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P.K.Dick
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ディック短編作品 年代表を見て

ディックが短編を量産していた頃 1951-1954は決して長くありませんが、時期的な特徴もあります

まず1951の中期ですが、ここでは『ジョンの世界』、『人間狩り』、『髑髏』などの、後の映画的ディックの世界観を
描く作品が書かれています。ターミネータ的な「人間 対 機械戦争」の概念は、既に確立していた訳です。
他には、『干渉者』、『報酬』と言った、よく出来た、見事な落とし噺が書かれています。
すなわち、『センダンは双葉より香んばし』。

そして、私が言うところの「すっとこどっこいなヒーローもの」『妖精の王』も既に初期で書いています。
これはちょっと意外ですね。『妖精の王』は、もう少し、年代が後の作品と言う印象がありました。

次が1953年前期ですが、ここで特徴的なのは、「TVドラマ:トワイライトゾーン」的なサスペンス感です。
『赤狩り』とのアナロジーもあります。
『パパそっくり』、『ハンギング ストレンジャー』、『ちょっとした隠し事』、『にせもの』などの作品ですね。
ディックの作品は映像的ですが、これらの物語は、あまりに映像的なため、既視感すらあります。

1953年後期では色々な要素が混ざってきます。
それまでも書いていましたが、ファンタジーの傑作『この卑しい地上に』、宗教ものの「輪廻の車」、ヴァンボート
的な急展開アクション『変数人間』、政治−マスコミ 風刺の『CM地獄』、『傍観者』などが書かれています。

そして、1954年ですが、私の好みでは、ここが最も素晴らしい時期で、『パーキーパットの日々』、『囚われのマーケット』
『探検隊は俺たちだ』、『超能力世界』など、どうやって、こんな事を思いついたか判らない、驚愕的な作品が続きます。
この時期のディックは素晴らしいです。ドラッグのせいかなあ...

(いや、ドラッグのせいと、決め付けるのもなあ...フランク ザッパだって、ノン ドラッグであれだけ、驚異的な作品を
作ったし、ジェームス ブラウン バンドだってドラッグ禁止だったそうだ...でも、伝え聞かれる彼らの、エピソードは
1960年代後期のものだ...1950年代の中期なら、まだ珍しくて、礼賛されていたかも...「知覚の扉を開ける」
なんつって...ともかく『超能力世界』には、ドラッグ服用の経験が刻印されているのは間違いないだろう...いや、
その根拠の一つとも言える蜘蛛のエピソードは、ドラッグではなく、幼少期のの体験であると、『凍った旅』で書いているぞ...
どっちだ??? あ!ぼけっとしてたら、長くなった。すまん!)


さて、それ以外でも『マイノリティ レポート』、『不適応者』、『超能力者』、『サーヴィス コール』、『ウォー ゲーム』....
何ですか1954年、こりゃ???普通の作家の一生分の傑作が、この1年未満に詰まっています。
我々は、この作品群に、驚き以外の何を感じれば良いのでしょうか?そりゃ、ドッグフード食ってたら、オカシクもなるわ。

私は、いつも世界史年表の1954年に、「米国SF作家ディック、名作群を発表」と書き足しています。


そして、この後は短編の発表が減ります。
これ以降の短編は、「水蜘蛛計画」の様な、「ふざけた」「すれた」作品もありますが、長編と関連のある作品が
増えます『小さな黒い箱』→「アンドロ羊」などの、後の長編のプロトタイプです
(後にも「シミュラクラ」、「聖なる侵入」などの元となる短編作品ですが、両者共、2012.08.26時点で未邦訳...
少し待っててね。今、進めてます)。

しかし、そうならなかった純粋な短編としても『電気蟻』、『追憶売ります』、『まだ人間じゃない』、『凍った旅』ですから、
この人は、つくづく凄い人だなあ、と思います。こいつは「人間じゃない」(Pre-person ならぬ、Post-person)??


記:2012.08.29


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三分 小説 備忘録

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