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ネットにおける南京事件

2019/5/4

インターネットにおいて、南京事件に関連するコンテンツにはどんなものがあるのか、どんな論争が行なわれ、どんなことが注目されているのか、以前から気になっていたそんなことをちょっと時間をかけて調べてみました。

目次


1.データのプロフィール

対象とするコンテンツは、次のようにして収集しています。

① Yahoo!(検索エンジンはGoogle)とMSN(同BING)において、パーソナライズが機能しないようInprivateモードにして、「南京事件」で検索する。

② 2019年の4月6日、8日、10日、12日、14日の昼頃に検索し、それぞれ上位10ページおよそ100件のコンテンツをリストアップ。

③ その中で重複しているものを排除して、297件のコンテンツを抽出。そのうち、閉鎖されているサイトや1937年の南京事件とは関係のないコンテンツをはずし、276件を分析対象とした。

※ 同じURLもしくはURLが違っても同じコンテンツのもので、同一日に複数の順位にリストアップされているもの、他の日や他の検索エンジンでもリストアップされているものを、重複とみなした。なお、同じニュースを複数社が発信している場合は重複とはみなしていない。

図表1は、対象コンテンツの内容と投稿者の割合を示したものです。
内容で最も多いのは、「論評」で、次が書籍の宣伝や書評など、3番目がニュース等の「報道」でした。
投稿者は、(ネット関連の)企業がトップで個人(ブログサービスなどへの投稿も含む)が続いています。

 図表1 分析対象データのプロフィール

分析対象データのプロフィール

(注1) コンテンツの「内容」の分類基準

・論評: 南京事件に関連するテーマについて自らの意見を主張することが主たる目的のコンテンツ

・解説: 南京事件もしくはそれに関連するテーマを解説することが主たる目的のコンテンツ

・書評: 南京事件に関連した書籍の書評

・宣伝等: 南京事件に関連した書籍を宣伝するコンテンツ。図書館システムの検索結果も一部含まれる

・VD等:南京事件に関連した DVDなどを宣伝するコンテンツ

・報道: 南京事件に関連するニュース

・動画: 南京事件に関連した動画

・一覧: ニュース一覧、画像一覧、Twitter一覧、など

・資料: 事件関係の資料集

・告知: 投稿者が一般の人に対して何らかの情報を告知するコンテンツ

・その他: 上記以外のコンテンツ

(注2) 「投稿者」の分類基準

・企業: 株式会社、有限会社等の営利目的の民間企業のうち報道機関以外

・団体; 官公庁、企業以外の団体。社団法人や特定のグループなどを含む。

・報道機関: 新聞・テレビ・雑誌などを主たる業務とする企業

・官公庁: 大学や図書館なども含む

・個人(投稿サイト): ブログなどのインフラを提供するベンダのサイトを使って個人が投稿したもの

・公人: 政治家、著名人など

・私人: 一般の個人が自分の管理するサイトで発表したもの

2.論争の状況

(1) 全体状況

分析対象とした276件のコンテンツを、事件があったとする肯定派と、なかったとする否定派に分類してみると、コンテンツ全体の43%があったと明言する肯定派と明言はしないが肯定派系とみられるもので、否定派及び否定派系は32%でした。肯定派が多いコンテンツは、解説や書籍等で、論評は肯定/否定がほぼ均衡しています。

図表2 内容別の事件存否

事件の存否

(注) 事件の存否の判定基準

論評、解説、報道、動画などでは次の基準による。

肯定: 投稿者の意志として事件があった、と明記しているもの

肯定系: 明記はしていないが、あったことを認めていると思われるもの

否定: 投稿者の意志として事件はなかった、と明記しているもの

否定系: 明記はしていないが、事件の存在を否定していると思われるもの

中立・不明: 上記いずれでもないもの

書籍等の宣伝は対象の書籍、DVD等が肯定派のものは「肯定」、否定派のものは「否定」とした。ただし、書評は肯定派の書籍等を評価しているものは「肯定」、批判しているものは「否定」、否定派の書籍等については評価しているものは「否定」、批判しているものは「肯定」とした。

一覧については掲載しているニュースや記事などが肯定派または否定派寄りの場合は「肯定系」または「否定系」とし、それ以外は「中立」とした。

(2) 肯定論の論拠

論評及び解説のうち、事件の存在を肯定する論拠を記しているコンテンツ40件があげている論拠は次の4つに集約できます。最も多いのは、歴史学者などの研究者の成果で40件中26件(65%)、次が史料を引用するなどしているものが17件(42%)、続いて史料をもとに独自の見解を展開しているもの10件(25%)、政府見解をあげているもの4件(10%)となっています。個別の事件について詳細に分析し独自見解を述べているコンテンツもありますが、過去の研究によるしっかりした論文や豊富な史料が発掘されているので、紙数を割けない場合はそれだけで十分でしょう。

図表3 肯定論の論拠

図表3 肯定論の論拠

(注) 肯定論を主張する「論評」および「解説」のうち、論拠を示した40件が対象。1件に複数の論拠があることもある。

研究: 歴史学者などによる研究成果

史料: 日本軍の公式資料、記録や日記、などの史料

独自見解: 上記投稿者の史料などに基づく独自の分析結果

政府見解: 外務省の公式見解

(3) 否定論の論拠

否定論については、それを裏付ける科学的な研究成果や決定的な史料がないため、ほとんどの投稿者は従来からある否定論を繰り返して述べています。最も多いのは、中国などの「プロパンガンダ」によって「ねつ造」されたというもので、論拠をあげた33件のコンテンツの半分強17件を占め、続いて、写真の偽造(11件)、人口20万で30万は殺せない(10件)、史料の信憑性を問うもの(10件)を指摘するコンテンツが多くなっています。新たな証言や資料を探し出してきて反論する「反証」は7件ありますが、いずれも見る人が見れば容易に論破できるようなものです。
「その他」には、「事件の真相は解明されていない」、「"虐殺"の定義がなされていない」、のように中立を装って否定論に誘導する巧妙な方法もあります。

図表4 否定論の論拠

 図表4 否定論の論拠

(注) 否定論を主張する「論評」および「解説」のうち、論拠を示した33件(コンテンツ)が対象。1件に複数の論拠があることもある。

プロパガンダ: 中国などの宣伝戦によってねつ造された事件である

偽造写真: 事件の存在を証明したとされる写真は偽造写真である

人口: 人口は20万人だったので30万人は殺せない

証拠不備: 欧米人の日記や記録はほとんど伝聞に基づくもの、国民政府の顧問だった者がいた

反証: 新たな証言や史料をもとに"なかった"と主張

中国兵説: 犯人は日本軍でなく、中国軍である

合法論: 捕虜殺害は当時は合法だった

報道なし: 事件後、蒋介石や中国共産党などは南京事件を語っていない

国民性: 中国には残虐な風習が残っていた

その他: 事件の真相は解明されていない、虐殺の定義もせずに議論している、など

(4) 否定論の種類

事件の存在を否定した論評及び解説30件について、どのような言葉で事件を否定したかを分類してみました。最も多いのは犠牲者数にはいっさいふれずに、単に「なかった」とだけいうもので、16件(53%)を占めています。「30万」を意識しているのが13件(44%)、「多少はあった」と認めているのが「30万はないが多少あった」と合わせて6件(20%)です。30万はないというのは中国の主張を意識した結果でしょうし、「多少はあった」と言う人はある程度事件の内容を調べたことがある人だと思います。この調査結果だけで結論は出せませんが、否定派のなかにはまともに事件のことを調べずに"中国憎し"だけで「なかった」と叫んでいる人も少なからずいるのではないでしょうか。

 図表5 否定論の種類

図表5 否定論の種類

3.解説サイト

コンテンツの内容が「解説」のうち、南京事件そのもの以外を解説している2件(NNNドキュメント1件、南京事件論争史1件)以外の20件について、解説内容はどのレベルかを調べてみました。
いつ/どこで/何が、の概要だけを書いただけのレベル1が8件(36%)、それらをやや詳しく書いてあるレベル2が9件(41%)、背景や経緯を説明しているレベル3は2件(9%)、原因まで書いてあるレベル4は3件でした。史実を解説するときは、それが歴史の流れの中でどのような役割を果たしたかがわかるように、そこに至った経緯やその後の動きなどを書くべきですが、否定派の立場で解説したもの6件は、いずれもほとんどふれていません。

図表6 解説のレベル

図表6 解説のレベル

レベル3と4のコンテンツは次のコンテンツです。

4.注目度の高い書籍

書籍やDVD、映画などの紹介・宣伝などに関するサイトをタイトル別に集計したのが、図表7です。最も人気があったのはNNNドキュメントの制作過程を描いた清水潔著「南京事件を調査せよ」(2016年8月刊)で、書評もたくさん集まり、しかもすべて内容を評価するものでした。2018年12月に刊行されたばかりの笠原十九司著「増補 南京事件論争史」がそれに続いています。
否定本で最も多かったのは、レジェンドとなった田中正明氏の「南京事件の総括」、2017年9月の水間政憲著「完結 南京事件」でした。東中野修道氏の名著(?)「南京虐殺の徹底検証」も「再現 南京戦」もエントリされていないのは、ちょっと寂しいですね。

 図表7 書籍等に関するコンテンツ数

図表7 書籍等に関するコンテンツ数

(注)

・宣伝/紹介; 書籍を宣伝する出版社や販売会社のサイトあるいは、書籍紹介を目的としたサイト(URL)の数

・図書館; 図書館の書籍検索結果

・書評; 書評を主たる目的としたコンテンツ。「好評」はその書籍に好意的な評価、「批判」は書籍を批判したもの

5.話題になっているテーマ

南京事件に関連する特定のニュースやイベントなどに関するコンテンツを示したのが図表8です。NNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」は、日本テレビが2015年10月に放映し、ギャラクシー賞などを受賞した優れた番組で、2018年5月には続編が放映されました。今回調査対象とした276件のコンテンツのおよそ1割27件がこの番組をテーマにしたコンテンツでした。27件中15件(55%)は番組を評価していますが、9件(33%)は批判しています。続編からでも1年近くたっているので、さぞかし立派な調査結果をもって批判していると思いきや、相も変わらず両角手記をもとにした「自衛発砲説」や、サンケイ新聞のように写真の説明にクレームをつけたりといった程度の批判しかできていません。

その次に多いのが中国による南京事件資料の世界記憶遺産への登録に関するものです。否定派の唱える「プロパガンダ説」にとっては都合の良いテーマなので元気よく反論しています。
81年式典は、2018年12月に南京で行われた記念式典の関する記事で、報道機関が淡々と習近平が欠席したことなどを伝えています。

アパホテル問題は、2017年1月に発生して一時はネットで炎上しましたが、現在はほとんど忘れ去られたかのようになっています。

 図表8 テーマ別コンテンツ数

図表8 テーマ別コンテンツ数

6.検索結果の評価

(1) 検索上位のコンテンツ

冒頭の「1.データのプロフィール」に記した方法で検索したとき、先頭2ページに表示されたコンテンツを検索エンジンがGoogleの場合とBINGの場合(4月6日)を図表9にまとめてみました。
先頭1ページ目はGoogleとBINGで多少の順位差はありますが、半数弱の5件は同じコンテンツがリストされました。
しかし、2ページ目になると、GoogleとBINGではまったく違うコンテンツになります。

 図表9 検索上位のコンテンツ(4月6日)

図表9 検索上位のコンテンツ(4月6日)

(2) 検索上位コンテンツの日別変動

Googleの上位2ページの検索結果が、調査した4月6日から14日の間でどのように変化したかを表したのが図表10です。

※G1,G25などは図表9のGoogle側No.に対応するコンテンツです。H/I/Jxxは、4月8日以降に新たにトップ2ページにリストされたコンテンツで下の付表にその一覧をつけました。

1ページ目は、4月10日を除けばページ内で多少の動きがありますが、大きな変動はありません。4月10日は、圏外からいきなりJbpressの記事(I3)が飛び込んできたので乱れましたが、翌々日には元通りに戻っています。

2ページ目は1ページ目より動きが大きく、6日に2ページにあったコンテンツのうち、14日に2ページ目に残っていたのは半分だけでした。3ページ目以降はさらに変動が大きくなっています。
はっきりした理由はわかりませんが、1ページ目にはWikipediaのようにトップページを定席としているコンテンツがあることと、トップページは何といってもヒット率が高いので、2ページ目以降に比べてアクセス数で圧倒的に優位に立てるためかもしれません。

図表10. 上位2ページの日別変動状況

図表10 上位2ページの日別変動

付表 H**/I**/J**のコンテンツ名 G**は図表9を参照

図表10の付表

(3) ページ毎の差異

図表11は、GoogleとBINGの検索結果が、ページ単位でどのくらい重複しているかを示したものです。例えば、Googleの1ページ目にリストされた11件のコンテンツのうち、5件はBINGの1ページ目にもリストされ、2件は3~4ページ目にリストされていますが、4件はBINGの10ページ目以内にはリストされていません。
双方で10ページ目以内にリストされた101件のコンテンツのうち、他の検索エンジンでも10ページ目以内にリストされたのはわずか18件しかなく、残りの83件は、どちらか一方の検索エンジンにしかリストされていません。

図表11は4月6日の検索結果ですが、他の日もほぼ同様の結果になっており、1ページ目以外は、検索エンジンによってリストするコンテンツが大きく異なることがわかります。

図表11 Google/BING検索結果の差異(4月6日)

図表11 Google/BING検索結果の差異

(注1) 1ページ目にリストされるのは日により11~13件だが、2ページ目以降は常に10件リストされる。

(注2) 上表のコンテンツ数には、閉鎖されたサイトなど分析対象外のコンテンツも含む。

もし、両エンジンとも「良質のコンテンツ」を上位にリストしようとしているならば、上位ページで重なるコンテンツはもっと多いはずで、各社それぞれのビジネス条件にしたがって順位を決めているということでしょうか。

(4) 肯定/否定コンテンツの変動

分析対象コンテンツ全件では、肯定+肯定系が42%、否定+否定系が33%で、肯定派のコンテンツ数が否定派を上回っていますが(図表2)、検索順位が最も高いトップページにおいては、図表12に示すように否定+否定系の方が肯定+肯定系より多くなっています。検索順位はそのコンテンツを見る人の多さに連動しているので、否定派のサイトを見る人がいかに多いかを物語っています。
ついでに検索エンジンによる差をみると、BINGの方が否定派のコンテンツがやや多いようです。

図表12 検索順位/検索エンジンによる肯定/否定コンテンツ

図表12 検索順位/検索エンジンによる肯定/否定コンテンツ

(注1) トップページは、4月6,8,10,12,14日、それぞれの日の割合の平均値である。

(注2) 全件は、個々の存否件数の5日間分合計が5日間全件数に占める割合である。

(注3) 分析対象とした276件のコンテンツが対象。(別件や閉鎖サイトは含まない)

(5) パーソナライズ機能の影響

検索エンジンは、過去の操作履歴からその人が見たいと欲していると思われるコンテンツを優先的にリストしています。今回の調査では、個人の好みを一切考慮せずに検索結果をリストするよう"Inprivate"モードで検索しています。

パーソナライズ機能がどの程度影響しているかを調べてみました。もちろん、比較対象は私に対するものであり、人によってその影響はかなり変わると思われます。図表13の見方は図表11と同じです。例えば、2ページ目の10件のうち8件は、パーソナライズ有りの場合にも無しの場合にも同じ2ページ目にリストされ、1件はパーソナライズ無しの3~4件目にリストされ、1件はパーソナライズ無しにはリストされていません。
私の場合、パーソナライズされているのは、1~2ページ目ではページあたり1~2件、3~6ページ目では2~3件、7~10ページ目で3~4件でした。

パーソナライズ機能を使うと自分が見たいものを検索してくれますが、見たくないものは検索結果に出てきにくくなり、偏った見方になってしまうことがあるので要注意です。

図表13 パーソナライズ機能の影響

図表13 パーソナライズ機能の影響

(6) その他

分析対象になったコンテンツのうち、更新日が10年以上前のものが21件、そのうち15年以上前が4件もありました。過去の論考のコンテンツが多く、すべてが無意味とは言えませんが、朽ち果ててしまったようなものもあります。

また、すでに閉鎖されたサイトが6件もありました。検索上位に位置付けるサイトは、それが存在するかどうかくらいは定期的にチェックして欲しいものです。

7.まとめ

調査を終えて…

「南京事件」で検索すると総件数は、Yahoo!で124百万件(MSNでは3.21百万件)と出てきます。ちなみに「慰安婦」では16.7百万件、太平洋戦争では15百万件(いずれもYahoo!検索)ですから、南京事件のコンテンツはとびぬけて多いといえるでしょう。

今回はそのうちのたった276件を調べただけですが、上位にランクされているコンテンツですので、ネットで南京事件がどのように扱われているか、およそのことは把握できたのではないかと思っています。

以下、私が感じたことを列記してみます。

① コンテンツの数は肯定派の方が多いですが、否定派のコンテンツは検索上位に割り付けられているものが多く、閲覧数は肯定派サイトと同じかそれ以上かもしれません。否定派サイトの強みは強力なサポーターがいることでしょう。

② 検索トップのWikipedia「南京事件(1937年)」の次に「5分でわかる南京事件…」という本の紹介サイトがあります。ソフトな文体で一般的な否定論を述べた後、「事件の真相についてはまだまだ解明されていない…」「南京事件について深く知るためには、…多面的に考えていく必要があるでしょう」と結びますが、その後に紹介している6冊の本はいずれも否定系の本ばかりです。知っている人であれば、毎度おなじみ、で切って捨てるでしょうが、知らない人は否定本を買って「騙された」と感じる人もいるかもしれません。このコンテンツの内容については別途、評価してみるつもりです。

③ 否定論を成立させるためには、肯定派が根拠にしている多数の史料の内容が誤りであることを具体的に示さなければなりませんが、相変わらず昔のままの否定論を繰り返すか、実証性に乏しい状況証拠を"発掘"して誇大に言い立てているだけです。

④ NNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」の影響は大きかったようです。放映から3年たった今でも否定派は必死に反論を試みていますが、番組が提示した根拠にまともに反論できていません。

⑤ Googleは検索順位を決める際、「良質のコンテンツを提供する」ことを重要な要素にしているとのことですが、結果的には閲覧回数の多いコンテンツが上位にきています。たくさんの人に見られるコンテンツが必ずしも「良質のコンテンツ」ではないはず。閉鎖されたサイトや15年以上更新されていないコンテンツを上位にランクしたり、その人好みのコンテンツばかりを提示することが、「良質のコンテンツ」を提供することにはならないのでは… といっても彼らもビジネス優先ですから、利用者みずからの責任で探すしかありませんね。

否定派について…

否定派のコンテンツを見ていて次のようなことを感じました。

① 前後の脈絡なく、思いついたことを連射するような粗雑な文章が目立ちます。読者を論理的に納得させるのではなく、言葉のイメージで感覚に訴えようとしているようにみえます。また、個人が作成したコンテンツでは誤字脱字が多いです。

② 写真などの画像を多用したサイトが多いです。動画のサイトは否定派のサイトが過半を占めています。

③ 大きな字、短い文章で、高圧的・攻撃的な言葉を使っているのも否定派の特徴です。

④ 2chのコンテンツが混じっていたり、派手な広告、エロっぽい広告も否定派の方が多いです。堅苦しい気取ったコンテンツがお気に召さない方々が多いのでしょうね。

⑤ "REMNANT"とか"幸福の科学"といった新興宗教の団体が、なぜか南京事件を否定するサイトを作って、けっこう上位にランクされています。肯定派では真宗大谷派のお寺や弁護士会などの投稿もありましたが、新興宗教はありません。(否定派は新興宗教のねらい目?)

⑥ 否定派の中でもよく勉強されていて、日本軍や外国人の史料に一通り目を通していると思われる人もいます。「わずかだけど虐殺はあった」という人はこのような勉強家で、論理的には肯定せざるを得ないのだけど、感情がどうしてもそれを許さないのでしょう。

⑦ 一方、ほとんど勉強せずに否定本だけをもとに主張する人もいます。この人たちは南京事件は存在しない、というのが人生の大前提になっているような熱狂的な否定派サポーターなのでしょう。政治家や著名人にも少なくないです。更に、肯定するより否定したほうが目立ちそうだから、〇〇さんが否定派だから、とかいう主体性のない人もいるかもしれません。

こうして見てくると、否定派にはいわゆる右脳派肉食系の人が多いのではないかという気がします。肯定派は左脳派で草食系の人が多いようですが、右脳派・肉食系もいます。否定派には草食系はいても左脳派はきわめて少ないのではないでしょうか。左脳派の人が南京事件を調べれば、事件がまったくなかったという結論にたどりつくはずがありません。

以上、あくまでも今回の調査で私が感じた感想で、レッテルを貼ろうというつもりは毛頭ないことをお断りしておきます。

おすすめサイト

♪南京事件とはどんな事件か知りたい人には…

Wikipedia「南京事件」 ( https://ja.wikipedia.org/wiki/南京事件_(1937年) )が最適ですが、最近、大改訂を行い、今でも見直し/改定が続いているようです。

手前みそで恐縮ですが、私のサイトの第1章 概要も併せてお勧めします。
https://www.ne.jp/asahi/puff/mdg/nk/Ncp11.html

♪南京事件の詳しいことや論争の中味を知りたい人には…

・「南京事件-日中戦争 小さな資料集」( http://yu77799.g1.xrea.com/ )が、何といってもおすすめです。否定論に対する反論の形で史料をベースにわかりやすく書いてあります。2003年から続く老舗のサイトです。

・「南京事件の真実」( http://www.nextftp.com/tarari/ )も、幕府山事件や写真の検証などいくつかのテーマについて独自の分析を行い、強い調子でビシバシ断言しています。

♪否定派系の人には…

「脱・洗脳史講座-南京虐殺」( http://home.att.ne.jp/blue/gendai-shi/nanking/maegaki8.html )は、タイトル名が示すように否定系のサイトですが、南京虐殺については実証的に分析して、犠牲者数を1万2千~1万4千と推測しています。

以上