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アトランティス創造 現代ソビエトSF短編集3 - 早川SFシリーズ
アトランティス創造

アトランティス創造 現代ソビエトSF短編集3 深見弾編・他訳 (1974 4 15) 早川SFシリーズ

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非常事態 ЧрезвьIчайное происшествие アルカジイ&ボリス ストルガツキー のあらすじ

宇宙空間には、不思議な生命が存在する。特に、火星の外軌道には。


衛星チタンはボリーソヴィッチには、性が合わなかった。回転が速すぎるのだ。
しかし、その代わりに、衛星表面色と土星の環の変化は、とても興味深い眺めだった。


研究も終り、彼らは、帰途についた。
生物学者のマルシェフは、その加速に気分が悪くなっていた。そして、石油の海で捕獲した
『青なめくじ』が、無事なら良いなと思った。あれは、貴重種だ!


そして、火星に向かった。
ロモノーソフ空港に入れば、一週間の検疫の後、地球に戻れるのだ。
その晩。


当直はトゥムマーだった。

「そんな、はずはない!」と彼は叫んだ。
シーツの上に、黒い虫が止まっていたのだ。

蜂だ!いや、よく見ると蠅だった。とにかく虫だ。

「惑星間船に蠅がいるなんて!」
ボリーソヴィッチは、それを捕まえる事が出来た。

ボリーソヴィッチは喜んで、トゥムマーに見せに行った。
「なあ、僕のこの手の中に入っているものは何だ?」
「飛ぶものか?じゃあ、飛行船だ」
「ふざけるな!蠅だよ、蠅!」
「まさか!」
彼は、生まれて初めて蠅を見た様な顔をした。


「実は問題が」
「何だ?マルシェフ。蠅が紛れ込んでる以上の問題なんてあるのか?」
「ええ、実は、この蠅、足が8本あるんです...それに、繁殖しています」
その時、既にマルシェフの部屋には、3匹の蠅がいたのだ。

おまけにその蠅は、人を刺す。凄いスピードで飛ぶ事も出来る。
やっかいな代物だった。地球のではない、宇宙蠅だ。

「で、この蠅だが...」
「お言葉を返す様ですが、生物学的には、これは蝶に近く、蠅ではありません」
「蝶でも、蠅でも構わん。ともかく、この蠅を何とかしろ!殺虫剤だ!」


ボリーソヴィッチが殺虫剤を準備している間に、部屋の中の蠅は20匹に増えていた。

ボローソヴィッチは、殺虫剤レタルの溶液に、蠅を入れた。これは、必殺の毒である。
しかし、この無知な昆虫は、そんな事も理解できない様であった。レタルの溶液の中で、すいすい、泳いでいた。


「あらゆる、殺虫剤を試せ!ペトロナールにプクシール、ニトロケシールはどうだ」
「いや、もっと凄い毒があるぞ。お前の唾だ!」


マルシェフは顕微鏡で蠅を観察していた。もう室内は蠅だらけだった。


「わかった事は、こう言う事です。
   彼らには、眼も口も食道もない。繁殖する手段は不明だ。たぶん、宇宙空間を胞子の形で彷徨う。
   何百万年も。それから、良い発芽条件、例えば、この宇宙船、に出会うと爆発的に増殖する。
   これは天文学的な確率で、この生物に出会えた我々は、極めて幸運です」

「はああ??どうせ小惑星帯の観察で拾って来たんだろう。世紀の大発見ではあるが、
   こんな繁殖力旺盛なものを、地球に持って行く訳にはいかん」
既に部屋の壁は一面蠅だらけだった。

ボローソヴィッチはついに、その蠅を叩き潰してしまった。それから、後悔した。危険な昆虫などいない。
危険なのは、細菌や伝染病の方だ。

ボローソヴィッチは、その死骸をじっと見ていた。
その蠅を見ていると、何かが動いていた。良く見ると、その毛穴のような場所から、更に小さい蠅が
這い出して来るのだ!

こいつらを、殺すのは容易じゃない!幾らでも再生するのだ!


「彼らの組成が判りました。酸素と窒素、水素と炭素、そしてごく微量のカルシウムです。
   しかし繁殖のメカニズムは判りません」
「よし、みんな宇宙服を着るんだ。中を真空にして、蠅どもをコチコチに冷やしてやるぞ」

「そうか、判ったぞ!」
「どうした?」
「奴らの繁殖の方法ですよ。見て下さい。この部屋の圧力の低下振り。つまり奴らは空気を
   食っているんです。酸素と窒素が奴らの餌です。調べてみると、これまでに100キログラムの
   空気が消費されています」

「さあ、真空にするぞ。その後は、超低音の液体水素ので満たすんだ!」


「さあ、うまく行きましたね。奴らを全て追い出した」
「マルシェフ君。その手に隠しているものを渡したまえ」
「...しかし...これは大発見で...」
「君は、この蠅をもし、地球に持って行ったら、どうなるか、判らんのかね?」
「大丈夫ですよ。この非タンパク生命に対するウィルスも作ってみせますよ!おそらく、この生物に対する、
   最も有効な毒は、水です。あなたの唾でも良い。あ、しまった!」
「どうした?」
「大切な『青なめくじ』が干からびている!」

..............

ジョークの質が、アメリカっぽいって?いや、そう言う言い回しに、私が変換してるからです。
内容は、変えてませんが。テンポは変わってるな(ヘンリーカットナーの影響大だな...)。

記:2012.12.06

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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