第4話「そして、なすすべもなく。」

僕は、なすすべもなく、娘の下敷きになっていた。

正直に言って、彼女の抱擁は暖かくて柔らかくて、心地よかった。彼女が僕の名を繰り返し、耳元で優しく囁いている。

「良かった、ノーマン様」と。

僕のアタマとカラダは、沸騰しそうになっていた。僕だって、木石じゃないのだ。

そろそろと、彼女の背中に腕をまわしてみたら、彼女も、僕の首に回した腕に、力をこめた。

とたんに、僕の首の骨がギリリときしんだ。

…繰り返すが、彼女は馬鹿力だった。


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ムゴイ男…(苦笑)