・ 血液透析中の各種回路内補液が循環血液動態に与える効果
-血圧,血清浸透圧,循環血液変化量の検討-
立花クリニック (1)、東京都立府中病院 (2)
○日下部祥美(1)、田中亜也子(1)、井口博美(1)、高橋美栄子(1)、斉藤武志(1)、立花健(1)、高山政之(2)
【目的】透析中に血圧低下を防ぐ目的で行う各種補益が血圧、血清浸透圧、循環血液変化量に与える影響と相互の関係について比較検討した。
【方法】透析中血圧が下降する患者10名(DM5名、非DM5名)において、血圧下降時に①生理食塩液100mL(NS)、②50%ブドウ糖液20mL(50%G)③10%食塩液(10%NaCl)を静脈側より静注し、静注前、静注後3,6,10,15,20,25,30分の時点で平均血圧、血清浸透圧、血糖値、血清Na値、クリットラインによるヘマトクリットを測定し経時的変化を検討。
【結果】DM群において、50%GはNS及び10%NaClと同等以上の血圧上昇効果が認められ、その程度は血糖値と浸透圧の上昇に関係していた。非DM群においては、各補液間で有意差は認められなかった。
【結論】DMパターンの血圧変化を呈する患者では50%Gが血圧上昇に関して最も有効であったが、これは高血糖に伴う血清浸透圧が主因と考えられ、その臨床的有用性については症例ごとに検討が必要と思われた。