いいかげんにしなさい

 多分webなどで情報をしいれておられる人も多いだろうけれど、今日購入した"宇宙船"の夏号で、"ゴジラ×メガギラス G消滅作戦"のストーリー紹介記事があった。とりあえず笑えるから引用する。

 1954年以来、幾度となくゴジラの襲撃を受けた日本は、1996年ついに原子力の代替エネルギーとしてプラズマ発電を開発した。だがプラズマ発電所の置かれた首都大阪をゴジラが襲撃した。その時特殊戦闘部隊としてゴジラと戦った桐子は、その5年後となる2001年、対ゴジラ戦闘部隊、"Gグラスパー"の隊長の地位にあった。Gグラスパーはゴジラを完全に消滅させる兵器ディメンションタイドの開発を急いでいたが、その実験によって生じた時空の歪みにより、古代昆虫メガヌロンが現代に復活してしまう。メガヌロンは渋谷を湖に変えて成長を遂げ、成虫メガニューラへと羽化、さらにゴジラから奪った高エネルギーによってメガギラスを誕生させた。メガギラスは再び日本へと上陸したゴジラと東京お台場で激突する。

 これだけ見ても、このネームバリューだけは天下一品の映画にかかわる人びとのトップにある人たちが、なんにも考えてないことがはっきり分かって面白いんだが、特にトラゴジ以後のゴジラに如実な、他の優れた特撮作品のいいところを恥ずかしげもなくパクる動きがこの作品でも顕著に見られてなんだか情けない。"ミレゴジ"の特撮カットの多くが平成ガメラシリーズが見せた怪獣とランドスケープの有機的な合成を何とかモノにしようとしていた(その事自体は否定すべきことではない。あの映画の最大の問題というのは、すべてのスタッフの努力を脚本が片っ端から無駄な努力にしてしまったということだと思っている)ように、今回の映画は、どうもそのシチュエーションというか、設定の持っていき方に、ウルトラマンガイアの影響を色濃く感じるのだな。

 主人公は1996年のゴジラの襲撃(原子力のない大阪をどういう理由でゴジラが襲うのかは今のところ不明。福井にでも行く途中か?)で尊敬する人物を失った戦士。その戦士をサポートするもう一方の主人公は、ジャンク屋を営む天才的な若者で、超科学の産物、"ディメンションタイド"の開発者。主人公たちはゴジラを撃滅するための戦闘部隊に所属し、その組織にはさまざまな超兵器が配備されてる、てな設定、まんまウルトラシリーズに持っていっても全然違和感ありませんやね。

 面白ければどんな設定を持ってきても構わんのだけど、ゴジラを根源的破滅招来体に準えるその方法論はあまりに安直にすぎやしないかと思ってしまう。写真で見る限り、ウルトラでおなじみの航空機のデザインセンスにあまりに近いメカニクスのデザインの方法論とかにも少々がっかり。昔は良かった、とは言いたくないけれど、もう今の東宝にはマーカライト・ファープやメーサー殺獣砲車のような、見ただけでわくわくするような超兵器をデザインできる人はいないのだろうか?

 あいかわらずの名所めぐりも健在なんだね。大阪、渋谷、ほんでお台場ですか。渋谷はどう見たってガメラ繋がりだろうし、お台場はフジテレビがらみなんだろうね。大阪と東京ってのはかなりの距離があるハズなんだけど、平成ゴジラ映画ではこの距離、って概念があまりにもないがしろにされてる気がするなあ、ていうかそれが気になる映画しか造れていない気がするんだがどうか。

 なんか毎回文句ばっかりつけてるような気がして少々心苦しいのだけれども、でもなあ、ホントにいいと思ってます?こんな映画ばっかり作って。あまりにも不真面目なモノを感じてしまいますなぁ。話のネタとしちゃあ格好の素材なんだけど、そろそろマジで、このシリーズをこのまま作っていては金にならない、ってことを思い知っていただかないと、日本の特撮映画全体のためにならないと思うんだけどなあ。

2000/8/3

フェアライドって、わからんど (Prev)   コラムメニューに戻る (Back)  あなたのホームページを鑑定します  (Next)  トップに戻る (Top)