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アトランティス創造 現代ソビエトSF短編集3 - 早川SFシリーズ
アトランティス創造

アトランティス創造 Человек,создаЮщий атдантиду
ワレンチナ・ジョラヴリョーワ 訳:深見弾 の あらすじ

海を渡った先にアトランティスはある。轟音の向こう。船窓からは見えない。
イルクーツク号は、二度、その島に接近を試み、失敗していた。
噴火が収まり、溶岩が固まり、灰が消えるまで、待つ必要があった。

それは三ヶ月前の話だ。

私は潜水艦ジンゴで水深150mを航行している。これから、潜水ロボットを降ろす。
仲間の潜水夫レブジンは言った。
「まるで、ドブに捨てる様なもんだ」
「どうして?」
「噴火口に入れば、ガイド光線は当らなくなるし、その後の自律航行って言ったって、
   たいしたもんじゃない。例えば、デカイ海蛇が出たら、潜水ロボットはどうするね?」
「しかし、サイバネティクスと言うのは現代の最先端だが...」

「あなたは、アトランティスに興味があるらしいが?」
「ええ、古代の文献を漁っています。ギリシャ人がアトランティスと戦ったなら、それは地中海の
   東部にあったと言える。しかし、また別の文献ではクレタ島が、その一部だと言う説も...
   いったい、どちらなのか?」
「そこが、問題ですよ。アトランティスには色々な説がある。そのどれかが正しいんじゃなくて、
   アトランティスとは、そう言うものなのでしょう。具体性がないのです。これは現実の都市
   ではない。現実でないなら、発見など無意味!要は造れば良いんです。つまりアトランティス創造!」

アトランティスを見つけるのではなく、創造する?そんな考えがあるか??

私はその馬鹿げた考えに異を唱えようとしたが、頭を切り替えた。それは、それで魅力的だ。
海底火山の噴火が島を作る事もある。今の様に。

人間は、川の流れを変えた。湖を造った。だったら、島を、大陸を作る事にも不思議はないはずだ。
アトランティスは自然によって滅ぼされた。滅ぼされたなら、復活する事も可能なはずだ。


海底の地殻はデリケートである。この噴火に力を貸し、島を作ろうとしているのだ。

「7番ロボットとの連絡が途絶えました」
噴火口内での爆薬設置と爆破の実行の後、連絡は消えた。8番もだ。

「奴ら海蛇と遭遇した様だ。後は人間様の出番だな」


潜水夫の二人、ザヴィターエフと、レブジン、そして私が潜水服を来て潜る事になった。
「これが、超耐圧服です」
「超?SF好きの奴らは、何でも、超を付けたがる」
「これは最新の耐圧服です。表皮は二重で、潜水時に充電すると、静電ジェネレータが反発しあい、
   内部の気圧を調整します。極めて快適です」
「このエンジンみたいなものは何だ?」
「人口ヒレですよ。泳ぐ補助をしてくれます。すいすい進めますよ」


ザヴィターエフはどんどん潜って行った。カメラ映像が暗い。
二人も後を追った。
「深海フカがいるぞ。5匹だ。ザヴィターエフに伝えろ」

ザヴィターエフはフカに向かって閃光を上げた。フカは逃げて行った。
「それは何ですか?」
「電気水圧効果銃とでも言う奴さ。鋼鉄版でも打ち抜くし、弾は水だ」


三人は、どんどん降下して行った。レブジンはまたSFの話を始めた。
「宇宙のフロンティアを目指す者がいる。しかし奴らは、自分達の足元に、広大な未知の世界が
  あるのに、気づいていないのさ。いかに宇宙旅行技術が進んでも、宇宙服を着ずに宇宙に
   出る事はできない。それほど、人間と宇宙の相性は悪いのさ。海とは違う」


降下は進み、我々は未知の領域まで、辿り着いた。
そこで我々は深海の主に会った。

透明で、体内には、何か発光しているものが見えた。関節のある巨大な足は6本あり、
それでいて、動きは素早かった。その姿は、蜘蛛に似ている。
それは我々を捕食しようと近づいて来た。我々は銃で応戦した。深海の海水が沸き立ち線を描いた。
相手は始め、2匹だったが、やがて8匹になり、今はもう数えられなかった。

その時、我々は、更に巨大な2匹の生物が、上から降りてくるのを感じた。
蜘蛛は、その、おそろしく巨大な生物を糸で、絡めとろうとしたが、その生物は糸を引きちぎり、
一匹の蜘蛛を捕食した。

両者の攻撃は拮抗していた。
「よし。この隙にジンゴから、水雷を投下させろ!」

水雷の到着に合わせ。我々は隠れた。激しい爆雷が響き、奴らは消えうせた。


時代は変わる。人と自然の関係も変わる。しかし、自然は厳しく、人の前に立ちふさがる。
しかし宇宙を越え、深海を征服し、やがて、自然は人間の前に下るのだ。


噴火口に爆雷を仕掛け、我々が水面に戻った頃、水中の激しい核爆発の衝撃が聞こえたのだった。


あれから、三ヶ月経った。
噴火は続いている。我々の創造した大地は、水面に達し、なお大きくなっている。
あと一ヶ月は、この状態が続く。

アトランティスには、こんな話がある。人間が多くを知りすぎたために、大陸は消えた。
しかし、私には、そんな事はない、と判るのだ。

..............

あまりにストレートな話で、何も言う事がありません。
こう言うものが通用する時代があったと言う事ですね。
歴史的意義があるんでしょう...

記:2012.12.10

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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