霊仙(りょうぜん)山   2011年5月7日

今畑登山口〜笹峠〜近江展望台(手前で撤退)


GWに「おでかけ」したいと思い、Sさんの希望もあって、急遽アクセスの良い霊仙(りょうぜん)山へ。 ネットの情報を参考にして、ヒルがおらず「花が多い」西南尾根からと決める。久方ぶりの夜行バスを降り、すぐに近江鉄道に乗り換えて多賀大社前へ。
綺麗な待合室とトイレをお借りし、朝食を食べてからタクシーを呼ぶ。

山に近付くと、沢沿いの道は新緑が美しく、物音に驚いた鳥たちが飛び交い、猿が横断していった・・・。
更にすれ違いが難しいような道に入ると今畑登山口。ここは標高が低い割に遭難が多いそうで、その理由は 稜線が広く山頂も平らで、一旦ガスが出ると方向を見失うからとか。そこで、私達は悪条件なら無理に登頂を目指さず、 お花の写真でも撮りながらゆっくり登ろうと決める。

ものものしい登山口

道に山が迫ってくると登山口。タクシーを降りると霧雨に。予報は夕方から崩れる、だったのに。慌てて合羽を着こみ、 先行者の男性1人を見送って、ちょっと暗い道を上がっていくと、すぐに廃村となった今畑部落。
人気のない廃屋がいくつか並ぶのは確かに異様な光景で、一人で歩くのは怖いだろう。花もタチツボスミレ位しかなく、目立つニンジンのような葉は、 花が終わった福寿草?

幸いすぐに雨もやみ、合羽を脱いでやっと身軽になる。空も明るくなって、自然林に入れば、また鳥の声が響く明るい林。そろそろ何か咲いていないだろうか、と目を配りながら登っていく。
アクセスの悪さからか、先行者を一人見送った以外、前後に全く人の気配がない。静かで嬉しいが、ちょっと静かすぎる気もする。
道は一部が大きくえぐられているものの、しっかりしており、歩きやすい。

新緑の森

一旦平坦になり、ほっとして歩いて行くと開けた場所に出る。 標識が無いが、ここが笹平だろうか。広い場所にはロープを張ってコースを誘導している。ガスが出たら、ここも迷って危険個所に早変わりなのだろう。
周囲では伐採作業が行われているようで、紫のテープを巻いた木が沢山ある。植林は良く手入れされている様子。

歩きやすい道だがめぼしい花が無いのは残念。
そのうちに、また急登が始まり、ゆっくり登って行くと、いきなり強風の歓迎を受ける。
樹林帯を抜け出しただ。地質の関係か、標高は低くてもまるでアルプスを歩くようだ。行く手には聳えるように岩だらけの斜面が待ち構えている。 このあたりが西南尾根の取りつきだろうか。
風は更に荒れ狂って、上空は物凄い速さで雲が流れ、尾根を洗っていく。非力な私の歩みを止めるような風。時に座り込んでやり過ごす。上部の稜線はまだガスにすっぽり覆われている・・・。

先へ進むのは厳しいなあと思いながらも、踏ん切りをつけるために 、もう少し登ってみると、あと少しで最初のピークに届きそうだ。これが明石展望台かな。

それなら標高から考えても、あと1時間位我慢すれば、山頂に立てるはずだが・・・。

思案する間も烈風はますます強くなり、雲行きも何となく怪しい。敢えて突破したとしても頂上付近の視界が無く、もっと吹き晒されては体力が持たないと感じる。
何よりも私の足に不安が残るので、ここは無理せず撤退、となる。

歩いてきた尾根 遥かに琵琶湖

そうとなれば、せっかくなので、座って風を避けつつ辺りを見渡せば、眼下には琵琶湖が霞み、今登ってきた稜線を俯瞰すると、色合いが実に美しい。
足元はスミレ類と、白いミスミソウが沢山あるのには驚いた。

強風に揺れるミスミソウ
(*葉の先が余り尖っていなかったので、ミスミソウというよりはスハマソウの方かもしれない。)

きっと稜線上部には多種多様な花が待っているだろうと思うと、まさに後ろ髪を引かれる思いだが、安全には代えらない。 また進退極まる前に、と吹きすさぶ風の中、慎重に下山を開始する。

案の定、樹林帯に入ると嘘のように風はおさまった。見れば天候も回復してきては、う〜ん、と唸ってしまう。ひょっとして、再トライ?とも思うが、 欲張るとロクなことは無い。まずはここで腹ごしらえをして、お決まりのコーヒーを飲みながら、やはり今日はもう彦根観光にしよう、と なる。
さて、と気持ちを切り替え、同じ道を戻り始めると、今度は登山者達とすれ違うようになる。もしや、と振り返れば、私達を拒むようだったあの 稜線が、今は嘘のように穏やかな青空のもと、はっきりと姿を表している。

愚痴を言いたくなるものの、時計を見れば結構いい時間になっていて驚く。強風で予想外に時間がかかったということだ。
これで踏ん切りもついて、せっかくなので多賀大社にもお参りして、彦根城も見よう、とまた気楽にまた花を 探しながら降りて行くと、そのうち見慣れた廃屋が現れ、登山口に降り立った。
タクシーの運転手の話では、「河内風穴」のあたりから部落が現れるので、そこなら携帯が通じるだろうとのこと。大した距離でもなさそうなので、ノンビリお喋りしながらの林道歩き。
湿っぽい場所なので、キョロキョロしながら探して歩くと、毎度おなじみのナツトウダイ、そしてサバノオを見つける。往路の車窓から輝くように飛び去った鳥が、また川の上を飛んだ。
停まったところをアップで狙うと、濃紺の美しい体に白いお腹、ひょっとして・・・?

オオルリ

楽しく道草しながら歩いて30分ほどで集落が見えてきた。ここなら通じるかなと携帯を出すと、OKだった。通り過ぎて振り向くと、「権現谷」と標識がある。
そこからわずかで「河内風穴」に出た。ここには売店も駐車場もあるが、観光客の姿はない。

「権現谷」部落 「河内の風穴」付近

タクシーはここへ来るというので、ザックを降ろして一息。

15分ほどでやってきたタクシーに多賀大社で降ろしてもらい、由緒正しいお社にお参りしてから駅まで歩く。

*アクセス*
霊仙山:1084m
今畑登山口:
近江鉄道 多賀大社前駅下車。タクシーを呼び、登山口まで約3000円。
なお、登山口付近は圏外。タクシーは復路は予約するか、「河内風穴」付近まで戻れば携帯が通じる。(徒歩20分位)
(なお駐車スペースは殆ど無い様子。少し先の落合登山口付近については不明。)



(花と彦根はブログでもどうぞ。)


戻る 山一覧へ