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狼の一族  - 早川書房2007
狼の一族

他の惑星にも死は存在するのか? Is There Death on Other Planets? ジョン スラディック John Sladek
  異色作家短編集18 アンソロジー アメリカ編 狼の一族 早川書房2007 訳:柳下毅一郎 のあらすじ

地球に帰って、コーラを飲みたい、とピーターは思った。
惑星ランプキン。今の俺はスパイだ。合衆国エージェント。


「俺がスパイをするって?無理だよ。俺はただの宇宙乞食だ。この服だって宇宙船の帆で作ったものさ」
「君がスパイを出来る様には見えない。それこそが、君がスパイをする適性があるって事さ。
   いいか?ランプキンは合衆国相手に、戦争をしようとしている。奴らが大量のミサイルを打ち込む計画だ。
   君には、敵のコンピュータを制御する、ある機械をロケット ターミナルにいるエイドリアンと言う男に
   渡して欲しい。その機械は、昔のビニール レコードの形をしている」
「ある機械はどうやって手に入れるんだ?」
「この小箱でだ。煙草に見えるが、こいつはタイムマシンだ。君はこれを使って、未来の自分を見る。
   そこで君は金庫の扉を開ける。その方法を覚えておけば良い。簡単だろう?」
「だが、タイムマシンを使うとなると、どこかにパラドックスがあるんじゃ、ないか?」
「ともかく、その機械を使って、我々は、敵のコンピュータに、戦争が合衆国の勝利で終わったと、
   信じ込ませる。それから、我々の軍隊が、ランプキンに着陸するのさ。さ、始めよう!」


後ろからサングラスの男が付いてくる。
通い慣れたアニーの店に入った。

大丈夫か?小箱を握る。しかし、男達に取り囲まれた自分が見えた。ダメだ。

男が店に入って来た。光線銃をこっちに、突き出した。
「その鞄の中身を見せて貰おう」
「ただの、昔のレコードさ」
「アンドリュー シスターズの『アップル ブロッサム タイム』だったら、お前を逮捕する」
俺の気が遠くなった。


気がつくと、先ほどの男とブロンド娘が話をしている。ここは、明るい部屋だ。
「だからあ、この鞄は絶対に壊れない素材で、こいつは鞄を、離そうとしないのよ」
「だったら、体を調べて鍵を探せば良いだろう?」
「こんな不潔な奴に触れるなんて、ゴメンよ!」
「あああ、俺は起きたんだが…」
「不潔野郎、変な真似をせず、大人しく鞄を開けろ」
「ああ、判ったよ」
と俺は、鍵を取り出す振りをしながら、開いていた窓から飛び出した。


気がつくと、元の部屋だった。
「どう、言う訳だ?」
「ここは閉じた世界なのさ。『外』なんてものは存在しない」
「閉じてる?なら、どうやって生きていくんだ?何を食う?」
「愛があれば、生きていけるわよ」
近づくブロンド娘は体から、高電圧のコロナを放出し始めた。

「ロボットか!愛で生きてくなんて奴は。ロボットに違いない!」
俺は逃げる。部屋の隅へ。娘の手が伸びる。その時、部屋が消えた。


「君の名前は?」
真っ白な部屋だった。影に取り囲まれて、俺は座っていた。
「その鞄の中身は?」
その時、警報が鳴り響いた。これは、宇宙船だ。そして、この音は、隕石の接近警告音!

ここは、宇宙船の操縦席じゃないか。
「小惑星を避けるんだ!」
俺は直ちに。ギアをバックに入れた。光速度で後退だ。
「死んでしまうぞ!まず、その鞄を放せ!」

小惑星が船殻に当った。中に侵入してくる。光速移動のため、物質と反物質が衝突し、
残留物質が、ネバネバのエイリアンとなって産まれた。頭に、二本のアンテナがある。

「俺様に食われたいか?」
「俺が襲われた、一番怖い奴は、お前の何倍も怖かった」
「ほお、興味があるな。ゆっくりと、その話を聞こう。まず、その鞄を置いたらどうだ?」

俺は逃げた。通路へ逃げると、不活性物質があった。俺はそこに隠れる。
エイリアンは俺に気づかず、通り過ぎる。

よく見ると、その不活性物質は、自動車だった。俺は、それでハイウェイに飛び出した。


リアミラーに光点が現われる。タクシーだ。距離をどんどん狭めて来る。こいつは逃げられそうに無い。
なんせ、それはホバークラフトだった。

この道はヘアピンカーブに続く。道端に女が居て、ヘアピンを崖に落とす。
そして、谷底への着地音に耳をそばだてる。服はトレンチコートだ

俺は言う。
「乗って行くかい?」


女が腕の中に飛び込む。アクセルを踏んで、ラジオのスイッチを入れる。
『…地域によっては曇りでしょう。さて、本日のトップニュースです。死刑囚ピーター オヘアが
   脱走しました。鞄を持った凶悪犯は、並行宇宙を逃走中です…』

グローブがポンと開き、中から小男が飛び出した。手には自動銃を持っている。

「さあ、鞄を渡して貰おう」
「なあ、イッカクダコの話は知っているかい?」
「動物のジョークなんかに興味はない。俺はキツネだからな。
   この女はメスキツネで、お前が見惚れている間に、俺が忍び込んだんだ」
「じゃあ。蚤の話には興味があるだろう。昔、イランで蚤のサーカスをしていた男がいた
   1001匹蚤ちゃん大行進って奴さ。ところが一匹逃げ出して、捕まえたんだが、
   そいつは、あわてて蚤を数え出した。一匹、二匹…」
キツネが話を聞いている間に、俺はダッシュボードから配線を二本引き出した。そして、それをショートさせる。
「…998、999…」
俺は飛び出した。車は炎になって道を走って行った


イナゴの大群が空を覆っていた。
俺は反重力機械に飛び込んだ。船に辿り着くと、そこで恐怖の胞子生物に見つかった。

俺は、偽足に捕らわれた。そいつは俺を消化し始めた。すぐに分裂が始まる。俺
は二人になり、四人になり、数分後には数十万の小さい俺になった。

とたんに、俺は群集心理に捕らわれた。略奪したり、喧嘩をしたくなった。放火も良いな。
俺達は、胞子生物をに火をつけた。胞子生物は、あわてて、俺を砂漠へ吐き戻した。

俺の大群は、鞄をどうするかで、殴り合いの喧嘩をしていた。一人、一人倒れ、最後の一人になった。


「先生、起きて下さい…」
「…はああ、フロミンジャー方程式を考えながら、寝てしまったか」
ピーター オヘア博士(俺)は助手のメリッサに尋ねた。
「一体、どうなっているんだ?」
「並行宇宙はコースを外れ、このままでは、互いにぶつかり爆発してしまいます」
「では、どうする?」
「私達は、互いの並行宇宙に戻らなければなりません」

博士は計算尺で、戻り方を計算した。
「では、メリッサくん…」
「博士、お慕いしておりました。お別れに、何か思い出の品を頂けませんか。その鞄とか?…」

ピーター博士は、その時、部屋の壁が三面しかない事に、気づいた。
四つ目の壁があるべき場所は真空の暗闇で、目が輝いていたのだ。

罠だ!
俺は銃を担いで、舞台を見る群集目がけて、ぶっ放し、出口へ逃げた!
「暴君に死を!」


「さて、この地獄から、どう抜け出せば良いか?」
気がつくと、原住民の叩く太鼓の音が止まった。
茂みから現われたのは、白人男性。

「我が名はヴェルギリウス。旅の者よ。君の心を解放する。さあ、その重荷を我に預けよ」
「これでもくらえ!」

詩人は逃げ出した。
そこは、元々、着陸したロケットターミナルだった。
そこには、縛られたエイドリアンがいた。

俺は彼の縄を解いた。
「奴らが欲しいのは、その鞄の中身のビニール レコードじゃない。レコードは目くらましで、
   大事なのは鞄そのものだ。実は、その鞄はアンティークで、高額な保険金がかかっている。
   それを自分で盗んで、大金をせしめ様と…」

「なるほど」
俺は、エイドリアンに鉛弾を8発くれた。
さて、これで地球ともおさらばだ。ちょっと寂しいが、これがスパイと言うものさ。

..............

なんだ、こりゃ…って、思うでしょうが、こう言う作品なんですよ。これでも、右往左往が減って、話の骨格が、かなり見やすくなっているとは思うんですが
(だから、つまらんのか…はあ、そうですかあ)

記:2013.01.25


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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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