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模造記憶-新潮文庫
模造記憶


あんな目はごめんだ The Eyes Have It (1953) / フィリップKディック 訳:浅倉久志 のあらすじ
初出 The Collection Stories of PKD Vol.5(1987) 原稿到着1975 短編 第116作

私は気がついてしまった。既に、私たちの世界に異形の侵略者が紛れ込んでいる事を!

誰かが、バスの中に忘れていった。この恐ろしい本を読んで、私は気がついたのだ。
この異常な話を、貴方にも聞いていただこう。

この物語には、異星人のおそるべき生態が描写されている。それもさりげなく、こっそりと。
例えばこんな感じだ。

「彼の目は、ゆっくりと部屋の中をさまよった」

なんと異星人は、目を体から外して、さらに、ふわふわと浮かばせる事すらできるようだ。

また、こんな描写もある。

「彼はジュリアを抱きしめた。しかしジュリアはそれを嫌がったので、彼は腕を離した」

その体から離された腕は、いったいどこに置いたのだろう。そもそも、腕をはずして痛くないのだろうか。
痛くないとすると、それは一体どんな生物だと言うのか?

「映画館の前で、我々は二つに分かれた。映画館と軽食店に」

これは、細胞分裂の事ではないか!彼らは無生殖で増殖するのだ!

驚いて本を読んでいる私に、
「あら、そんなに熱心に何を読んでいるの?」と妻が話しかけてきた。

私は慌てて本を隠した。このようなおぞましい話を、純粋無垢な妻に読ませてはいけない。

それ以降も、読み進めると
「彼女は、自分の手を彼に預けた」
「そして、彼は、彼女の唇を奪った」
「彼女の目は彼を追った。遠く離れて行くその姿を、どこまでも、どこまでも」

目、目が、それほど、遠くまで離れて行ってしまうとは!!

もう、私には、この本を読み通す自信がない。

こんな酷い本を読む事ができる、私には、そんな"神経はない"。


言葉遊び、フレデリック ブラウンっぽいですね。
まあまあ、よくできてます。

記:2011.04.09


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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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