花かつみ |
● おくのほそ道 本文 |
等窮が宅を出て五里計、檜皮の宿を離れてあさか山有。路より近し。此あたり沼多し。かつみ刈比もやゝ近うなれば、いづれの草を花かつみとは云ぞと、人々に尋侍れども、更知人なし。沼を尋、人にとひ、「かつみかつみ」と尋ありきて、日は山の端にかゝりぬ。二本松より右にきれて、黒塚の岩屋一見し、福島に宿る。 |
● ぼくの細道 |
![]() かつても知らぬ恋もするかも (万葉集) 「すみません、お仕事中に失礼します。かつみ、ってどの花でしょう?」 「かつみ? 知らないなあ」 「はなかつみおひたるみればみちのくのあさかの沼のこゝちこそすれ、の、かつみ、なんですが……」 「知りませんねえ」 安積山、は古くからの歌枕である。そして、安積山とセットのように「かつみ」という花が歌われてきた。歌に読み込まれるほどの花、定めし美しいだろう。おりしも花期5月朔日、所は安積山。当然「かつみ」の花が咲き乱れているだろうと二人は考えた。「かつみ」とはどんな花だろう。これか、あれか。 「かつみ、という花をご存知ありませんか?」 二人は、人ごと家ごとに、聞きまわった。 が、わからなかった…… 知っている人がなかったからである。 「かつみ」とは、どんな花か、何の花か、諸説があるが、今もってわかっていない。地元郡山市は、ヒメシャガ、と断定。また別の町はノハナショウブとしているのだが…… あのね、幻の花は、幻だから美しいんじゃない? 芭蕉と曾良が現地で聞き込み調査をしてわからなかったんだ。二人の顔を立ててあげようよ。(^0^) |
||
旅程索引 | 碑めぐり | 黒塚→ |