月岳山(ウォラクサン)   2016年10月21日

コース:
徳周寺〜磨崖仏〜稜線コース〜山頂(霊峰:ヨンボン)〜ソンゲリのコース。
・徳周寺(トクチュサ)から山頂まで 3:40(行動時間)、山頂からソンゲリ入口まで 2:20(行動時間、昼食除く)= 合計 6時間コース。

徳周寺8:05〜9:00磨崖仏9:10〜9:35[01-06標柱]〜10:25[01-07標柱]〜10:50三叉路〜11:15岩峰基部〜11:45山頂(1097m)11:55〜12:40三叉路(昼食)13:10〜14:25ゲート〜14:45ソンゲリ・イリ(登山口のバス停名)

<画像特集はブログで、交通・詳細情報は最下段にあります。>

恒例の韓国の山、今年は半島の真ん中あたり、忠清北道・忠州にある月岳山(ウォラクサン)へ。新羅時代の遺跡や磨崖仏があり、展望のよい紅葉スポットだそうな。慶州の南山みたいな感じだろうか。 程近い温泉地の水安堡(スアンボ)に泊まり、ゆっくり登ることにする。
ここはソウルからバスで2時間強。なぜか町中キジの像だらけ。どうやら雉料理が有名らしい小ぢんまりした温泉地ながら、コンビニもあるし、食堂も並んでいる。何より手ごろな宿があるのは嬉しい。

まずは観光案内所で情報をゲット。残念ながら登山口へのバスは始発が9:45という。そこでタクシー(約20分、W20,000程度=約2000円弱という)に決め、お宿に向かう。ネットで高評価の温泉ホテル、主人はとても愛想がよく親切だ。夕食にサムギョプサルが食べたいというと、店まで連れて行ってくれた。(実際、とても美味しい店だった。)

素泊まりの予約だが、朝は6時から8時まで、簡単な食事ができるようあれこれ用意されており助かる。7時に出発、まずはタクシーを拾わなくては。

月岳山は国立公園。いくつかあるコースのうち、メインは距離が長いが「楽に登れる」という徳周寺(トクチュサ)から。もう1つの候補は最短距離だが階段の連続でキツイというソンゲリ[松界里/松渓里]から。天気と体調次第だったが、今日はロングコースの徳周寺からに決めた。
さて、勇んでホテルを出たものの、通りにはタクシーはおろか、車自体が走っていない。しまった!・・・そこは結構旅慣れた、怖いものなしの「オバサン」ペア、迷わず近くのホテルのフロントに行き、 図々しくも「月岳山に行きたいのでタクシーを呼んでくださいませんか。」・・・待つこと10分、何とか無事タクシーに乗車。(^^♪

しかし最も大切なのは登山口の確認。フロントで一応説明したものの、「徳周寺のあるコースです。多くの人が行くコースですよね?」と念を押しておく。これで完璧かな。
運転手のオジサンはあっという間に紅葉が美しい渓谷沿いの道を疾走し、あたりに家が増えて賑やかになったなあというあたりで急に右折。確かに、ここが登山口に違いない。さあ降りようかと思ったが、一向にスピードダウンしない。あれれ?

オジサンは細い道をガンガン進み、幅が車1台分の道も何のその、やっと着いたところは開けた場所。石仏が立っている。ああ、ここが徳周寺ね。
ちょっと楽しみにしていた登山口から1キロほどの渓谷歩きはバッサリとカットされ、確かに「徳周寺」登山口に着いたのだった。ま、いいか、時間短縮にはなったし。

徳周寺

綺麗なトイレ舎や、「薬水」を汲む場所もあり、一応ざっと徳周寺を見学。しかし長居は無用、とにかく歩き始めなくっちゃ。
見慣れた案内板を確認し、さあ、頑張ろう!見られなかった渓谷美も、多少は雰囲気が感じられる。歩き始めは遊歩道のよう。早速男性二人組を先にお通しし、深まりゆく秋を感じながらゆっくり歩き始める。
毎度あてにならない韓国のガイドブックのコースタイム。経験上5割増しで考え、4時間後の12時までに山頂に着けば御の字だろう。

静かな山歩きも、だんだんに石畳となり、階段になっていくが、前後に誰もいない。平日とはいえ、こんなに静かなのは初めて。写真を撮りながらも1時間ほどで磨崖仏が見えてくる。間近まで行って見ると、なかなかの貫禄。由来の説明板がある。


すぐにルートに戻るが、早速急な登りになり、急階段が連続するようになる。一気に高度を稼ぐものの、「落石注意」・「墜落注意」の標識が途切れなく現れる。ただ、日本に比べればまだ安全対策は万全で、必ず手すりもあり、問題はない。

どこまでも続く急階段。ただ、一気に展望が得られ、気分も爽快。いつの間にか、眼下の磨崖仏が遥かに小さい。さあ、もうひと頑張りで稜線か?

二人とも亀の歩みながら、磨崖仏から1時間後には何とか最初の展望台に出る。曇天で少し暗いが、向こうに見える大きな山が月岳山だろうか。山頂からとても美しく見えるという忠州湖も、今日は曇天ゆえ、湖面が鉛色なのは残念だ。
もう少し岩場を登ったりへつったりした後、ようやく足元が土に変わる。やっと稜線漫歩できる?!ここまで、磨崖仏から約90分、一番の難所だった。
[*よく見れば、磨崖仏から標柱01-07地点までがadvanced course(上級者コース)になっていた。01-07地点は、徳周寺〜山頂の4.9kmのちょうど中間点。]

山頂も見え、足元も優しくなったので、やっと登頂できそうな実感が湧いてくる。それに、まだ時間は早い。山頂正午は楽勝かも?!
途中でヘリポートを経て、三叉路へ。ここから下ればソンゲリ。下山に使うかもしれない。小さな建物と、標識がある。ここからは山頂(ヨンボン:霊峰)が大きく迫る。一体どうやって上るのだろう。 階段の連続と聞いているが、近くなっても何も階段らしきものは見えない。

更に進むとどんどん直立するような岩峰に近づく。どうやら低い地点まで降りていき、裏へ回りこんでから階段で登るようだ。
落石防止の金網が高い。紅葉の美しい小道を結構進む。ようやく湖側からのコースを合わせると、左へ回り込む鉄の通路と階段が目に入る。ここまでくると人の姿も増えるが、何だか軽装のオジサンたちも。

思ったほどの急傾斜でもなかったが、何とか九十九折で最後のピークに近づいていく。風が出てきて肌寒い。
最後にたどり着いた階段はタワーのよう。頑張って上がっていく。確かに絶景、転げ落ちたら命はない。でももうすぐだと思うと気がはやる。・・・そして、やっと山頂の石碑が目に飛び込んだ。やった〜!ヨンボン登頂!!
1097mの山頂

360度の展望。しかし風が強い。さて下山はどうしよう。降りたはいいが、タクシーを拾えないかも。それなら戻って徳周寺の方が確実では?・・・朝からずっと堂々巡りである。
「ねえ、あそこに町が見えるけど、あれがソンゲリじゃない?賑やかそうだから、きっとバスやタクシーが居ると思わない?」のお言葉に同意し、ピストンではなくソンゲリに降りようということになる。とにかく寒いので、三叉路まで戻ってからお昼とする。
このころになると急に人が増え、三々五々黄色いテープを付けた団体さんが登ってくる。みな一様に肩で息をし、苦しそうだ。
下りは楽々。あんなに苦しかったのに、もう足取りも軽く、すれ違う人に「頑張ってください」と声をかけながら降りていく。途中で時々「あとどれくらいでしょうね」などと聞かれ、適当に答えていくと、「まあ、韓国語がお上手ですね!」と必ず褒めてくれる。(「アンニョンハセヨ」や「カムサハムニダ」以外の言葉を話せば必ず褒めてくださるのだ。でも、すぐには日本人と思われずに会話が続いたのは嬉しい。)

韓国のグループは本当にバラバラに登ってくるが、どうも最後尾にいたレシーバー片手のお兄ちゃんはガイドさんらしい。
正午前に登頂でき、大変だっただけに満足感も強い。そうなると急にお腹がすいてきた。三叉路はまだ〜?

開けた三叉路に着いたのは12時40分。丸太に腰かけ、やっと暖かいものを飲み、食事にありつく。いやあ、充実感一杯だねえ、と笑顔の私たち。でもまだ安心できない。ソンゲリコースは急階段の連続だというし。
でも、きっとあの鉄階段の連続なら、降りるのは早いよね、私たち。コースタイムで降りられるかも?

さて背中も更に軽くなって下山開始。最初は黄葉の散策路・・・と思ったら、どんどん急になってきた。しかも、石段。落ち葉が積り、浮石もあって気が抜けない。


紅葉・黄葉の美しさにため息をつきつつも、手すりが頼りの急降下が続き始める。あれ、これじゃ早くなんてとても降りられない!

結局、更に急な石段もあり、手すりにしがみついての一枚岩などもあって、登るのも大変だろうけど、下りも同程度に大変な、難コースだったと気づいても後の祭り。諦めて慎重に、慎重に・・・。
それでも何とか下りきって、道幅も広がり傾斜もなくなって、散策路かと感じ始めたころ、ゲートに出た。ここからは民家も見え始め、道路に出る前に立派なトイレ舎もあり、大きな登山口の標識のあるバス通りに出る。おお、目の前にバス停もあるじゃないの。これで宿に帰って今夜は乾杯〜!だね・・・・と思ったのだが、甘かった。

近寄ってみると確かに「ソンゲ・イリ(2里)」となっている。が、しかし、時刻表がない!何時に通るのか全く不明。しかも、周辺にお店もなければ当然タクシーもいない!うわ、どうしよう。

取りあえず誰かに頼むにも人のいるところに行かなくては。郵便局こっち、という標識を頼りに、少し通りを歩いてみる。ソンゲ3里を過ぎて、さらに先にバスが見える!喜んで近づいてみると人も乗っている。
しかし、行先表示は忠州方面で、スアンボには行かない(反対方向)。近くのお店でタクシーを呼んでもらおうと入っていく。ちょうどよく記念になりそうな月岳山のバンダナ(W2000)があって、買うついでに頼んでみる。
「すみませんが、タクシーを呼んで貰えませんか。」
しかし答えはそっけなかった。「タクシーなんて居ませんよ。」(>_<)

でもその後に「あの〇〇色のバスは東ソウルへ行きだけど、スアンボを通りますよ。」と言う。青いバスの少し先に紫色のバスが停まっている。
「ポランセクって、紫色だっけ?」「そう。」・・・ということで紫のバスに近寄ってみる。
中は無人。行先表示もなく、出発時刻も消えたまま。嫌〜な予感。そこで、バスの奥のプレハブの中の男性に声をかけてみる。「このバスはスアンボ行きますか?何時に出ますか?」
優しそうな男性はちょっと困った顔をして、靴を履くと近くのコンビニに消えた。暫くしてメモを出し、3:10と書く。スアンボ行きますよ、とも。
3時10分?まあ、もうすぐじゃない!うわ、ラッキ―!!

ついでに「切符はどこで買えばいいですか」と聞くと「あの店です。」。中でオバサンに確認すると、確かにもうすぐバスが出るという。何とこの男性、バス会社の人ではなく、無関係な方だった。 たまたまバスがプレハブの前に停まっていただけ。親切な方に恵まれ、無事切符も買え、出発1分前に現れた運転手に「スアンボ?東ソウルまで行くのかと思った。」とぼやかれつつも無事乗車。運賃はW1500(150円弱。)
どうやらここが終点「月岳山」で、東ソウルバスターミナルから1日に数本(何本だろう。2,3本かも。)出ているバスだったのだ。本当に運が良かった。ほとんど待たずにバスに乗れたのだから。 (もっとも、最悪の場合でもまだ方策はある。忠州バスターミナルに戻ってからスアンボに行くこともできるし[本数も多い],さっきのお店に戻って、往路のタクシー運転手から「帰りもここに電話してくれれば迎えに行くから!」と渡された名刺を見せて電話で来てもらうことも可能。慌てることは無いのだ。)

という訳で、無事にスアンボに戻り、夜は名物キノコ鍋をつつき、韓国「三岳山」(だとあとから知った)の1つ、月岳山への登頂を祝ったのであった。(ちなみに、雪岳[ソラク]山、月岳[ウォラク]山、雉岳[チアク]山の3つとか。)


登山の実際はこちら。画像はブログでどうぞ!(近日公開。)

・月岳山に登るには・・・
 スアンボ(水安堡)温泉へは、東ソウルバスターミナルからバス。1時間に1本程度あり。W11,800(約1100円)、2時間半程度。
 スアンボからのバスの始発が9:45。徳周寺登山口利用の場合、バス停名は不明なので運転手に「徳周寺入口」と伝えて下車すれば多分OK。
 もう1つのコースは最短の『トンチャンキョ』(トンチャン橋)コース。バス停は「ソンゲ・イリ(2里)」。

・実際問題としてタクシー利用となるので、タクシーは宿であらかじめ予約をお勧めします。(土日の朝なら拾えそうですが。)
 徳周寺からで、渓谷から歩きたい場合には「徳周寺入口」と伝えた方がよいでしょう。「徳周寺」だと奥まで行ってしまいます。その方がいい場合もあるでしょうね。

・帰りの足の確保が難しいので、特に徳周寺コースへ戻る場合以外は、あらかじめタクシーを呼んでおく方が確実です。徳周寺の方はメインなので、たとえバスに乗るにしても情報が多そうですし、タクシーも拾いやすいのではないかと思います。案内所もあるようですし。
・忠州からも登山口へのバスがあります。よくわかりませんが、どうやらソンゲ2里が終点で、徳周寺登山口までは行かないかも。忠州からのバスは多そうですが、所要時間はスアンボからの倍以上かかりそうです。

★注意点★
いずれの場合にも、地方都市なので日本語はもちろん、英語も多分ほとんど通じないと思います。山中では標識はハングルと、独特の変換法による英語表記です。


★コースについて★
私たちは徳周寺から稜線に出て月岳山の山頂ヨンボン(霊峰)に登り、分岐に戻ってからソンゲリ(トンチャンキョ)方面に降りました。行動時間は昼食時間を除いて6時間です。特に遅くはないと思います。
徳周寺からのコースが標柱の01番コースで、500mごとに立っています。特に01-06〜01-07が一番キツイ階段の連続になります。表示ではadvanced(ひょっとしてexpert?)となっていました。
徳周寺入口から徳周寺まではeasy、寺から01-06までがintermediate,また山頂までと、分岐からトンチャンキョまでもadvanced扱いです。このコースは02番ルートです。
「探訪路」とある掲示板で色分けされていますので、ブログで拡大してご確認ください。



私たちは韓国で発行された「韓国100名山」という文庫サイズの本と、「今度の週末に登りたい山」という大判の本を持っており、そこに小さいながらも地図とルート案内が載っているので利用しています。
他にはネットで検索し、昭文社の地図に似たものを探して利用させてもらいました。

画像はこちらへどうぞ。(近日公開)


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