ハイペリオン

表紙

ダン・シモンズ 著/酒井昭伸 訳
カバーイラスト 生頼範義
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ISBN4-15-011333-5 \800(税別)
ISBN4-15-011334-3 \800(税別)

 28世紀。地球はすでに宇宙からその姿を消し、その名、"オールド・アース"だけが伝説として残る。宇宙は人類による連邦、強大に進化したAIの集合体、"テクノコア"、そしてかつては人類であったものが連邦から放逐され、宇宙種族として進化したアウスターがその勢力を争う時代。時空を超えて殺戮を行う生命体、シュライクに護られる不可思議な遺跡、"時間の墓標"をもつ惑星ハイペリオンはすべての勢力にとって謎の存在だった。今、この惑星謎の惑星にアウスターの侵攻艦隊が接近中という急報が連邦にもたらされた。目的はもちろん"時間の墓標"の謎を解き明かすか、それができなければハイペリオン自体を宇宙から消し去ること。アウスターに先んじて"時間の墓標"の秘密を解き明かすため、連邦は7人の巡礼者をハイペリオンに送りこむ。それぞれがハイペリオンと浅からぬ因縁を持った7人の巡礼者たちが秘めた物語とは、そしてシュライクと"時間の墓標"とはいったい何なのか………

 邦訳されるや日本でも話題騒然となった、ダン・シモンズの超大作。どーせ話題先行の肩すかしなんじゃねーのなどと意味もなく決めつけてた作品ですが、読んでみてブッ飛びましたわ。こらすげーわ。

 "ここにはSFの全てが詰まっている"てな惹句で語られる本作、まっことそのとおりの作品でありまして、"リングワールド"や"ガイア三部作"(だったっけ)もかくやのSF冒険旅行譚、"宇宙の戦士"ばりの戦争SF、バリントン・J・ベイリーばりのワイドスクリーン・バロック、エフィンジャー風味のハードボイルドSFに哀愁の時間SF。これで痛快スペースオペラが加わったら無敵だぜってなもんで。

 随所にちりばめられたSF的なお遊び(この世界には、ギブスンっていう腕利き電脳カウボーイが昔いたんだってさ)を楽しみつつ、まずはシモンズの芸域の広さと、それぞれの芸のなかで見せる圧倒的な筆力に驚嘆。いやー、こいつぁすげえや。20世紀中に読めて良かったぜ(^o^)

00/12/1

前の本  (Prev)   今月分のメニューへ (Back)   次の本  (Next)   どくしょ日記メニューへ (Jump)   トップに戻る (Top)