……ゼルハが、ようやく僕を解放した。僕は水揚げされた魚のような気分だった。息が苦しい。心臓も。
「…ノーマン。あなたが元気になってくれて嬉しいわ。あたしより若くなってるのが、シャクにさわるけど。ま、若いあなたも、見慣れてみると、そう悪くないわね。イキが良いのが何よりだわ。」

「じゃあね、ノーマン。早く思い出してよ?」

ゼルハは稲妻のようにあらわれて、竜巻のように去っていった。

今度こそ、本当に帰っていったようだ。耳をそばだてていると、玄関の重いドアが閉まる音がした。…ホッとして、僕は床にへたりこんだ。


BACK GO 5−8page

口紅、ベタベタ〜(笑)