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海外版 怪奇ファンタジー傑作選 - 集英社文庫 (1979)
怪奇ファンタジー傑作選


手 La mainモーパッサン Guy de Maupassant 訳:榊原晃三 の あらすじ

予審判事のベルミュティ氏が、語った不可解な復讐事件の話である。

あるイギリス人の大男が、入り江の近くに別荘を借りた。彼は下男を雇い、毎日、射撃の練習をしていた。
町の人間は、「あれは政治的亡命者だ」、「いや、犯罪者だ」と勝手な事を言っていた。

男は、サー ジョン ロウウェルと名乗った。英語なまりのフランス語をしゃべった。

判事は、男と顔見知りにない、ある日、話をしていると、男は世界各地の話を始めた。
猟が好きな男は、カバ、トラ、ゾウ、ゴリラなどの狩りの話を始めた。

「随分と怖い動物を相手にされたのですね」
「いや、本当に怖いのは人間です。人間狩りも随分しました」

そして、珍しい物を見せてくれた。美しい日本の織物、変わった小物。その中に黒い大きな物が。
それは、人の腕の形をしていました。前腕の半分から先です。

「これは何ですか?」
「これは強い敵でした。だから今も鎖で縛っているのです」
手首には鎖がかかり、指は皮紐で絞められていた。
「逃げるんですよ」
判事は不愉快な男のジョークに気分を害した。
しかし、男が常に銃の鍛錬を行わない、神経質な性格である事も考え納得したのだった。


一年が過ぎ、判事は、ロウウェルが殺された事を知った。警察署長と現場へ調査に出た。
イギリス人は絞め殺されていた。下男を疑ったが、この職を失い、泣き暮れる男に罪があるとも思えなかった。

現場には激しい格闘の跡があった。ロウウェルは最後に絞め殺されたのだ。

検分した医者は言った。
「犯人は極度に痩せた者です。まるで骸骨の腕で絞められたみたいですよ」


下男の聴取が行われた。主人は、最近気が狂った様に、夜叫んだり、あの腕を振り回したり、鞭で打っていたと言う。


判事は、その三ヵ月後夢を見た。
部屋の中をサソリが這い回っている。いや、大きな蜘蛛か?

それは、あの腕だった。ひからびた腕が、爪を立て、床を這い回っている...


翌日、なぜかロウウェル氏の墓の上で、あの腕が見つかった。


−−−
判事は話を終えた。
人々は、じっと黙ったままだった。
「私は、この事件を簡単に考えています。つまり、この腕の本当の持ち主が、
   ここにやって来たのではないかと...もちろん、そうではないかも知れませんが」


..............

モーパッサンは、意外に(失礼!)面白い作品が多いので、今度、紹介します。

記:2012.11.05

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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