【スロヴェニアの貧乏神】
スロヴェニアにも貧乏神はいるようです。
こんな貧乏神に住み着かれてしまったら、あなたなら、どうしますか?
昔、スロヴェニアのある村に一人の貧乏な洋服屋がおりました。
働けど働けど暮らしは楽にならず、年がら年中、お金に困っておりました。
ある日、洋服屋が家の屋根裏を掃除しておりますと、
一つの古びたチェスト(衣類などをしまう木製の大きな箱)を見つけました。
何が入っているのだろうと、ふたを開けてみますと、驚いたことに
一人の女が真っ裸で中に入っておりました。
【誰だ?一体、こんな所で何をしているんだ!】
【私?私は貧乏神よ。この家が気に入って、ずっとここに住んでいるのよ。】
【何だって?!なんてこった・・・・どうりで、働けど働けど、楽にならないわけだ。
こんなところに住み着かれちゃあ、困るよ。なあ、頼むから、すぐに出ていってくれ。】
【そんなこと急に言われても、私、ほら、この通り素っ裸よ。洋服がないと外にも出られないじゃない。
私に合う洋服を作ってくれたら、出て行ってもいいわよ。】
【洋服か?そうか、洋服ならまかせておけ。すぐにお前にぴったりの服を 作ってやるよ!
そのかわり、洋服が出来たら出ていってくれよ。】
洋服屋は、女の体の寸法を測り、すぐに洋服を作りにかかりました。
女が 気に入って出ていってくれるように、なけなしの金をはたいて上等の服地を買い、
丁寧に縫い上げました。
【さあ、できたぞ!これなら気に入るだろう。ほら、これを着て早く出ていってくれ!】
ところが、出来上がった洋服は女には小さ過ぎて着ることができません。
【なぜだ?寸法もきちんとはかって、サイズ通りに仕上げたはずなのに。】
【だって、私、太っちゃったから。なぜって?あなたが、洋服を作るために生地を買ったからよ。
私は貧乏神なんだから、あなたのお金がへった分だけ、大きくなるってわ け。】
【そんな・・・・】
さて、あなたなら、どうしますか?
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