礼文島   2023年6月8〜12日

コース:
礼文島ハイキング3泊4日の旅。
山友と3人で礼文島へ。勿論この時期なのは、レブンアツモリソウを見たいから。
但し、この時期は旅行社のツアーが目白押しなので、予約は半年以上前から。丸3日を島内ハイキングに充てるため、初日は夕刻の飛行機で札幌へ。

23時発の夜行バス(素晴らしい3列独立シート)で5:30稚内フェリーターミナル着。6:30のフェリーで礼文島(香深港)8:25着。
帰路は、朝一番のフェリー8:55で稚内着10:50,フェリーターミナルから11:35のバスで稚内空港へ。15:05の飛行機で羽田へ戻る。

宿はなかなか予約が難しく、高級ホテルは1年前でも予約が取れるが、民宿は例えば1月に一斉に予約電話開始などとなり、個人で行くのはなかなかに手間がかかる。

飛行機は早めに取れたので、保険をかける意味でまずはキャンセル可能な高級ホテルを押さえ、1月の予約で2日分は民宿が取れたので振り替えた。

また、フェリーの2等は予約できないが、今までに乗れなかったことは無い、と確認したが、この時期確かに団体客が多いので早めにターミナルの自販機2等でチケットを買っておく方が良さそうだ。

有難いことに、「ウェルカムバック・キャンペーン」実施中で、所定の宿に3泊か1泊+指定のイベント参加で、何と帰りのフェリーが無料になった。
ターミナルと宿でQRコードを読み取り、最後にメールでアンケートに回答、ターミナルの端末で引き換え番号をプリントして、窓口で乗船券に引換え。3,070円が浮いた。

今回の総経費は、飛行機+宿3泊(2食付き)+フェリー片道+新千歳〜札幌JR+夜行バス(6200円)+1日バス乗車券2000円で、約10万円。ツアーならば1.5倍にはなりそうだ。

さて、今回はお天気に恵まれなかった。合羽を着なかったのは最終日のみ。展望も殆どなく、それだけは残念だが、予想以上の花に迎えられ、大満足のハイキングとなった。いつもながら優しい山友の姉上方に感謝。


初日:
2日間お世話になる民宿「はな心」さんがフェリーターミナルに迎えに来てくれており、荷物を預けて身軽にハイクに出かけることができる。 バスは宿の前を通るので、一旦お宿まで乗せてもらい、9:30頃のバスでスコトン岬へ。とても寒く、風もあるので薄いフリースを着こみ、合羽の上を来て備える。

この時刻のバスは、スコトン岬折り返しで15分の猶予があるので、その間にササっと岬を見て、また同じバスに戻る。この日はバス1日乗車券を車内で買った。

時間と夜行明けの体力、雨を考慮して、少し戻った江戸屋登山口で降りて歩き出す。[10:30]
早速車道の法面に沢山の花。ここは風も避けられるので、激写開始。白い根室シオガマ、ピンクのレブンシオガマ、ハクサンチドリ、チシマフウロ。登山口に着くと風が吹き付ける。

チシマフウロ

まずはゴロタ岬に向かって登る。霧雨なので合羽は上だけ。展望がないのが残念だが、足元は花園。写真を撮りながらの亀さん歩きで峠に着くと一気に強風が吹き付ける。[11:20]

一休みしてここから一気に鉄府に向かって下降するのだが、吹き上げる暴風に一瞬、撤退も考えたが、ストックを使い、慎重に歩くことに。
海からの遮ることのない暴風は、アポイ岳を思い出させる。いや、アポイはすぐに樹林帯に入れたので今回の方がずっと厳しいかも。

やっとの思いでゴロタ浜に降りると、平地になった分だけ安心だ。鮮やかなハマナス。紫の花はチシマゲンゲかレブンソウか。
海岸線でも花は多く、取りあえず写しておいて、あとから図鑑で確認。とはいうものの、暗く風も強いのでなかなかうまく撮れない。
天気も悪く、帰りのバスの時間も考慮して、今回はスカイ岬は諦めて、メインのレブンアツモリソウ群生地を目指すことにする。

海岸沿いには有刺鉄線に囲まれたアツモリソウ群生地もあり、花は枯れ始めていたものの、確かに群生していて素晴らしい。
人家が現れたところで雨も激しくなり、軒下を借りて軽くランチ。浜中方面に戻る道を歩き出すと、暫くして新しいアツモリソウ群生地が開設されているようだ。

係員(監視員?)がいて、時計回りに進むよう指示される。僅かな面積ながら、手の届きそうな斜面に白い天使たちが!


そろそろ花も終わりだが、何とか咲き残ってくれていてありがとう!と言う気持ち。まだ先にも花があるので進むとピンクの花が目に入る。「あ、ノビネチドリ!」・・・ 花の前に団体がいて、ガイドさん?が説明中だ。

が、何とその途端に笑い声。「テガタチドリ」とその人は言った。え?そうなの??

近寄って見るが遠目の第一印象がノビネチドリだった。う〜む言い返すまでの自信はないが、これはやっぱりノビネじゃないのかなあ。

[宿に戻って検索すると、やはりノビネチドリで間違いなかった。私は花の印象でそう判断したが、葉で判断するのが確実なようだ。ノビネは広く端が波打った葉で、手形は細く伸びた葉。これならは違いようがない。]

1000円寄付すると綺麗な花のバッジを選べる。私は断捨離中なので少し寄付だけして群生地を後にする。
以前来たことのあるKさんが訝っていると、すぐに左側にもロープで閉鎖している「群生地」が。記憶にあるのはこちらだったそうで、よく見れば枯れかけたアツモリソウがいくつも咲いている。

時期が終わったから閉鎖したのかどうかは分からないが、いずれにせよ鉄府のあたりは群生していることに間違いなさそうだ。盗掘のない、ロープや柵の必要のない世の中になって欲しいのだが・・・。

目的の1つを達成して満足しつつ浜中バス停方面に進む。この時間は、浜中からのバスの便はなく、更に30分ほど歩いて船泊の「病院前」16:06発のバスしかない。
雨が激しくなってきて、傘も差しながら、もう花はないかな、と歩いていく。民家の庭先もミヤマオダマキを始めとして花一杯。なんだかんだで15時には病院前に着く。病院の待合室の中から手招きする人がいて、風雨を避けて中で待たせてもらい、バスで戻る。

ちょうど宿のやや手前にセイコーマートがあるのでそこでおろしてもらい、明日のお昼等を用意して、宿に戻る。
島のバスは自由乗降なので、融通が利くのは有難い。

宿はとても心地よく、夕食もとても心がこもっていておいしい。量もちょうど良く、評判が良いのは当然だろう。

そこここに植物画が飾ってあり、晴れていれば目の前は利尻岳、夜空には満天の星だそうだが・・・。

2日目:
午前中は雨の予報なので、ゆっくり目に出発して桃岩コースにする。時間を合わせてフェリーターミナルまで送ってもらい、8:40のバスで桃岩登山口へ。小雨でガスも出て、全く展望なし。それでも暫くの登りを励ますようにハクサンチドリの群落、チシマフウロ。雨に濡れてそれはそれで美しい。
展望台に出るが何も見えない。団体さんを後に、トレッキング開始。
昨日とは違う花もちらほら現れ始め、流石「花の浮島」だ。ピンクのイブキトラノオや、足元にもう最後の薄れて枯れる寸前のレブンコザクラ、ネギ坊主のような頭をもたげてくる沢山の蕾はギョウジャニンニク?

黄色の豆のようなセンダイハギ、雨にうつむくミヤマオダマキ。そして会いたかったレブンハナシノブ。可愛いのに名前がイマイチの、サクラソウモドキ。

如何せん、今日は撮影には最悪の状況。レンズは霧で曇るし、花は風で揺れ、暗い。まあ、目で見て愛でましょう。

時折雨がやんでガスが切れると桃岩方面が見渡せるようになる。しかし、よく見ると陸側には大きな笹原が広がり、これは花々にとって大変な脅威ではないか。一部の笹は花が咲いているので一度枯れるかもしれないが、放置するとこのお花畑は無くなるのでは、と心配になる。

元地灯台方面に進むと、キンバイの谷と呼ばれる地点。レブンキンバイが咲いている。見事な「金杯」だ。 猫岩が見える。耳が尖っていて、背中を丸めているように見える。海へ向かって切れ落ちる断崖に何か白い塊が。え?もしや??

思った通り。
まああそこなら誰も近づけまい。よく見れば他にも2,3株。厳しい環境で良く生き残っているなあ。

灯台11:35着。ここから知床に向かって折れて下っていく。この先は花は余りないというが、引き返すのも大変だし、道なりに映画の撮影場所だったところにカフェがあるので立ち寄ったらよいという宿のアドバイスに従って進む。

笹原の砂利道、と言った印象で確かにこれと言った花は、ない。また雨も降ってきたのでかなり降りたところの樹の下でささっとランチ。ほぼ降り切ったあたりで左に折れてカナリアパーク。
立派なトイレ舎もあって、カフェは13時まで昼休みで、ちょうど再開した時に到着。雨の中歩いてお疲れ様、と大休止。私はソフトクリーム。濃厚で北海道を感じさせる味。お二人は暖かい飲み物で体を温める。

ゆっくりしてからまた港に向かって車道を行く。道路の法面の崩壊防止なのか細かい網目に邪魔されながら、何株かのノビネチドリが窮屈そうに身をよじっている。網を切ってあげたくなった・・・。

ノンビリ歩いてフェリーターミナル。3軒の土産物店を覗いて海産物などをゲット。電話して宿の方に迎えに来てもらい、2日目も終了。明日は最終日。お天気は?


3日目:
流石に雨も上がるかと思いきや、朝も霧雨。宿の方と相談すると、次の宿まで荷物を運んでおいてくれるという。また、行程が長いので早いバスに合わせて朝食。7:45過ぎのバスで礼文林道入口まで。香深井バス停ではなく、その先で下してもらう。降りたのは他に2組。

しばらく道路を歩くがそれだけでも静かで気持ちよい。漸く雨もあがり、今日こそは、と思う。
林道入口からはまた森の中。すぐにノビネチドリ。何度見ても綺麗だ。(素通りする人もいるが。)

暫く歩くと、8時間コースとの分岐に出る。まっすぐすすむと海岸に出てそこから浜中までの8時間コースになる。体力も要るし、バスの時間もあり、今回はこのコースは歩かない。

礼文林道は車も通れる道だが、実際にはすれ違いが難しく、また一方通行とし、更には自粛も求めているようだ。すぐに脇に車を停めてレンジャーさんが枝切をしている。中年の女性だった。
ご苦労様です、とお声掛けし、○○はどこに咲いていますか、と聞くと教えてくれたが、探すのは困難だろうということだった。

車道は緩やかに登っていて、両側に少しずつ花はあるが、3日目ともなると少し足が重い。
すれ違う人もなく、貸し切り。鶯が鳴いている。途中の「ハイジの丘」にウスユキソウが咲いていると聞き、また宿の人にも勧められたのでそこを目指す。ハイジの丘は礼文滝への途中にあるが、滝へは難路のため勧められない、とも。 私たちもハイジまでとして戻る予定。

時折視界が開けてくるが、笹原が目立つ。今日も利尻富士は拝めないようだ。・・・そういえば、コケイランは見ないね、と話していると早速出現!中々の群落だ。
礼文滝分岐までくるとさすがにハイカーが沢山。きっとみんなハイジの丘を目指すのだろう。私たちも歩き出す。

やはりルートごとに花が違う。ツマトリソウ、クロユリ!、白いムカゴトラノオ。
少し沢を渡って上り下りしていくうちにどうやら目指す丘にでたようだ。ロープが張ってある。しかし、ガスで展望ゼロ。周囲を見渡すと、おお、レブンウスユキソウが咲いている。



開花しているのは数株だが、咲いていてくれるだけでありがたい。

滑りやすい道を戻ってまた礼文林道へ。この先に「レブンウスユキソウ群生地」がある。情報ではまだ開花していないそうだ。少し晴れてきて先の方に建物が見えてくる。近くまで行くとトイレ舎と監視員の詰め所?、その先すぐが群生地のようだ。

斜面を横切る形で進み、その左手斜面が群生地のようだ。想像していたのとは随分違うが、よく見れば蕾が沢山あるし、他の花もいろいろ。
とはいえ、その一角のみ。ハイジの丘で見てきてよかった。

後はもうあまり見どころはないのかなと思うとすぐにレブンハナシノブの群落!素晴らしい!やっと上を向いて咲いている花に出会えた。激写を終えて歩き出すとカサカサっと物音が。シマシマの背中が見えたかと思うと笹薮に姿を消した。リスだ。

そういえば、今日はアカゲラも見たなあ。ホトトギスに似た鳴き声の、想像ではシジュウカラ位の大きさ?の鳥は何だったのだろう。

今日のイベントは終わったという気分で歩いていると、向こうから団体が。あら、またお花畑だ。ガイドさんが解説中。
間を抜けていくとまだまだお花が一杯。今までの林道は、確かにハクサンチドリが果てしなく続く素晴らしいロードだったが、こちらは種類が豊富でびっくり。同じ林道でもかなり性質が違うのか?

左右キョロキョロしながら進むとまたもやコケイラン、ノビネチドリ、そして最後にギンランの群落も。
林道の終点まで花一杯。このルートは、時間のない人は逆回り(桃岩側)から入る方がずっと歩き良さそうだ。花も多い。

あとは車道をノンビリ下って今日泊りのホテルへ。良く歩いた1日だった。
温泉もあり、夕食にカニが出たのも嬉しい。翌朝フェリーターミナルまで送ってもらう予約をして、花ハイクは無事終了。

なかなか簡単には行けない礼文島。一番良い季節にたっぷり気ままに歩けて最高の休日となった。


******お花の画像はブログでどうぞ*********


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