ターミネーター3

T3.jpg/5.2Kb スタッフ
監督ジョナサン・モストウ
脚本 ジョン・ブランカート/マイケル・フェリス
製作 マリオ・F・カサール/アンドリュー・G・バイナ
ジョエル・B・マイケルズ/ハル・リーバーマン/コリン・ウィルソン
製作総指揮 モリッツ・ボーマン/ガイ・イースト
ナイジェル・シンクレア/ゲイル・アン・ハード
音楽 マルコ・ベルトラミ
キャスト
アーノルド・シュワルツェネッガー
ニック・スタール
クレア・デーンズ
クリスタナ・ローケン
デビッド・アンドリュース
マーク・ファミグリエッティ
アール・ボーエン
公式サイト(日本語)
http://www.t3-jp.com/

 最強の暗殺者、T-1000を屠り、サイバーダイン社に残る未来のテクノロジーも消去したサラとジョン。だがその戦いも、やがて来る暗黒時代の開始をわずかに遅らせただけだった。そしてその未来でも、ジョン・コナーは人類側の指導者として最終的な勝利のために戦いを続けている。状況を察知したスカイネットは、三度過去に向けて暗殺者を送り込んだ。今度の目標は、ジョンに加え彼をサポートして戦うことになる人類側戦士のスタッフ達。最強の殺戮マシン、T-Xは定められた目標を次々と抹殺していく。そして………。

 予備知識をあんまり仕入れていなかったもので、この作品の監督が「U-571」のジョナサン・モストウである、と言うことに気がつくのが観に行くちょっと前だったりして、その時点でややイヤな予感がしていたんだけど、そうだな、心配してたほどのがっかり感はなくて一安心、というかまあ、コンビニの冷え切った牛丼弁当を覚悟して口に入れた料理が、意外や松屋のキムチ牛飯だった、と言うような映画。で、松屋のキムチ牛飯って牛飯の方の物足りなさをキムチの辛みである程度ごまかしてくれるから食えるんだと思うけど、この映画もどハデなアクションがキムチのかわりになってくれてる、とまあそういうわけですな。

 「U-571」の時にも感じたけど、この監督さんはたたみかけるアクションシーンの見せ方はかなりうまい人だと思う。「2」の時と同じシチュエーションではあるんだけど、どでかい車がぶりぶりと街を壊しながら主人公を追いまくるシーンの迫力は「マトリックス・リローデッド」のカーアクションより上だと思うし、T-X対T-850の格闘シーンの、殴られた時の「痛そう」な感じの表現も件の映画以上の魅力。頭空っぽにして見てる分には悪くはない。

 役者さん達の方は、女ターミネーターという妙にキワモノくさいイメージを(勝手に)持っちゃっていたクリスタナ・ローケンが意外にいい感じだったのが拾い物であった。ちょっと五年後のあずみ(つか上戸彩)を連想させる、というか。シュワちゃんはまあ、老けたところは早々にバトル・ダメージでごまかす方向で。主役の二人はちょっと華がないかなあと言う感じがする。川谷拓ボンと陣内なにがし(スポーツキャスターの)がカップルやってる感じで。でもまあいいでしょ、ガキの頃からひたすら正体を隠して逃げ回ってたら、ちょっと卑屈なお兄ちゃんに育つのもやむを得ないんでしょうな。

 だがしかし、なぜ今「ターミネーター」? って部分になるとちょっと首をかしげざるを得ないかな。「宇宙戦艦ヤマト」が許せるのは「さらば…」までなのとおんなじ理由。あまりに完璧な続編ができあがってしまうと、それに続くお話を作るのはでたらめにむずかしいし、仮に作ってもほぼ間違いなくスカな映画になっちゃうわけで、この映画もスジの部分でどうにもこの、芯の入っていなさ、みたいなものが随所から感じられてしまうんだった。なにしろお話の一番根っこにタイム・パラドックスが控えてるわけで、ここにびっくりするような大ネタを持ち込んで見てる側をうならせるか、巧妙に「時間モノ」であることを意識させないようにしていくか、どっちかしかないと思うわけなんだが、そこら辺の捌き方がどっちつかずな映画になっちゃっている。ここらがマズいのだな。

 前作であれだけきっちりケリをつけたはずの未来が、やっぱりどうもマズいことになってるらしい。それはなぜか? ってとこの説明、でもまだチャンスはある、その勝利条件とは? の二点に「なるほど」と思わせる説明がなされていれば、もう少しお話の方も楽しめたと思うし、見た人にとっては賛否が分かれるであろうラスト(これはこれでSF小説ならアリ、かなとも思えるんで個人的には大嫌い、と言う訳じゃあないですが、ま、エンタティンメントの幕引きとしちゃあ不満も残るでしょうな)も、それなりに味わいのあるラストシーンになったんじゃないかな、と言うところで。

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