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ビアス アウルクリーク橋の出来事/豹の眼
   - 光文社文庫(2011)
ビアス アウルクリーク橋の出来事


月明かりの道 / ビアス Ambrose Bierce 訳:小川高義 のあらすじ

1.ジョエルの証言

私ほど不幸な人間はいないでしょう。財産も人望も教育もあり、幸せな暮らしをしていた。それなのに...
これからするお話は、19歳の時の事です。

私は大学に通っていました。しかし、ある日電報が届いた。あわてて帰ると、母が殺されていたのです。

それは、こう言う事でした。
父は所用でナッシュビルに行き、翌日の午後に帰る予定であったが、都合があって、急遽、その夜遅くに戻った。
父は玄関の鍵を持っておらず、裏へ回った。そこで、逃げ出す人影に出会ったのです。
使用人の密会かとも思って、後は追わなかった。
しかし、闇の中で何か、大きなものに、つまづく。それは、母でした。母の死体でした。
母は首を絞められ殺されていたのです。盗まれた物はありませんでした。

それから、私は家へ戻ったのです。

それから、数ヶ月後、町へ出た私と父が、夜、家路へと帰っていました。屋敷の前で、父は突然、叫んだ。

「何と言う事だ!あれを見ろ!」
「どうしたの。何もないよ?」

父は家に近づこうとはしませんでした。
その時、家に灯が点きました。使用人が、我々の帰りに気づいたのです。
私は、ほっとし、少し灯を見ていました。
「さあ、父さん。帰ろう」

しかし、父の姿はありませんでした。父は、それ以来、私たちの前から消えてしまったのです。


2.キャスパーの証言

今日は生きている。でも明日は判らない。
死体になって、人に迷惑をかけてからでは遅いので、今の内に書いておこう。

私はキャスパー、いや767番でも良い。先日、警官の二人連れが、私の顔を見て、こう言った。
「お前、767番に、似てるな」
その時、鉄格子が閉まる音が聞こえた。もう私の命も長くなさそうだ。


こんな、バラバラな事を書くなんて、俺は、たいした詩人だ。いや、頭がおかしいだけだ。
頭がおかしい、って言っても、バカって訳じゃない。物心ついた頃から、俺は大人だった。
まだ二十歳なのに、まるで気分は老人だ。時々、精神を見失うのだ。

裕福な農場主をしていた記憶がある。妻もいた。愛していた。子供もいた。しっかりした子供だった。
しかし、みんな何処に行った?記憶がない。


ある晩、ふと思いついた。妻の貞節を試してみたくなった。つまらん小説の、たわごとを真似たのだ。

つまり、こう言う事だ。妻には、町に出る。帰りは、明日の午後だ、と言い残す。
だが、実は、その晩、こっそりと帰って来るのだ。裏から侵入した。裏戸は開けて置いたのだ。

しかし、その裏戸から、出てくる男がいるではないか!案の定!
嫉妬に狂い、その男を追うが、すぐに見失う。

しかたなく、寝室に入る。ベッドは暖かい。しかし、妻はいない。
俺が帰って来たのを知り、こっそりと逃げ出したに違いない。

俺は怒りで震えた。妻を探し出してやる!
しかし、ドアの方へ行くと、うっかり方向を間違えた。そこで、女の体に当る。
妻だ!こんな所に隠れていた。俺は怒りで、その首を絞める。締め上げる。妻は悲鳴すら上げられず、抵抗する。
その体を膝で押さえ、更に絞める。

と言う夢を見る。

しかし、これが夢なのかは、良く判らない。もう一つの夢もある。

俺は、家へ帰る。そうあの日だ。明日の午後に帰ると言いながら、その晩帰った日。

道に女がいる。白く、浮いている。妻だ。じっと、私を見つめている。俺は前へ進めない。
こう、書いているだけでも、俺の手は震え出す。

どちらの夢が本当なのか?ともかく、俺の地獄行きは決まった様なものだ。


3.霊媒師ベイロールズによる、故ジュリアの証言

その晩、私は、不安で寝付けませんでした。ドアの外に悪魔がいる様な気がしましたが、灯を点けると、
かえって悪魔を呼んでしまうと思い、それも出来ませんでした。そして、階段を登って来る音を聞いたのです。
私は、ただ、震えていました。その足音は、部屋の前で止まりました。
私は恐ろしさに、震えるしかありませんでした。

しかし、その音は、やがて降りて行きました。私は、ほっとしました。悪魔は去りました。しかし、
また足音が近づいて来ました。今度は、音を立て、登ってくるのです。私は、恐怖に、ベッドを出て、部屋の隅に
縮こまっていました。悪魔は入って来ると、辺りを探り、私の見つけると、首を絞めたのです。
私は愛する夫の名を呼ぼうと思いますが、声は出ず、そのまま、この『影の国』の住人となったのです。

私は、この家に留まりました。夫や子供に会いたかったのです。しかし、彼らに会う事は出来ませんでした。

しかし、ある日、庭にいた私は、夫と子供が、こちらに近づいて来るのを見たのです。私が夫を見ると、
夫も私の事が見えているのが、判りました。私は夫に近寄りました。もう一度、あの腕に抱かれたい...

しかし、私の願いは叶いませんでした。夫は顔を青くして、逃げて行ってしまったのです。

私は、ここで子供が、私の元に、招かれるまで待つだけです。

..............


芥川問題ですね。これは。

日本人の短編好きが、いつかは通る道、芥川問題。

つまり、短編好きなら、あの芥川龍之介の、切れのある短編は、気に入ると思うのです。
第一、芥川賞ですよ。直木35より格上でしょう。エライ!スゴイ!

で、『杜子春』、とか、『羅生門』、おなじみ、『蜘蛛の糸』ですからね。
名作ですわ。とにかく読んで面白い。

でも何故か、そんなに面白くない『トロッコ』なんかが褒められたりする。最高傑作とか言われて、がっかり、でもないが肩透かし喰う感じ。
なんで、これが???『杜子春』とか『魔術』なんかは、どうなるの?『虱』なんかも、大爆笑だぞ...ってなりますよね。

で、少し読書家を続けて行くと気づく。あれ、『杜子春』って元ネタあるんだ...って言うか、インスピレーションの元はあるとは聞いていたが、
その元話を読んでみると、丸パクリじゃん。まるで翻訳、超訳って感じ。
さらに、気づく。え?『蜘蛛の糸』も....えええ!『羅生門』も!...なんと『魔術』も...『虱』ですら、元々は落語らしい(管理者、未確認)
...『トロッコ』すら事情が...そして、この話、つまり『藪の中』も...

彼は、作家と言うより、翻訳者だったんじゃ、ないでしょうか。そして、こう言う事がスルーされると言う、不思議な感じが、
またマスコミ的なのであります...って、続きは、明日のココロだあ!(次回は、大江健三郎、問題か??)


記:2012.11.24


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三分 小説 備忘録

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