種 の 浜
 ● おくのほそ道 本文
 十六日、空霽たれば、ますほの小貝ひろはんと、種の浜に舟を走す。海上七里あり。天屋何某と云もの、破籠・小竹筒などこまやかにしたゝめさせ、僕あまた舟にとりのせて、追風時のまに吹着ぬ。
 浜はわづかなる海士の小家にて、侘しき法花寺あり。爰に茶を飲、酒をあたゝめて、夕ぐれのさびしさ、感に堪たり。
       寂しさや須磨にかちたる浜の秋
        波の間や小貝にまじる萩の塵
 其日のあらまし、等栽に筆をとらせて寺に残す。
 ● ぼくの細道




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