テリー・ライアン先生のセミナー

 わんこ関係のお友達から、このセミナーの話を教えていただきました。
 「ほめてしつける」という、私が興味を持っているしつけの方針を日本にも広めてくれた、テリー・ライアン先生(全米ドッグインストラクター協会 会長)のお話が聞けるよと・・・。
 2日間行われ、一般でも聞けるセミナーもあるとの事・・・、良いチャンスなので行ってみる事にしました。
 こういうものへの参加は初めて! というか、存在自体も知らなかったなぁ、以前だったら。
 
 以下、自分の為・そして仕事で行けなかったけせぱぱにも読んでもらう為のまとめとして
 それからもし、あなたが褒めるしつけに興味をもっているのなら、あなたにも・・・


第3回 日本臨床獣医学フォーラム 2001年 年次大会
動物との暮らしを考える・市民向け
テリー・ライアン先生の講演より

  2001.9.8 「犬のしつけ」

 講演内容

 本当は、飼う前に勉強していると理想なんだそうです。
 仔犬の時からするのが一番良いけれど、大きくなってからでも不可能ではない。
 ただ時間がかかるということなのだ。
 しつけ以前に、もし不都合な行動の変化が表れれば、まず病気を疑うということも大事。

「大好きよ、でも私のリードで生活しましょうね」
 飼い主のアルファー化、つまり飼い主が一番である事を教える。
 決して飼い主が怖いから、という理由で従わせるのではなく、安心して一緒にいたいと思われるような尊敬されるリーダーになるということなのだ。

・さて、日常の中で飼い主の存在が重要とされているだろうか?
 特別な場に飼い主とわんこが一緒に来た場合、わんこはどんな態度をするだろうか?
 大切なのは、顔を見たりして飼い主が何をしているかを考えてくれるかどうかなのだ。
 決してずっとついているという意味ではない。
 周りに興味があってもいい、飼い主の存在をいつも気にかけているのなら。
 飼い主の様子を見て、わんこが安心したり、一緒にいれば安心と思えたり・・・、そういう気持ちが大切なんだそう。

・わんこがよろこんで従うには、楽しいと思えるような動機付けが必要。
 わんこの好きなものは、リーダーが管理する。
 いつでも自由にできたらご褒美にはならないから。
 例えばまず、好きなものを持ってわんこを呼ぶ。
 飼い主の目を見るとそれを与えたり、それで遊んだりしてあげる。
 そうすると、呼ばれたら視線を合わせるといいことがある、と関連付けて思うようになるんだそうだ。
 それが動機付けである。
 だんだんに回数を減らしていっても、今回かな? 次かな? という感覚で楽しみにしてくれる。
 ご褒美は大事だけど、わんこによって何が好きか差があるので、それを把握しておくのも大事な事だ。

・遊んであげる時など、どっちが合図を出すのか、どちらのリードで行うかが重要。
 催促にそのまま従うのではなく、「おすわり」をさせてみてできたら遊ぶなど、飼い主が主導権をにぎるのだ。
 そして終わりを決めるのもリーダー。
 楽しく遊び、とっても楽しい所で終わらせて、片してしまう。

・出掛ける時、1歩目は飼い主。
 コマンド(号令)を出して待たせるのではなく、何も言わなくてもわんこが待っている、という形が理想。
 わんこが引っ張るのは、テリトリーに1番に入りたい証拠、先に挨拶をしたい証拠なんだそうだ。
 それはリーダーの役目であるはずだから、先に1歩を踏み出すのは飼い主なのだ。

・チャイムが鳴ったときも、1番に見に行くのは、やっぱりリーダーなんだそうだ。
 最初は、チャイムが鳴った時にどこに座らせるのかを教えてあげる。
 いい子で座っていられたら、褒めてあげたりご褒美をあげたりする。
 「座っているといい事がある」って教えてあげれば、それが段々生活の一部となっていく。

・リーダーはどこを触ってもいいことも教える。
 鼻面に手を置くのはリーダーである、つまり精神的なコントロールをする事を意味する。
 罰ではなく、なでた後などにそっと優しく触れる。

・ただ、すぐにお腹を出して見せるのは、飼い主を怖がっているケースもある。
 そういう服従のさせ方ではなく、好ましいのは伏せをさせて、撫でているうちに喜んでお腹を出す、というようなもの。
 支配しすぎ、服従させすぎ、という強制的なものは、恐怖やストレスを与える訓練になってしまう。
 わんこに対して、リーダーではあるけれどフェアな関係である事が大切な事なのだ。
 そうやって信頼関係を築いていけば、色々な事がうまく動き出す。
 コマンドは、力を込めたり叫ぶ必要はないし、コミュニケーションの手段となるはず。
 そしていい飼い主は、興奮の前にコントロールをしてあげる事も大事。 

 実際に、ある飼い主さんとわんちゃんの関係を見せてくれた。
 飼い主さんは優しくコマンドを出し、わんちゃんも信頼して飼い主さんを見つめ、うれしそに指示に従う。
 そして笑顔で褒める飼い主さん・・・。
 とっても素敵にコミュニケーションがとれていた。
 コマンドを失敗させない為に、覚える前に、する前に繰り返し言ったりはしない。
 最初は、ご褒美を使って頭を誘導し、できたら言ったりするんだそうだ。


 私の感想

 これらのテリー先生のお話で印象に残った事がある。
 よく、わんこを膝に乗せて人間のおやつをあげたらいけないとか、ベットに乗せてはいけないとか言うんだけれど、そうじゃない。
 もし、関係がちゃんとできていれば、飼い主が主導権を握っていれば問題はないし、先生もそうしていると言っていたのだ。
 なんだかうれしい。
 私も、自信を持ってちゃんと関係ができた上で、もっとけせらと仲良くしたい。
 可能な事を増やしたいと思った。

 本で読んだり、この陽性強化法でしつけをしている人に相談したりで、聞いていた内容も多かったけれど、やっぱりちゃんと聞けてよかった。
 できてない事、知らなかった事、そして実際に私とけせらの関係を見て教えてもらわなきゃわからない事もいっぱいだなって思った。
 けせらの行動に不安を伴わないでいいように、もっとけせらをわかるために、ちゃんと教わろうかな、と考えてもいる。
 このしつけ方法をしている先輩が、実は周りに結構いるのだ(川遊びに一緒に行ったお友達はみんなそう)。
 しつけは厳しいものじゃなく、けせらをよりわかってあげられるもの・・・。
 この方針でしつけられているわんこを見ると、そう思えるのだ。
 けせらとの、素敵な生活の為に大切な事・・・。


  9.9 「犬のボディー・ランゲージ」

 講演内容

 昨日に引き続き行って来ました。
 今日のテーマは「犬のボディー・ランゲージ」、わんこのサイン(カーミング・シグナル)のお話です。
 わんこは、一生懸命に飼い主の気持ちをわかろうとしてくれるけど、人間はどうなんだろうか・・・。
 わんこのささやくようなサインも見てあげるべきではないでしょうか。

・大丈夫じゃない状況にいるわんこのサイン
 体を低くしてお腹と首筋を守る
 すぐに逃げられる姿勢をとる
 耳など、体はすべて後ろ向きになる
 唇の端は低くなり、尻尾もさがる

・テリトリーから出て行けと言っているとき
 尻尾や耳などは全て上・前向き
 追い出そうとする
 後ろに下がる事で空間を守ろうとするが、下がれなければ追い詰められたと感じ噛む事もある

・うまく行かずどうしていいかわからない(ストレスの兆候)
 瞳孔が開く
 白目も見える
 足の裏に汗をかく
 暑くもないのにハーハー言ったりよだれが出たりする

 わんこが大声を出す前に、こういうささやき(サイン)に気付いてあげるべきなんです。
 わんこは他の動物と違い、嫌だと感じても飼い主の為にがんばってしまうから、飼い主がちゃんと考えてあげないと、すごくストレスをかけてしまう事にもなりかねない。
 ストレスがかかり過ぎると、病気になったり学習もできなくなってしまう。
 自分の意思でできたと思わせたり、あまりストレスをかけ過ぎない状態での訓練をする事が大事なんだそうだ。

 ストレスのかかり方はわんこによって違うし、犬種によっても違う。
 例えば、他の犬がちょっとの時間で回復するストレスも、シェパードだったらものすごく日数がかかったり・・・。

 わんこが怖いと感じた時にまずとる行動は、固まるor逃げ出す。
 それができなければ戦う事になる。
 でも本来、狼やわんこは争いを好まない種族なんだそうだ。
 その為、そういう状況から自分を切り離すサイン(cut off signal)を持っている。
 例えば、わんこと向かい合って会った時、挨拶もできず逃げる事もできずとなった時、3つ目の選択としてこのサインを送ったりする。
 これがカーミング・シグナルと言われるものである。

 突然座る・耳を掻く・伏せをする
 顔をそむける・目を細める・瞬きをする(目を合わせるのは対立のサインになるので)
 クンクン地面のにおいをかぐ・あくびをする
 足が上がったり下がったりする
 舌を出したり引っ込めたりする・鼻面がポツポツする
 回り続けたり、一定のリズムで吠え始めたり、という常同行動(繰り返すこと)
 
 ただ、普通にあくびをする事もあるし、これらの行為が必ずしもカーミング・シグナルであるとは言い切れない。
 わんこによって差もあるし、いくつかのかたまりで出て来ているかなどで判断できるようになってくるそうだ。

 アイコンタクトと言って、飼い主とわんこが目を合わせたりする。
 相手を怖いと思っていない関係ならば目と目を合わせられるので、そういうのはいい関係といえる。

 これらのサインはストレスの信号だけれど、相手を落ち着かせるサインでもある。
 人間がわんこを安心させる為に送る事もできるのだ。
 視線をはずして横から寄り姿勢を低くする(決して覆いかぶさるようにはしない)。
 目を細めてあくびをしてみたりして、害を与えないというサインを送る事は可能なのだ。

 わんこは生まれながらにこういう言語を持っている。
 飼い主の為に辛い事もがんばってしまうわんこの気持ちを踏みにじらないように、大きなストレスを与えてしまう前に、細かなサインを読み取って状況を変えてあげようというお話でした。


 私の感想

 ストレスの中で頑張っているわんこの映像があった。
 そのストレスより大きな喜びや達成感が待っていれば、メリハリを付けて頑張れるらしい。
 私達だって、適度の緊張やプレッシャーによって、頑張れたり好成績を出せたりする事もあるよね、人間と同じなんだよね。
 芸とか小さなコマンド「おすわり」とかも、結局は同じ事なのかもしれない。
 でも、大きな苦痛は与えちゃいけないんだと思う。
 そういう痛い空気を感じてしまう芸は、正直言って見るのがつらいんです。
 「訓練は厳しい」、「芸は無理やり」って思っていた先入観は、こういう所から来ているんだと思う。
 今は、違う方法もあるってわかったけれどね。

 やっぱり、私はけせらと一緒に楽しくやっていきたいな!
 人間の都合でいくらでも扱えてしまうかもしれない、傷を背負ってしまうかもしれない、そんな動物なんだそうです、わんこは。
 だから、私もけせらを大事にしようって改めて思いました。
 過保護になる必要はないと思うけれど、けせらの気持ちもちゃんと考え、サインを受け取ってあげなくちゃ。
 
 それから、人がイライラしていると、落ち着かせようとしてカーミング・シグナルを送ってきたりもするんだそうです。
 声を荒げて呼んでいるのに、途中でわんこはおすわりをしてそっぽを向いている・・・。
 余計飼い主は怒り、わんこはさらに動かなくなる・・・。
 こういう悪循環、結構色々な所であるんじゃないかと思うんです。
 切ないですね・・・。
 多くの人に、このシグナルを理解してもらえるとうれしいと思いました。
 私もけせらを観察しなきゃ!


 Tea Time with おやじギャグ

 シベリア村のメンバーで、BBSでは知り合いだったけれど実際にお会いできたのは初めて!という方もいて、お友達が増えました。
 権ママさん、ラビさん・・・。
 2日とも、セミナー後は皆さんとお茶を飲みながら楽しくお話させていただきました。
 のいぱぱさんと私がそろった事もあり、おやじギャグもいっぱい彡(-_-;)彡
 私、かなりのハイ・テンションで笑いっぱなしでした。
 こんなに笑ったのは久しぶり・・・。
 とっても楽しかったです、皆さんどうもでした<(_ _*)>
 腹筋が筋肉痛になった方はいらっしゃいませんでしたか?(笑)
 ちなみに一番印象深かったギャグは・・・
 わんこの足の裏の毛を刈れるシェーバーを購入しようとしていて、「替え刃もご一緒にいかがですか?」と薦められ、「まけてくれないんならいいよぉ〜」と交渉していたのいぱぱさんに言った私のギャグ、「ねぇねぇ、替え刃も買えば〜?」でした。
 ちゃんちゃん!(* ̄∇ ̄*)

゚★。.:*:・'゚☆。.:*:・'こんな本もあります'・:*:.':*:.
1日目の
「犬のしつけ」
の基本的内容が書かれています
テリー・ライアン 著
A-5サイズ・42Pの小冊子
2日目の
「犬のボディー・ランゲージ」
の基本的内容が書かれています
トゥリッド・ルーガス 著
テリー・ライアン 監修
A-5サイズ・64Pの小冊子


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