩れます。 愛する男を失ってしまった悲しみ。 しかし、サラは気がつきます。 自分の顔を覆う手が薄く透き通り始め、回りの壁や崩れ出した事に。 この世界を支えていたのが、誰だったのか。彼女は、今、理解できました。 ．．．．．．．．．．．．．．
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三分 小説 備忘録 [どんな落ちだっけ？] |
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