僧ヶ岳   2018年8月19日

コース:
烏帽子尾根登山口7:40〜9:14宇奈月尾根分岐〜10:34前僧ヶ岳〜11:43僧ヶ岳12:40〜14:17宇奈月尾根分岐〜15:27烏帽子尾根登山口

*標準的なコースタイムは、登山口→1:00→宇奈月尾根分岐→1:00→前僧ヶ岳→0:30→僧ヶ岳→0:20→前僧ヶ岳→0:40→宇奈月尾根分岐→0:40→登山口。

富山に住む従兄と初めて一緒に登る地元の山、ということで選んだ僧ヶ岳1855m。見事な立山連峰を毎日見上げる羨ましい生活ながら、登るとなると従兄にはレベルが高すぎる。
実は新潟の伯母が100歳を迎え、お祝いで合流後、車で富山まで乗せてもらい、翌朝登山という行程。

「明日は朝7時にホテルに迎えに行けばいいかな?」
「え?・・・ホテルから登山口までどのくらいかかりますか?」
「う〜ん、90分位かな。」

「申し訳ないけど、もう1時間早くしてもらえます?」
「あ、分かりました。」

僧ヶ岳へのアクセスは、宇奈月からの林道別又僧ヶ岳線の状況に大きく左右される。6月末に行こうとしたときは、崩壊のため開通の見通しが立たないと言われ、その後ようやく一番手前の登山口までは開通したものの、 コースタイムが(一緒に行くには)長すぎで断念。
直前になって運よく最短の1280m地点にある烏帽子尾根登山口まで開通、やっと同行が可能になったという次第。
まあ、ダメでも折角の機会なので、どの登山口からでも登ろうとは思っていたのだが。
従兄曰く、「毎日見上げる『あの高い山』に登れる日が来るとは!」

そのせいか、かなり気合が入っている様子。幸いこの連日の猛暑の中、昨日と今日は30度を下回って涼しいのは助かる。急遽、従兄の友人も加わることになり、4人のパーティーとなった。

さて、宇奈月温泉街を抜けるとかなりの山道となる。しかし、ずっと舗装でしかも道幅も十分なことに驚かされる。どんどん高度を上げていく。眼下に広がるのは黒部市?魚津市??

最初の登山口から順にチェックしつつ登り、第3登山口でトイレ休憩。ここは広い駐車場とトイレがある。帰りに見たら、山名表示盤もあった。
この林道、崩壊等で通行止めでも、シーズン前にこの第3登山口までは開通することが多いとか。但し、ここからでは3時間以上余計にかかる。

ここから林道は路肩が崩れていたり、路面に落石があったり、ボコボコの路面を複数の鉄板でカバーした箇所があったりとかなりの荒れよう。従兄も慎重に運転を続ける。
この先が意外と長い。眼下の風景や、道端の花を探していると、紫の綺麗な花が!(帰りに停めてもらって見たら、見事なソバナの大群落だった)
漸くたどり着いた登山口には、既に10台位停まっている。ああ、やっぱり。
幸い、路肩も含め、何とかまだ停められたが、これが1時間後だったら目も当てられない(笑)。これには従兄もびっくり。これ程人気とは思わなかったそうだ。
少しでも涼しいうちに、時間の余裕をもって登りたいと思っていたので、ここまではまずまず。

支度を整え、早速登山開始。これだけの人が入っていれば、熊鈴も要らないだろう。
しっかりとした標識があり、わかり易い。足元の花を探しながらゆっくり歩く。念のため水は多めに持っており、ザックは重め。ただ、事前にチェックした従兄夫婦のザックは軽く、これなら問題なく歩けるだろう。

さて最初のポイントは宇奈月尾根との合流点。コースタイムで1時間。順調に歩けるはずが、早くも従兄の足取りが重い。早めに小休止。水分補給で体調を整えてもらう。
足元は笹が多いものの、オクモミジハグマ、カシワバハグマが咲いている。イワカガミの葉が大きいのでこれはオオイワカガミ?
赤い実がずっと続くのはアカモノだろうか。咲いていたら見事だろう。所々にツバメオモト、ユキザサ、ツクバネソウ、サンカヨウも!ああやっぱり初夏に来ないとなあ・・・。

少し道が登りになると、小さな段差や梯子・ロープも出てきて、従兄は大幅にペースダウン。尾根合流点まで95分もかかっている。ここでも大休止。まずはザックを降ろし、腰も下ろして休ませる。
合流後のルートは最初に左側が笹で隠れているものの、崖。滑りやすく幅も狭いので、何度も注意喚起。

幸い、友人の方が従兄の奥さん(Kさん)の方の面倒を見てくれるので、私は従兄の担当に専念。少しずつ暑くなってきたのと、やはり昨日の運転疲れに緊張で睡眠不足だったそう。
この「3重苦」がボディーブローのように 効いてきて、従兄はとうとう牛歩に。



まずはペットボトル1本受け取り、しばらく先でもう1本は友人の方に。
眼下に広がる地元の風景に励まされて頑張ってくれ、何とか花の多い前僧ヶ岳へ。今年初のイワショウブが迎えてくれた。

見れば実になっているものの、大変な数のニッコウキスゲ。コゴメグサはたくさん咲いている。私は一気にはしゃいで撮りまくり。
しかし、このあたりで従兄はほぼグロッキー。う〜ん、これは・・・。

とにかく座らせ、休ませる。お腹の調子も良くないようで、本当に辛そうだ。これは各駅停車で行くしかない。休んでは歩き、歩いては止まり、お花畑の仏ヶ平で撮影しつつ、その間に休んでもらう。

盛りの時にぜひまた来たい。そして、僧ヶ岳が姿を現し、左の稜線を登っていく登山者の姿が見える。何より、白馬三山など山々がくっきり!



さあ、もう少し、と励ましつつ歩き始めるが、あと30分、が持ちそうにない。そこで思い切ってザックを受け取り、右肩に抱えて私が歩き出すと従兄は大慌て。でもとても追いつけないので諦めて空身で登ってもらう。

さっき水1本、今度は更にザックまで抱えてさすがに私もバテてきたので、最後の登りを前に、友人の方にザックを渡し、何とか山頂へ。従兄も最後の力を振り絞って頑張ってくれた。

「はい、もう山頂ですよ〜!!」と後ろに声をかける。山頂はちょっと広くなっており、既に10人近い登山者が休んでいる。
コースタイムで2:30を4時間かかっている。がそれでもまた昼前。到着した従兄を休ませる。

「頑張りましたね〜!30分以上は休めるから。」
「え、30分?1時間休みましょう。。。。」
「わかりました。じゃ、まず少し横になったら?」

お腹も空いてきたのでおにぎりを食べ始めるが、従兄は水分以外は何も受け付けない様子。私もKさんもコーヒーやらゼリー飲料やら、玄米茶などを勧めものの、すべてダメ。
それでも靴を脱いで少し楽になったら、暖かいお茶だけ少し飲み、ホッとした様子。

記念撮影をする余裕もなく、ゆっくり休んでから山頂を後にする。辛いだけの登山では気の毒だが、きっと降りる頃には回復してくれることを祈って、慎重に下山開始。
滑る箇所、ロープの箇所で指示を出しつつ、荷物はずっと軽くなっているし、体力的には楽なので少し会話もできるように。

その分私も余裕が出て、登りでは気づかなかった小さな花にも目が行く。初めてのクロバナヒキオコシも発見!小さく地味な花ながら、これは日本海側と北海道でしか見られないそうだ。
帰りも休み休み3時間ほどかけ、漸く下山。お疲れ様でした!

ただし、まだ山道の運転があるので心配したが、ホッとしたのか従兄も表情がずっと明るく、靴も履き替え、第3登山口でトイレ休憩後は気分もスッキリ、ソバナの群落を見ながら無事に下界に降りることができた。

今回は予想以上に従兄には辛かったようで申し訳ないが、徐々に登頂の喜びが湧いてきたそうで、「本当にあの山に登ったんですよね?」と感慨も一入だったようだ。

いつも見上げる地元の山に登る、というのは何と素晴らしいことだろう。私もまたこの山に戻ってきたいと強く感じた。

但し、今回もアブ(ブヨ)の大群が襲ってきて、腕と顔を喰われた。
この夏はアブとの闘いには負けたが、素晴らしい山に登れて充実の夏山シーズンとなった。


画像はブログでどうぞ。


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